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ブックマーク、評価ありがとうございます。
嬉しいです。
拙い作品ですが、楽しく読んで貰える様に頑張ります。
【*契約履行*契約は終了しました】
【契約者マリーから感情値500カナ獲得した】
――えっ!? まっ、待ってくれ! 今の無し!!
マシュマロみたいに柔らかいマリーのおっぱいをちょっと触って……いざ、これからって時にエリザから引き離されたのだ。
身体が元に戻り落ち着きを取り戻したマリーから「そうだ対価……」と、急に思い出したかのような呟きが聞こえた時には、俺の手は彼女のおっぱいに触れていた。
マリーが俺の手を取りおっぱいに押し付けたのだ。
思わぬ急展開に戸惑うのは一瞬で、俺の気持ちは高揚した。
そうエリザに「やることがあるの、後でいいわよね」と直ぐに引き離されるまでは……
マリーが「あれ、契約終わっちゃった」と呟いていたのでマリーにも某の声が聴こえたのだろうが――
――それ俺にも聴こえたから……
俺は心の中で泣いた。
しかもこれは短期契約になるはずなのに思った以上に貰えた感情値が少ない……踏んだり蹴ったりである。
契約には2通りある。短期契約と長期契約だ。
どちらの契約を締結するかは、悪魔個々の主観によりものが大きい。
というのも――
短期契約は契約締結後、毎日の感情値獲得とは別に最後(履行後)に貰える感情値がより多く貰える。
これは、俺が思うに血肉や、魂を求める悪魔や、早くたくさんの感情値が欲しいと何も考えてない知能の低い悪魔が好みそうな契約形態である。
逆に長期契約は毎日契約者から感情値を少しずつ貰う、ここまでは短期契約と変わらないが契約期間が1年を超えるか、超えないかの違いのほか、最後(履行後)に感情値を多く貰うことができない。
つまり長い期間感情値を貰えるメリットがあるが履行後の大幅獲得が無いというデメリットがある。
複数の人族と契約ができれば断然こちらの方が安定して感情値が獲得できるというものだ。
安定を求める俺としては長期契約の方が良いと思っている。
当然、エリザとの契約形態は契約更新時に、長期契約となっている。
期限が設けてない状態だ、おいおいと突っ込みたくなるかも知れないが、エリザは俺の妻(伴侶)という立場にあるのでここは大目に見てほしい。
だが、これはまあ……貰える感情値は契約者個人によっても違いがあるという認識(睡眠学習)があるのでどちらの契約形態が有利なのか? というと今のところ経験が無いことなので何とも言えない。
――ふむ。こんな認識だったはずだが……
そんなマリーは今、「ケガも治ったのだから、髪を整えましょうね」と自称姉だと名乗るエリザの手によって伸びていた前髪やボサついていた痛んだ髪をカットしている。
ケガを負ってから目まぐるしく変わる環境に、髪の手入れにまで気が回らなかったらしい。
意外にも器用なエリザは俺のやった小剣を使い綺麗にカットしていく。
マリーと会話を楽しみながら、サク、サク、と容赦なくカットしていく。
背中まであった髪も何のその、躊躇なく切っていく。
エリザは楽しげだが、マリーはバサバサ落ちていく大量の髪に不安があるのか顔色が悪く真っ青だ……何かしら俺に訴えているようだが……俺は見なかったことにした。
――マリー……どんまいだ。
そして、なんちゃって美容師エリザの手によって、リメイクされたマリーは――
前髪ぱっつんのショートカットがよく似合っていて、幼い茶髪美少女に仕上がっていた。
――ぷっ、なんか可愛い……
目を覆い隠すほど長かった前髪がスッキリ無くなり、顔全体がよく見えるようになった。
不安そうに俺たちを見つめる瞳は大きく、より幼く見える。とてもじゃないが20歳の女性には見えない。
――これでは髪型のせいで、大人っぽいエリザより益々年下に見えるぞ。くっくっく。
「うん、可愛くできましたわよマリー」
エリザも大満足でマリーを色んな角度から眺めている。
「えへへ、ありがとう」
顔色の悪かったマリーも、エリザから何度も「可愛い、似合ってる」と言われれば、満更でもない表情へと変わり、笑みを浮かべるまでになった。
不安は見られず純粋に髪をカットしてもらったことを素直に喜んでいる。
――エリザマジック恐るべし……
そんなマリーは、軽やかな足取りでお風呂場に設置された鏡の所に確認に向かったまでは良かったが、短い悲鳴をあげて、とぼとぼと肩を落として戻ってきた。
一方のエリザは仕上げた髪型によほど自信があるのか――
「可愛くなったでしょ?」
と目を爛々とさせてマリーに確認した。それをマリーは何も言わずこくこくと頷いた。目尻に涙を浮かべて……
「それで、ほらマリー」
エリザがマリーに何やら合図を送っている。マリーはそれを見てハッと何やら思い出したのか目尻に浮かべていた涙を慌てて手で拭い、意を決したようにエリザへ頷き返した。
――ん? 2人はいったい何をやってるんだ?
