表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
追放されてるっぽい少女編
15/114

15

ブックマークありがとうございます。

更新遅めですみません。

 少年の手にある悪魔大事典から黒い靄が溢れだした。

 その黒い靄はだんだんと色濃くなり黒煙となっていき、まるで生きているかのように少年の頭上をグルグルと渦巻き始めた。


 ――召喚されるな……


 やがて渦巻く黒煙は中心に向かって集まり、宙に黒く大きな塊が1つ出来上がる。


 黒い塊はぐにゃりぐにゃりと何度もうねり、歪な形を繰り返し、一度圧縮され小さく縮んだかと思えば、大きく膨張し、塊の中に成人男性の2倍ほどの大きさの、異形なシルエットを浮かび上がらせた。


「これって……クロー?」


 ここまでくれば人の目でも目視できたのだろう。エリザは顔色悪く、俺の服を引く。


「ああ、悪魔が召喚される……」


 ギルド内は突然現れた黒い塊に騒然となり慌ただしい空気が広がっていく。


 新しくギルドに入ってきたハンターたちも周りの雰囲気に呑まれ、同じように騒ぎ始めた。


「これが…悪魔召喚……」


 マリーも周りと同じように黒い塊の禍々しさに呑まれ視線はその塊に釘付けになっていた。


 一歩間違えればマリーも同じ様に悪魔召喚を行っていたかもしれない。そんな状況を思い浮かべているのだろうマリーは小刻みに震え顔色を悪くした。


 ――あれを正常な状態で見ればそうなる……よな……


 そんな中、地の底からわき上がるような低い声がギルド内に響き渡った。


《ワレヲ……ヨビダシタノハ……キサマカ……》


 不安や恐怖を煽るその声に慌ただしく騒然となっていたギルド内はピタリと静かになった。


 見れば人々は恐怖に震え上がり口を開くことすら困難な状態に陥っている。


「ヒィ」

「あわわわ」

「あ、ああ…」


 更にその存在がハッキリと姿を現しすと腰を抜かす者や、泣き叫ぶ者まで現れた。


 そいつの頭は額に一本の大きな角があるネズミ……の骨。

 身体はネズミその物で黒い体毛に覆われ背中には、コウモリのような羽があり、手足には鋭く長い爪が二本ずつあった。

 二本足で降り立った床にはメキメキッと鋭く尖った足の爪が音を立て食い込んだ。

 

 ハッキリと姿を現したその存在は……見るからに禍々しく異形な存在に見えた。


 ――頭が骨とは……


「ひぃぃぃぃあ、悪魔だぁぁ!」

「きぁぁぁ」

「だ、誰かぁ、早くクルセイド教会に行って聖騎士様を……」


 辛うじて悪魔から離れた位置に居た人々だけが、直ぐに動くことができていた。


『俺です。悪魔様を呼んだのはこの俺です』


 悪魔を呼び出す前は、取り憑かれたような、目の焦点もあってなかったはずの少年は、悪魔の姿を前にしっかりとした口調で応え両膝を地に突け頭を下げた。


 見方によってはこの首を捧げますという意思表示にもとれたが、この少年の行動によって悪魔が少年に集中し、放たれていた威圧が少し軽くなった。


「く、クロー……」


 彼女たちが不安げな表情を浮かべどうにかできないのかと俺を見上げていた。


 ――ほう、少しは和らいだが、2人共もまだ慣れない恐怖に怖いはずなのによく動けたな……だが……


「ダメだ、今は手が出せない……あれは、召喚者とそれに応じた悪魔が、契約交渉に入ってしまっている。それに……今、手を出したところで……」


 俺は彼女たちに少年と悪魔の方を見るように指を指した。


 ちょうど動けるようになった4人のハンターが恐怖に駆られ、悲鳴とも、雄叫びともとれる情けない声を上げながら、少年と悪魔に斬りかかっているのが見えた。


「うわぁぁぁぁ!!」


 だが次の瞬間には、ハンターたちの攻撃はカキンッと甲高い音と共に見えない壁に阻まれた。


「きぇぇぇぇ!!」


 その後も、半狂乱したように必死の形相で何度か斬りかかりダメだと分かると、すぐに1人のハンターが逃げ出した。


「ひぃぃぃ!!」

「ま、待て、ぉぃぃぃ」


 残りの3人も悲鳴を上げ這いつくばる格好で逃げだした。


「な、分かったろ。あれだ、悪魔大事典が絶対障壁を張っているんだ。剣も槍も鈍器も、そして魔法さえも通さない。今は何も手が出せないんだ」


「そんな……」

 

