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悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
乗り込んで大悪戯編(仮)
104/114

閑話〜夢世界〜

ブックマーク、評価ありがとうございます。


今年初投稿です。


本当はクリスマスに間に合わせなかったのですが、

間に合わず、正月バージョンに変更しました。

けど、それも間に合っていませんねm(_ _)m


少し長めですが、あまり本編と関係ありません。

ごめんなさいm(__)m

 俺だ。眠そうな表情の俺がいる。小学六年生くらいだろうか。色あせたジーパンに安っぽいジャンバー姿だ。


 ――ってあれ? ここってどこだ。


 俺がそう思った瞬間、引き込まれるように俺の目線が低くなった。


「ねぇ、九郎くん聞いてる?」


「九郎くーん?」


 ――九郎くん?


 ぼっーっとして立っていたらしい俺の顔を覗き込んでくるのはエリザとマリーっぽい。そして、その二人の背後のほうにはセリスっぽい娘までいる。


 ――ってことは、俺が九郎ってことか……


 そんな彼女たちも俺と同じくらい、小学六年生くらいの姿をしていた。

 しかも、前世に戻ったのかと錯覚してしまいそうな服を着ている。


 いや、視界にはいる街並みなど、その全てが前世そのものだ。


 ――うーん。どうなってるんだ……


「んー? なに、恵理ちゃん」


 ――恵理ちゃん? 小さくなってるが、どう見てもエリザだぞ、しかし、なんで口が勝手に開く……


「もう、私たちお揃いで服を買って言ってたよね。だから九郎くんの感想を聞きたかったの」


 ――感想?


 そう言われて俺は彼女たちの姿を改めて見た。


 彼女たちは揃ってニット帽をかぶり、色違いのカーデガン、その下にはミニスカートに黒いタイツ、足下にはふわふわ可愛らしいブーツ。ムートンブーツ? なのか、そんなのを履いていた。