俺は訳が分からず首を捻る。
「クロー……さん」
「ああ。急にどうした? クローでいいぞ」
「あ、はい……そのクロー……」
マリーの声が段々と尻すぼみに小さくなる。
エリザはその様子をハラハラした表情を浮かべながらも見守るも、我慢できなくなったのか、小さな声で必死に何やら言ってる?
――頑張るのよ? ってはて?
「わたし……このまま、何も恩を返せずにクローとエリザから別れたくない……です」
「恩? それなら対価を貰ったから気にしなくてもいいんだぞ」
――それに感情値も貰ってる。
「でも……もう一度契約をしてほしい……です」
「契約を? まあ、俺は別に構わないが……」
――契約者が増えれば貰える感情値も増えるからな、俺から断る理由はない。
「何か願うことでもあったのか? 復讐か?」
「復讐なんて違います! わたし……助けてくれた2人に付いていきたい……ハンターパーティーの仲間に入れてほしいです!」
ふと、エリザの顔が視界に入るが、エリザはマリーに満面の笑みを浮かべこくこくと頷いてみせている。
――ふむ。
どうやら二人は既に話し合っていたみたいだ。いつの間に、と一瞬頭に過ったが直ぐに納得した。
――髪をカットしている時か……
「それなら、別に契約じゃなくても、普通に仲間に……「嫌です!」」
「へっ?」
「それは嫌です……わたし……こんなことがあったばかりだし1人になるのが不安なんです。
かと言って他のパーティーに入っても、また裏切られそうで怖い……
だからわたし……契約という縛りがあると、クローが近くに居るような気がして安心するんです。クローはわたしを助けてくれた恩人ですから……」
「そう……なのか?」
エリザを見れば頬を抑え照れ臭そうに頷いている。
――ふむ。まあ……エリザも頷いているってことは、そうなのだろう。
これは知らなかったが、契約をすると何らかの繋がりが俺との間にできるってことか……
「でも、俺は悪魔だぞ?」
「知ってますよ。だから……対価は何でもいいです。何でもします。お願いです」
「何でもってマリー……ちょっと待て考える」
――ふむ。俺としては悪魔だし、先程揉み損ねたおっぱいを……うおっ!?
俺がマリーのおっぱいを見たところで、エリザから鋭い視線が突き刺さった。
――ふ、ふむ……これはダメっぽい。ならば……
「よし、決まったぞ」
「はい、何でもいいですよ。ドンとこいです」
そう言ってマリーが自分の胸をドンッと叩くと、おっぱいが揺れた。
たゆん
たゆん
「!?」
――や、やはり……ここはおっぱいが……
ちらりとエリザを確認してみる……
――ひっ!?
鬼のような形相で俺を睨んでいた。背後にも真っ黒いオーラのような何かが見える。
「クローどうしたの?」
マリーが不思議そうに俺を見て首を傾げた。
「あ、ああ、すまん。マリーじゃあ……パーティーにいる間、エリザと姉妹のように仲良くしてやってくれ」
「えっ?」
「まあ、パーティーの仲間になりたい……なんて、元々契約するようなことじゃない。大した願いじゃないだろ?