「あの(少女)大丈夫かな……」


 マリーはアイナと呼ばれた少女は見てそう呟いた。その少女は隅の方で膝を抱えてガタガタ1人で震えながらも兄を心配そうに見ている。


「マリー、行きますわよ」


「へっ、え、エリザ?」


 エリザはそう言うと、その少女に向かってスタスタと歩き出した。それを見てマリーも何かしら察したのかエリザの後を追いかけていった。


 ――ふむ。


 彼女たちは動けるまでに回復していたようだ。


「しかし――」


 ――俺も、こんな人族が多い場所で、他の悪魔に会いたくないんだが……


《オマエハ……ナニヲ……ノゾムノダ》


『はい、この世界全ての人の死です。こんな世の中滅べばいいんだ。みんな、みんな死ねばいい。これは俺の命を捧げれば叶いますよね?』


「な、なんてことを言いやがるんだあのガキ!!」

「に、逃げろぉ……ここに居たら殺される……」

「待て! おい! 置いていくなよ……」

 

 ギルド内に残っていた職員や、ハンターたちが次々にギルドから逃げ出していく。あの受付嬢も居ない。俺が倒したハンターたちも誰かに担がれ居なくなった。


 俺に声を掛けてくれる奴はいないが、エリザやマリーは、男ハンターたちに逃げるように声を掛けられているが、首を振って拒否している。


 男ハンターたちは名残惜しそうにしながらも悪魔とエリザたちを見比べ最後には悔しそうに逃げていった。


 気づけば、ギルド内は俺たちと少女、少年、悪魔のみとなっていた。


《スベテハ……ムリダ……オマエノ……イノチ……チイサイ》


『で、では、この国の人々を……こんな荒れた国必要ない』


《ダメダ……オマエノ……イノチ……タリナイ》


 ――見かけによらずなんて卑劣な悪魔なんだ……容易に叶えられる願いまで引き下げるつもりだな。


『そ、そんな……では、この町に居る人々……俺たちをバカにした、この町の住人とハンター共を……』


《ダメダ……オマエノ……イノチ……マダタリナイ》


『ち、畜生!! 俺の命の価値ってそんなに小さいのかよ! くっ、ううっ。もういい。

 じゃあこのギルドを壊してよ。俺たちをバカにするだけの、役に立たないギルドなんて無くなればいい!!』


 悪魔がニヤリと口角を上げる。悪魔の頭は骨だけで、表情なんて無いのだがニヤリとキナ臭そうにしてるのは感じとれた。


 ――おいおい、そんな安っぽい望みで命を捨てるのか……ふん! まあ、少年が決めたことだしな、俺には関係ない。


《ソレナラバ……タイカニ……ミアウ……ダロウ。

 ソノ……ノゾミ……カナエテ……ヤル》


 少年と悪魔の契約が締結され、悪魔大事典の障壁が消失した。


《ショウネン……マッテイロ……スグ……オワル》


 ネズミの悪魔は唸りながら右手に悪魔力を集め出した。


「クロー、障壁が消えたわ……お願い!」

 

 いつの間にかエリザとマリーは少女を連れて俺の傍に戻っていた。

 彼女たちのガントレットには金剛力が付与されている。服装の乱れからも、どうやらエリザが少女をおんぶして連れてきたようだ。


 今は彼女たちが少女を間に挟み左右の手を取り、それぞれ優しく繋いであげている。


「ハンター様……お願いお兄ちゃん……助けて」


「クロー、私たちからもお願い!」


 ――むっ。


 正直男なんてどうでもよく感じる。多分これは俺が女性専用の契約悪魔のせいなのだろう。


 本来なら何も迷うことはなく断るところなのだが……3人の女性にお願いをされてしまったら迷ってしまう。


 1人はエリザ。契約だろうが今は俺の美人妻。美人なのに可愛さも兼ね揃えた俺の護るべき女。おっぱい大きい。


 もう1人はマリー。契約だが、俺のハンター仲間。前髪ぱっつんが可笑しく可愛い俺の護るべき女。おっぱい大きい。


 もう1人はアイナ、と言ったか。13歳くらいの少女。磨けば光りそう、おっぱいは発展途上。


 ――ふむ。考えるまでもなく、このままギルドが壊されたら俺の(契約者)が危険だよな……振りかかる火の粉は払い除けないと……

 だから俺があの悪魔に手を出しても仕方ないことなんだよな……うん。だからこれは契約違反でもなんでもないな……よし!