 なんでも、安い。可愛い。質が良い。と評判の服屋さんで買ったグッジョブランドの服らしいり


 まあ、俺がそんなブランド知るはずないが、はにかみながらミニスカートの丈をちょこっと広げる彼女たちが微笑ましくもあり可愛らしくも思う。


「どう、かな?」

「へへ」

「九郎くん」


 ――うむ。三人ともよく似合ってる。


 俺は、妻たちに見た感想を伝えようとするも俺の意思では口が開かない。

 それどころか、身体は勝手に動き興味なさそうな表情をつくる。


「あぁ……うん。恵理ちゃんも、真里ちゃんも世莉ちゃんもよーく似合ってるよ。うん似合ってる」


 そして出た言葉はとてもダルそうで、褒めているようには聞こえない。


 当然、ぷうっと、頬を膨らませる恵理たちだが、半分寝ているような感覚の俺は、ぽりぽりと頭を掻きあくびをしている。


 ――くっ、なんてことを……


「ねぇ、本当に似合ってる?」


 疑いの目を向ける彼女たちに俺は平然と答える。


「うん似合ってる……」


 俺は、彼女たちを雑にあつかう俺自身の頭を叩いてやりたくなった。


 ――動け、俺の右手よ……


 けど、残念ながら今の俺は、そう思うだけで身体は勝手に動いている。まるで悪い夢を見ているみたいだ。


「もう。そんな眠そうな顔で言われてもね。どうせ九郎くんは、昨日遅くまで起きていて眠いんでしょ」


 それでも、しょうがない子を見るような優しい目を向ける彼女たちはくすくすと笑っている。


 こんな態度の俺に笑顔を向けれる彼女たちは、間違いなく寛容な心の持ち主だろう。


 ――なんていい子たちなんだ。


「あ、あれ、なんで知ってるの。僕、蕎麦を食べながら年を越すつもりで起きてたんだけど、途中で寝ちゃってた……あはは」


 ――ぼ、僕……というか俺はそんなことしてたのか……


「あはは、九郎くんらしいね」


「なるほど。それなら致し方ないな」


 口を押さえて笑うマリーだろうと思う真里に、感心したようにうなずくセリスだろうと思う世莉。


 ――いやいや、俺はそんなことしない。世莉も年越し蕎麦は、蕎麦を食べながら年を越すものでもないから、そこは感心するところじゃないんだ……


「ふふ、じゃあはい」


 くすくす笑っていた恵理が、ごく自然に俺に近寄ってきたかと思えば俺の右手を握っている。


 ――うぉ。 


「な、な、なに。どうしたの恵理ちゃん」


 口は俺の意思とは別に勝手に開くが、手を繋いだのなんて久しぶりだ。懐かしくもあり嬉しさが込み上がる。


「何って、今日は夢野神社に初詣に行くのよ。そんなふらふらして歩いていたら車にぶつかって危ないじゃない。ふふ、真里ちゃんは左手をお願いね」


「うん」


 元気よく返事をした真里も、ごく自然に俺の左手をぎゅっと握ってきて。


 ――おお。


「真里ちゃん。ぼ、僕は大丈夫なんだって……」


「だめです。電信柱を二本歩いたら世莉ちゃんもお願いね。仲良くみんなで行こう。あ、九郎くんは危ないからずっと真ん中だからね」


「ええ!」


「九郎くん。君の安全は私も守る。任せてくれ」


 にこりと笑った世莉が自分の胸をポンっと叩く。


 ぽよん。


 身体が小さくなっても彼女のおっぱいは元気に揺れている。


 ――な、なんと……


 状況が飲み込めずよく見てなかったが、彼女たち三人のおっぱいは、身長の割によく育っているではないか。


 ――……さすがは俺の妻たちだ。


「それじゃあ、お手手も繋いだし、出発だよ」


 元気な真里はテンションが高く、大きく腕を振って歩きはじめた。握っている俺の左手も一緒に。


「あ、ちょっ、真里ちゃんそんなに振り回さないで。頭が揺れる……」


「だーめ。ちゃんと寝てない九郎くんが悪いんだから」


「そんな…… ああ、視界がガクガク揺れてる……しかも、女の子に両手を引かれてるなんて……子どもみたい。恵理ちゃんも真里ちゃんも恥ずかしいから離して」


「それはだめ。ほらほら、ちゃんと歩いて行くわよ」


「九郎くん行くよ」


「はあ、分かったよ」


 ――しかし、お前は本当に俺なのか? なんか男としての本能が足りないというか、男らしくないというか、軟弱というか……なんだろう……って、もう勝手に動いてるし……


 俺がそんなことを考えている間にも身体(九郎)は勝手に動く。俺の意思とは関係なく。


 ――本当どうなってるんだ……ってどうしようもないか。


 俺が諦めにも似た感情を抱いている間にも、両手をしっかりと握られた俺は、両脇にいる二人から押される形で歩みを進めた。


 ――はて? 


 歩き出してすぐ、なぜか歩道が急に狭くなった。


 歩きにくいので俺の意思では彼女たちの前に行かせて、俺は後ろをついて歩くつもりだった。


 だが当の彼女たちもそうだが、九郎は俺の意思とは関係なく歩を進める。


 ――……頭もずっとぼーっとしてるし、この動かしたくても動けない感覚には覚えが……なんだっけ……んー。


 もう少しで、何かを閃きそうだと感じた時――


 むに。


 彼女たちの柔らかいものが俺の背中や腕に当たり始めた。


 ――……この感触はすぐに分かる。これはおっぱいだ。


 歩道が狭いからだ。歩道が狭いから必然的に、中心にいる俺に身体を寄せてくる形になったのだろう。


 ――これなら悪くない。じゃなくて、寧ろすごくいい。


 このままなら別に身体が動かなくても構わないかも、そう思った途端に、またしても俺の口が勝手に動く。


「そんなにひっつかないでよ」


 今の状況だったら口が裂けても言いたくない言葉だった。


 ――お前、なんてことを……そんなこと言ったら……


「もう。九郎くんの身体に力が入ってないから押してあげてるんだよ」


「そうだよ。二人で押さないと九郎くん重いんだから」


「うっ、それは……だって〜まだ眠いから……」


「だと思った。でもそれは夜更かしした九郎くんが悪いよ」


「う、うう」


 ――おお!