だから期限は、マリーが次にやりたいことを見つけるまでにしておくぞ?」
――俺たちも大した目的はないんだけどな……
「はい、ありがとうございます」
マリーは元気よく俺に向かって頭を下げた。
【マリーとの契約が締結されました】
「マリーやったわね。よく頑張ったわ」
エリザは俺とマリーの契約が締結されたと分かると、嬉しさのあまりマリーに抱きついた。
――まだまだ、エリザもこういう所は子供っぽいよな……まあ、それも含めて可愛いんだが……
「エリザのお陰だよ。エリザが先に誘ってくれてたから……こんなわたしでも勇気が出たの……」
「そんな……私はただ……」
マリーから涙目で感謝され、エリザは照れ臭くなったのか顔を真っ赤にして言葉を濁していた。
こうしてマリーはパーティーの仲間兼エリザの義妹? となった。
だが、この後すぐ、マリーは大した願いじゃないって何だろうと疑問に思うことになる。
「ところでマリーは、ハンターとして何が得意なんだ?」
――俺はスキャンを使ったから聞かなくても分かっているんだが、エリザはマリーのことを知らないはずだからな。
「武器ですか? わたしは弓と短剣です。
1人でしたので遠くから射て、仕留め損ねを、短剣で止めを刺してました……
でも今はカイルたちに武器と防具を全て売却されてしまったのでしばらくは体術で頑張ります」
マリーは申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「そうか、今は武器と防具がないのか……ふむ」
「はい……今はお金がないので……あっ! でも、こう見えて、わたしは体術も得意なんですよ、ほら……見てください。どうですか?」
そう言ってマリーは目の前でシュッ、シュッとパンチ、キックを繰り出して見せてくれた。
マリーが言ったように、結構様になっているが、俺はキックの度に見えるパンツとたゆんたゆんと揺れるおっぱいの方が気になった。
――これは……けしか……けふん。いや、これは仲間として、他の奴に見せられんな。うむ。仲間として……
「ふむ」
「ダメ……でしたか?」
俺の反応が薄く感じたのか、マリーはしょんぼり肩を落とした。
「いや、悪くない。でもマリーの武器と防具ならあるぞ」
「へっ?」
そう言って俺はエリザと色違いの装備品を出した。違いは武器だけだ。
「これにはな……」
「え!」
俺はマリーに装備品に付与されている能力を1つずつ伝えていく。
「もうマリーは仲間だし、ケガしたら大変だからな」
「ふふ。マリーとお揃いね」
エリザは楽しそうに笑っているが……
「えっ!!」
マリーは規格外の装備品の数々にどう反応していいのか分からず固まっていた。
「それはマリー専用だからな、明日からは、それを装備するんだぞ。
……そうそう、それと、ガントレットには収納を付与しているんだが、その収納にちゃんと矢を入れといたからな。
矢が無いと弓は使えないだろ?」
「ふぇぇぇ!!」
これから唯一の常識人マリーは、元々お嬢様で世間に疎いエリザと、端から自重する気のないクローに翻弄されることになるのだった。
【今回、感情値500カナ増】
――――デビルスキャン――――
所属 悪魔大事典第29号
格 ランク第10位
悪魔 ナンバー960
名前 クロー
性別 男性型
年齢 23歳
種族 デビルヒューマン族
固有魔法 所望魔法
所持魔法 悪魔法
攻撃魔法 防御魔法 補助魔法
回復魔法 移動魔法 生活魔法
固有スキル 不老 変身 威圧 体術 信用
攻撃無効 魔法無効
所持スキル デビルシリーズ
契約者 エリザ、マリーnew
所持値 1800カナ↑
――――――――――――――――――
称号 エリザの妹?(仲間)
名前 マリー
性別 女性
年齢 20歳
体形 ボンッ、キュッ、ボン
固有スキル キョウ運(強運)
弓術 短剣術 狙い
装備品と能力
クローの弓・矢 防御不可
クローの短剣 防御不可
クローのガントレット 金剛力、収納
クローのベルト 認識阻害、身体強化、回復
クローのブーツ 俊足、回避
保護ネックレス 防護、障壁、位置情報
ハンター女服上・下
クローへの依存度(信用) 100%
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◎ハンターカード◎
表 裏
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マリー 戦闘能力
女 $%●%
20歳 スキル数
ランクC 4
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ステータスの表示は、次回から増減がある時だけ載せようと思います。
読みづらくてすみません。
1/10
契約形態の補足を加筆しました。
後の話に、契約についての補足説明があるかもしれませんが、その時はまた手直し致します。
ご迷惑おかけしてすみませんm(__)m