 行動の理由を見出した俺に断る理由はない。


「分かった、任せろ!」


「「クロー」」

「ハンター様」


 彼女たちの俺を見つめる眼差しが少しおかしいが、期待されてるってことは分かった。


「3人はそこで待ってるんだぞ」


 俺は彼女たち3人の頭を軽く撫で、少し格好つけ前に出ようとした……が俺の歩みを遮るようにギルドの入口の扉が激しく開いた。


 バァァンッ!!


「くっ! 悪魔が既に……神父様どうやら少し遅かったようです!!」


「そうみたいじゃなぁ」


 ヨボヨボのお爺ちゃん神父を、聖騎士の格好をした20代前半の女性が背負って勢いよく入ってきた。


 お爺ちゃん神父は真っ白な長い眉毛で目が見えてない。頭には毛がなく如何にも聖職者という感じの法衣と分厚い聖書を両手に抱えている。


 一方、聖騎士の方はキレイな銀髪を1つ結びにしていた。凛として整った顔立ちをしている。


 そのお爺ちゃん神父はゆっくりと聖騎士の背から降り、何事も無さそうな顔で聖書を広げた。


 ――なっ!!


 だが俺は見た、お爺ちゃん神父が聖騎士の背から降りる時、どさくさに紛れ、聖騎士のお尻を触るのを……


 ――むむ、あんな美人聖騎士に背負ってもらいなおかつお尻を触るなど……聖職者にあるまじき行為……け……けしからんな。


 その聖騎士は、頭と腰以外は白銀の鎧を身に纏っていた。

 腰周りに鎧が無いのは、動きを妨げるから外してるのか、馬に股がって急いで来たからなのか分からないが、今回は、そのせいでお爺ちゃん神父の癒しにされたようだ。お尻が。


 聖騎士の方は職務に堅実なようで、何事も無かったように右手に剣の柄のような物を持ち、お爺ちゃん神父の隣に並んだ。


「神父様、お願いします」


「うむ」


 お爺ちゃん神父はのんびりとした口調で悪魔に語りかけた。


「悪魔よ、お主の名を申せ」


《オマエ……セイショクシャ……カ……バカメ……ダレガ……オシエルカヨ》


「素直に言えばいいものを……」

  

 次に聖騎士が柄を悪魔の方に向け構えてると、魔力の刃が現れた。


《ギッ!!》


 ――ほう。


 あれは聖騎士の聖剣だったらしい。あのネズミは聖剣が現れると少し怯みだした。

 本能であの聖剣が危険だと察したのだろう。そのせいでせっかく集めた悪魔力が少しずつ漏れている。


 ――なんだ、あの悪魔。聖剣を見ただけで怯えていやがる。たいしたことないな……


 そんな時だ――


 ――ん?


「せ、聖騎士様……はやっ、俺達もAランクハンターです。力になります!」


「ちょっとカイル一人で先に行かないでよ……」


 ギルドの入口から来なくても良い奴が入ってきた。


 ご丁寧にカイルから少し遅れてニナ、アルマ、サラ3人のカイルパーティーメンバーもちゃっかり入ってきた。


「ふふふ、俺が来たからにはもう安心です」


 カイルは、図々しく聖騎士の横に並び立つと、髪をかき揚げ微笑み、聖騎士に向かって親指を立てキランッと白い歯をみせた。


 ――お前ら要らんだろ……



 ――――――――――――――――――――

称号 クローの妻(1番目)

 名前 エリザ

 性別 女性

 年齢 17歳

 体形 ボボンッ、キュッ、ボン

 固有スキル 不老

       礼儀 剣術 ダンス 

 装備品と能力

 クローの小剣     防御不可

 クローのガントレット 金剛力、収納

 クローのベルト    認識阻害、身体強化、回復

 クローのブーツ    俊足、回避

 保護ネックレス    防護、障壁、位置情報

 質素なワンピース   サイズが合ってない。

 クローへの依存度(愛情)new 100%↑

 ――――――――――――――――――――――

 称号 エリザの妹?(仲間)

 名前 マリー

 性別 女性

 年齢 20歳

 体形 ボンッ、キュッ、ボン

 固有スキル キョウ運(強運)

       弓術 短剣術 狙い 

 装備品と能力

 クローの弓・矢    防御不可

 クローの短剣     防御不可

 クローのガントレット 金剛力、収納

 クローのベルト    認識阻害、身体強化、回復

 クローのブーツ    俊足、回避

 保護ネックレス    防護、障壁、位置情報

 ハンター女服上・下   

 クローへの依存度(信用) 160%↑

 ――――――――――――――――――――ー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