 一瞬、いつもは、なんだかんだで俺の言うことを聞いてくれる彼女たちだから、(九郎)が言ったとおり、本当に離れてしまうだろうと思ったが、彼女たちは、邪険に扱う(九郎)を逆に言いくるめてしまった。


 ――よく言った。偉いぞ恵理に真里よ。


 すると今度は俺の後ろにいた世莉がとんとんと軽く肩を叩いてきた。


「ん? 世莉ちゃん何?」


「うむ。たかだか電信柱二本だと思っていたが、ひとりでみんなの後ろを歩いていると長く感じてだな……どうも落ち着かん。

 私は先に、あの二本目の電信柱のところまで行って待っておるぞ」


 待ちきれなかったらしい世莉は、そう言い残し二本先の電信柱まですたすた駆けて行ったかと思えば、振り返りその場でぴょんぴょん嬉しそうに跳ねている。


「ふふふ。もう着いたのだ」


 たゆん。

 たゆん。


 その度に世莉のスカートは、ヒラヒラとめくれ、おっぱいは元気に弾んで俺の目を楽しませてくれる。だがまたしても俺の口からは――


「世莉ちゃん、あんなに張り切らなくてもいいのに」


 自分の意思とは違う言葉が出てくる。


 ――ぐぬぬ。なんてことを……


「いいじゃない。九郎くんは楽しくないの。私はこうやってみんなで行けるだけで楽しいし、うれしいよ」


「え!? 恵理ちゃんは楽しいの……人混みに行くんだよ? 疲れるよ?」


「もう、みんなで行くのが楽しいんだから関係ないの」


「なんでだよ……」


「ほらほら九郎くん。立ち止まったらダメだよぉ。歩かないなら、もっとぐいぐい押しちゃうぞ」


「あぅ。ちょ、真里ちゃん。そんなに押さないで……足が、足がもつれる」


 またしても彼女たちのたくましさに感謝しつつ、俺たちは神社に向かった。


 ――――

 ――


 神社に近づくにつれ人が多くなり、敷地内に入るころには、かたまって歩かないとすぐにはぐれてしまいそうなほど大賑わいだった。


「着いた〜」


「あら、もう着いたんだ……」


「九郎くん、途中から早く歩くから……」


「そうだぞ九郎くん。歩道はゆっくり歩くものだぞ」


「だって恵理ちゃんたち……わざとゆっくり歩いていたよね?」


「そう? 私たちは普通に歩いていたわよ」


「そうだよ」


「うーん、そうかな……あ、もう手を離してもいいよね?」


「まって、こんなに人が多いんだから、今手を離したりしたらはぐれて……ぁ、九郎くん?」


 九郎はダルそうに身体の力を抜きダラダラと歩いていたのだが、両手を握る彼女たちが笑顔を向けた一瞬の隙をつき、その手をさっと離した。


 ――あ、こら。何勝手なことしてんだ。


「僕は子どもじゃないんだ……それに、そんなすぐ、はぐれるわけないじゃ……あ、あれ?」


 言ったそばから九郎は彼女たちを見失ってた。


 周りを見渡そうにも背が低くなっているため、初詣に来ている大人たちが邪魔で周りがよく見えない。


 ――ぐぬぬっ、勝手に動くこの(九郎)が憎い。


 俺がつまらなさそうな顔で立つ九郎に苛立ちを覚えたところで――


「きみきみ」


「ん?」


「そうです、君です。九郎くんこっちです」


 屋台から身を乗り出したキレイなお姉さんが手招きしていることに気がついた。


「? なんで僕の名前を知ってるの……」


「ふふ、お姉さんだからです」


「ふーん」


 怪しいお姉さんから、答えになってない答えが返ってきたが、九郎は別に興味がなくどうでもいい感じだ。だから、疑うことなく納得してしまった。


 ――いやいや九郎。そこは納得したらダメだろって、んん? あれ……イオナか?

 人族姿のイオナが、というかなんだあの格好……


 だんだんわけが分からなくなってきた俺だが、先ほどから九郎に声をかけていたその人物は、忍者が着るような黒い袴になぜか襟が伸びた黒Tシャツ。その上に赤いハッピを羽織っている。ついでに足下には足袋とワラジを履いていた。


「お姉さん。僕に何か用?」


 そんな姿だが、不思議なことに誰一人として気にすることもなく、奇異の目を向ける者もいない。無論九郎もだ。


「ふふ。九郎くん。君がひとりでつまらなさそうに歩いていたからつい声をかけてしまいました」


「ふーん」


「誰か探しているようだけど、焦っている様子もないし少しくらい時間ありますよね?」


「まあ、そうかもしれないね……」


 ――おいおい。


「これ、どうです、してみません? 当たるとスカッとするから、いい気晴らしになるよ」


 そう言ってイオナらしい人物がにこりと微笑みかける。


 ――ほう。俺の前ではいつも強張った顔しているが、やはり女性は笑顔のほうがいいようだ。


「射的屋の衣緒ちゃん? 射的なんだ……」


「そうよ。ちなみに衣緒ちゃんとは私の名前ね」


「ふーん」


 ちらりと看板を見た九郎が少し興味を示したようだったが、俺はまた頭を捻ることになった。


 ――衣緒? もうわけが分からんな。


「射的……」


 ちらりと賞品を眺めた九郎が、衣緒の店のほうに近づいた。


「ふふ。一回百円で三回打てるんだけど、九郎くんは私が声をかけたから……はい、特別にサービスしてあげるよ」


 近づくと笑顔で迎えてくれた衣緒がコルク弾が三個入った器をカウンターに置き、射的の銃を九郎のほうに差し出した。


「サービス……」


「そうよ。これサービスね」


 衣緒が可愛らしくウインクして見せる。イオナは生真面目なのでなかなかお目にかかれない仕草だが、これは、なかなか悪くない。


「うーん」


 当の九郎は、そんな衣緒の仕草などお構いなしに、すぐにコルク弾に視線を向け悩みはじめた。


 ――おいおい。九郎、ここは恵理たちを探すのが先だろ。見つけた後また来ればいいだろ。


 だがしかし、数秒ほどコルク弾を眺めていた九郎は――


「……うん分かった、やる……」


 あっさりとその誘いに乗り射的銃を受け取った。


 ――おおーい。


「ふふ。そうこなくてはね。これはその飛び出したレバーを引いてからコルク弾を銃口に差し込むのよ」


 一方、衣緒のほうも、笑顔のままカウンターから身を乗り出し九郎に射的銃の扱い方を伝え始めた。


 ――九郎、お前……恵理たちが探しているというのに……あ、れ? 衣緒のおっぱい、が……見える?


 小学生サイズの(九郎)に説明をする衣緒は、目線を合わせるために身を乗り出すようにカウンターに手をつき、少し前屈みになっていた。


 衣緒の伸びた襟がダランと下がり、その間からきれいなおっぱいの谷間だけじゃないが、すべてが見えてしまっている。


 これだけ襟がダランと垂れ下がっていれば気づきそうな気もするが、なぜかもっと見てほしいそうに感じ取れるのは俺が都合の良く捉えているだけだろう。


 ――……ふ、ふむ。まあ、少しくらいなら……九郎もやりたそうだしな。少しな、少し……


「どう、分かったかな?」


「うん分かった……こうだね」


 九郎はやっぱり目の前のおっぱいに興味を示さず、平然としたまま説明を聞き、射的銃のレバーを引いた。

 衣緒の顔が少し引きつったように感じたが気のせいだろう。


 ガチャ


「……次にこれね。はい」


「あ、うん」


「そのコルク弾を銃口に詰めて」


「うん……あれ、少し大きくない? なかなか入らないけど?」


「そうですか、おかしいですね。もっとぎゅっと押してください」


「うん。分かった……このぉっ……おっ!? 入っ……」


 衣緒から受け取ったコルク弾を、力を入れて銃口に差し込んだと思ったが――


 ぽんっ!


「あっ」


 差し込んだはずのコルク弾が、銃口から勝手に飛び出して目の前に屈んでいた衣緒のおっぱいに当たりカウンターに落ちた。


「あ、なんか勝手に飛び出してきたことない……?」


 すまなそうにする九郎とは反対に衣緒はにこにこ嬉しそうにしている。


 ――おっぱいに意識がいってたから……よく見てなかったが、九郎がトリガーを引いたのか?


「ふふ。私の胸は賞品ではないのだけど……」


 ――そりゃそうだ。


「でも、当てたのだからしょうがない。私を持って帰ってくれるかい?」


 ――ぶっ! 衣緒も何を言って……


「ん? いらない」


 そんなやりとりも、空気の読めない九郎はバッサリと切り捨てる。


「……ははは……冗談だよ。冗談……」


 衣緒も衣緒で、笑ってなかったことにしたようだが、その目が笑ってない。


 ――本気だ。衣緒は本気だったんだ……


「ねえ、お姉さん。いまのはノーカンでいいよね?」


「も……もちろん」


 その後は、わざわざカウンターから出てきた衣緒が、こうやるんだ、とか、もっと脇をしめて、とか言いつつも執拗に九郎の身体に触れたり、猫のように身体を押し付けたりして射的ゲームを楽しんでいた。衣緒のほうがだけど……まあ、俺も得した気分を味わったが……


 だがやはり九郎はというと、相変わらずというか、無関心というのか、何も気がついておらず、ただ射的をして一発も当てれなかったことを悔しがっていた。


 まあ、打つ瞬間に衣緒が銃口を少しずらしていたのだが当たるはずもない。九郎にはいいきみだからいいんだけど。


「あーくやしい……」


「まあまあ。ほら九郎くんこれでも食べよう」


「くれるの。ありがとう」


 だがそれもすぐに、衣緒が多めに買ったからとくれた肉まんを手にすると表情を明るくした。そして――


「こっちに座って一緒に食べ……」


「お姉さん。射的楽しかったよ。またね」


 まだ話をしている衣緒にさっさと挨拶したかと思えば、その肉まんを口に咥えて早々と駆け出した。


「ああ、九郎くんが……」


 ――ああ、衣緒のおっぱいが遠のいていく……


 ――――

 ――


 駆け出した九郎は神社のほうに向かっていた。


 きょろきょろ辺りを見渡し歩いているので、一応恵理たちを探してはいるようだ。


「はあ、肉まんはうまかったけど、みんないないし、もう帰りたい」


 ――お前が手を離したから悪いんじゃねぇか……


 九郎の頭をまたハタきたくなったが、九郎は俺自身なのでどうしようもない。


「おーい。九郎くん」


 トボトボと歩いてる九郎にまたまた屋台のお姉さんが声をかけてくる。これまたさばさばした感じに見えるが、かなりの美人さんだ。


「んん?」


「よう」


 その声に気づいて顔を向ける九郎に、そのお姉さんは親しげに片手を上げた。


 ――……なんだ、ライコじゃないか。


 その人物は俺の知るライコに似ている。そして、衣緒につづきその格好はやはりおかしい。というか今回はまずいと思う。


 人が賑わう中なのに、悪魔の姿でタンクトップにホットパンツを履いている。しかも足下にはサンダルときた。


 引き締まった身体のライコによく似合っていて色気もある。悪くはないが……


 ――さすがに悪魔の姿では騒ぎになるんじゃないのか?


 だが、ここでもまたそのことを気にする者は誰もいない。


「ん? なんで僕の名前を知ってるの?」


 もちろん九郎もだ。


「あたいがお姉さんだからさ」


「ふーん」


 ――……。


 このやりとりも二度目なので、何も言うまい。しかし、なんだイオナもライコもお姉さんというワードが気に入っているのだろうか、俺が不思議に思っている間にもライコは話しかけてくる。


「九郎くん。あたいは雷子ってんだ」


「うん」


 ――ライコじゃなく、雷子……


「いろんな屋台が並んでいて楽しめるはずなのに、君だけはつまらなそうな顔をしてるんだ。だから不思議に思っても仕方ないだろ」


「だって……みんな勝手にはぐれるから……みんなを探してばかりでつまらないんだよ」


 ――みんなを探してばかりって射的してたろ、それにお前が勝手にはぐれただけだろが……


 なんだが俺は頭痛がしてきた。しないけど……


「そうか……じゃあ、これを見てみなよ」


「ん? 何」


 雷子が屋台にある水槽に指を差す。でもここからでは中まで見えない。


「金魚?」


「おしい……ほらこっちきて見てみな……」


「ふーん、分かった」


 ――金魚じゃないのか……じゃあなんだ?


 なんだろうと近づいた九郎が中を覗き込む。俺も少し興味があった。


「んん?」


 覗き込んだ水槽の中には色鮮やかな生物が泳いでいた。分からなかったらしい九郎は首を捻ったが俺にはこれが何だか分かった。


 ――おいおい、これって……


「珍魚だ。だからこれは珍魚すくいってんだ」


 ――ぶっ! 


 腰に手を当てにかりと笑った雷子は、右手に持っていたポイを九郎へと突き出した。


 ――違うだろ。これはおたまじゃくしだ。色がカラフルだから珍しいといえば珍しいとは思うが、おたまじゃくしは魚じゃねぇ。


「へぇ、珍魚……と言うんだ」


「そうだ。九郎くん、やってみないか? あたいもちょうど暇なんだ、サービスするぜ」


 ちょうど客がはけているのか、暇だと言ったとおり雷子の店には九郎以外のお客がいない。


「ああっ! こいつだけ脚が生えてる。カッコいい……」


 ツッコミどころ満載なのだが、珍魚を目にしてからの九郎は、眠そうにしていた表情から一転して、目を爛々と輝かせはじめていた。


 ――格好いいってお前、なんでお前は俺なのに、おたまじゃくしを知らないんだ……


「どうだい。サービスだしやるだろ?」


「うん。やる」


「よし、そうこなくっちゃな。ほらよ。とれるといいな」


 笑顔の雷子が気前よくポイを五本差し出している。


「こんなにいいの……」


「いいぞ。邪魔になるだろうから一本ずつ渡してやるよ。だから、まずはすくいたい珍魚を探しな」


「わかった」


 珍しく元気にうなづいた九郎だったが、九郎ははじめから脚の生えたおたまじゃくしに釘付けになっている。


「お姉さん、決めたよ」


「じゃあ、そいつから目を離さないようにして、手を出しな。あたいがポイを渡してやる」


「うん」


 九郎は言われたとおり、狙っている脚の生えたおたまじゃくしに視線を向けたまま雷子に向かって手を伸ばす。


 むにゅ。


 ――ん? この感触は……知ってるな……


 むにゅ。むにゅ。


「あはは、九郎くん。それはポイじゃなくあたいのパイだ」


 ――だと思った……もう、これはわざとだろ。


 そう思いつつも、もう一揉みしようと思うが俺の手は動かない。九郎は不思議そうに顔を上げ首を捻る。


「あれ……なんで?」


「あたいのパイのほうがいいってなら遠慮なく……」


「いや、それだと珍魚すくえない……早くポイちょうだい」


 さらに胸を張ってパイを強調している雷子のパイには目もくれず、九郎は早くポイをくれと右手をくいくいしながら出している。


「……そ、そうだよな。あたいのパイじゃ珍魚はすくえないもんな……あはは、ほらよ」


 今度は雷子が不思議そうに首を捻った。


 そのあとは普通に珍魚すくいに挑戦した九郎だったが、結局、脚のあるおたまじゃくしは元気がよく、すくうことができなかった。


「あー最後のポイも破けちゃった」


 悔しがる九郎だが、雷子はにやにや顔が止まらない。


「ははは、残念だったなぁ」


 雷子はポイが破られる度に、惜しかったな、と九郎の頭を執拗に撫でたり、身体を触ったり、匂いを嗅いだりと、まるで猫のように戯れていた。


 まあ、俺は気づいていたが、珍魚すくいに夢中の九郎は気づいていなかったが……ほんと雷子は何がしたかったのやら……


 そんな時だ――


「クローがう」

「いたがぅ」


「ん?」


 聞き覚えのある声が聞こえ、背後から腕が掴まれた。ニコとミコの小さな手だ。


「セラ待ってるがう」


「セラのところ行くがぅ」


 ニコとミコは俺の反応を待っているが、その格好は巫女服だった。小さな二人に似合っていてかわいらしい。


「だれ?」


 だが、誰だか分からない九郎はニコとミコに向かって首を捻っている。


「むぅ、設定では二子がう」

「三子がぅ」


 ――設定? ……んー、なんか思い出しそうな……


 なんとなく、あともう少しで何かを思い出しそうな気がするが、九郎が勝手に口を開くため、集中できない。


「ふーん。君たち小さいね。何年生?」


 ニコとミコをまじまじと見た九郎は、二人の頭に手を置きくすりと笑った。


「むぅ。ニコ小さくないがう」


「ミコも小さくないがぅ。ミコはお姉さんがぅ」


 ――またお姉さんって……あ、思い出した。たしかエリザたちにやった雑誌の中に男コロコロ塾という年上のお姉さんはモテる特集があったような、ないような……


「お姉さん? 君たちはこんなに小さいのにお姉さんなの?」


 疑いの目を向ける九郎に――


「むう、クロー。見てるがう」


「そうがぅ」


 少しムキになったニコとミコが片眉をぴくりと上げたあと、何やらブツブツと呟き始めた。


「へぇ、何を見せてくれるのかな?」


 九郎は面白いものでも見れるのかと期待の目を向けるが、これは魔法を唱えているのだろう。

 すぐに詠唱を終えたニコとミコが人差し指を天にかざした。


「「桃色魔法むんむん、がう!」がぅ!」


 ニコとミコの身体がピカリと光り、一瞬にしてニコとミコはピンク色の煙に包まれた。


「けほ、けほ……何? 急に何が起きたの」


 不思議とニコとミコが魔法を使ったことに気づいていない九郎は口元を押さえながら煙を払っている。


「ふふふ、見るがう」

「がぅ」


 そんな勝ち誇るニコとミコの声のあとに煙はさーっと晴れていく。


 ――ん?


 九郎の目の前に仁王立ちするニコとミコが現れた。


 ――おお!


 その姿は先ほどまでのちんちくりんとは違う。なんとニコとミコはモデル並みに背が高くなり、ぼんきゅっぽんのムチムチナイスボディの姿になっていた、のだが――


「えーと……」


「どうがう、驚いたがうか?」

「がぅか?」


「うーん。驚いたけど、なんかちょっと変……かな」


 ――……うーむ。


 九郎がそう言うのも無理もない。二人の身体はすごいが顔は幼さが残った元のまま。かなりバランスが悪い。


 正直、ナイスボディになったニコとミコに一瞬だけトキメキそうになった自分に笑いがこみ上げてくるレベルだった。


 ――……ぷっ、ぷくく……


「この魔法苦手がう」

「ミコもがぅ」


 眉をハの字に下げて少ししょんぼりする二人だが――


「うわ……本当にお姉さんだったんだ……」


 それでも九郎には十分だったようで、背が高くなった二人を見上げて納得してしまった。


 ――おおい。


 その言葉を聞いた二人もまた、しょんぼり顔から一転してぱあっと明るい表情になり胸を張るものだから、おっぱいがすごいことになっている。


「そうがう、ニコはお姉さんがう」

「ミコもお姉さんがぅ」


 だがいかんせん顔と身体がマッチしないため癒しよりも笑いのほうがこみ上がる。


 ――くくく……


 だがそれも五秒ほどのことで、すぐにしゅるしゅると萎んでいき、ニコとミコは元のちんちくりんの姿に戻った。


「……がう」

「……ぅ」


「あれ? 戻った?」


「こ、これは……セラバスがう。セラバスのせいがう。出番の少ないセラバスがじゃまじゃ魔法でニコたちの邪魔をするがう」


「セラバス? じゃまじゃ魔法?」


「そうがぅ。ミコたちと一緒の衣装が気に入らないがぅ」


 ――おいおい、そんなはずないだろ……ん?


 お姉さんとまだまだ呼ばれたかったらしいニコとミコは、九郎に一生懸命意味不明なことを言って弁明するが、そのニコとミコの頭に誰かの手が伸びてきたかと思えば、ガシッと鷲掴みにした。


「それは初耳ですね。ニコさん、ミコさん」


「がう!」

「がぅ!」


 その声に反応したニコとミコは、頭を鷲掴みにされたままふわふわのしっぽをピンッと立たせて固まってしまった。


 ――セラ……


 なんとセラは、ニコとミコと同じく巫女装束だが、丈が短いスカートバージョンの巫女服だった。


 ――おお。


 スラリとした長い脚が際立って色っぽい。こんな姿、滅多にお目にかかれないため貴重なため得した気分だ。


「やっとお会いできましたクロー様」


 そんなセラはニコとミコの頭を掴んだまま、九郎を見てにこりと微笑んでいる。


「はぁ、なんて愛らしいお姿に。ですがそろそろ夜が明けますので元の世界に戻るとしましょう」


「夜が明ける? 元の世界?」


「はい。ここはティア様の創った夢世界です」


 ――ティアの夢世界……夢世界……夢……そうか、これは夢だったのか。


 セラの言葉で夢だと自覚した瞬間、今まで勝手に動いていた九郎がすっーと俺の中に溶け込みだんだんと記憶が蘇る。


 ――そうだ……


 たしか、みんなで鍋パーティーをしている時に、俺が前世の世界の話を少ししたんだ。


 そこでは、初詣という習慣があり、それは一年の感謝を捧げ、新年の無事や平安をお祈りするのだと伝えた。

 それをみんなが面白そうだと言いだし、ティアが夢世界で再現してくれる流れになった。


 そして俺たちは遊び感覚で夢世界に入ったのだ。


「セラ助かった。やっと自分の意思で動けるようになったぞ」


「やはり……そうですか。ティアには私が責任持ってお仕置きをしときますので……」


 ――うむ。お仕置きは……少し可哀想か。


「セラ。大変だったが、俺は懐かしい雰囲気も十分楽しめた。だから今回は何もしなくていいだろう」


「しかし……」


 俺の言葉に少し不満げな表情をしたセラの手元からぼそぼそと何らつぶやき声が聞こえてくる。


「きっと出番が少なかったからがう。ティアに逆恨みがう」


「違うがぅ。ミコたちと衣装ががぶったのが気に入らないがぅ。ミコたちのほうが似合ってるがぅから」


「そうかもがうな。それに、ナナはもっと出番が少ないのにセラバスは意外と贅沢がう」


「違うがぅ。ナナは伴侶契約してから余裕がぅ。だから余裕がぅ。でも今が逆にチャンスがぅ。もっとミコたちが出番をとるがぅ」


「そううがうな」


「そうがぅ。そういえばマゼルカナはもっともーっと出番がないがぅ」


「マゼルカナはお菓子を食べれば満足するがう」


「そうがぅな」


「ニコさん。ミコさん。その口、そろそろ閉じないと……潰しますよ」


 ――おわっ。


 言いたい放題の二人にトーンを下げたセラが笑みを向けた。


 俺が見てもひやっとする笑みだ。


「う、嘘がう」

「冗談がぅ」


 言わなきゃいいのにと呆れるも、ガクガクぶるぶる震える二人が少し可哀想になったので少し助け船を出してやった。


「まあまあ。セラもその巫女装束はよく似合ってると思うぞ」


「そう、なのですか?」


「ああ、だからセラも色んな衣装を着てくれると俺も嬉しいしぞ」


 ――もっと際どい服を着てくれれば、いいんだがな……


「そ、そうですか。クロー様がそれを望むのならば……お任せください」


 最後のほうがよく聞こえなかったが、珍しく照れたように見えたセラは、掴んでいたニコとミコの頭から手を離した。


「いまがう」

「クローないすがぅ」


 メキメキと音を立ていただけに、セラの手が離れた瞬間、頭をさすりながら逃げたニコとミコは、一番安全な場所だと判断した俺の背中にピタリと貼りついた。


「おいおい」


「気にしないがう」

「がぅ」


「まあいいけど、それよりセラ。これからどうするんだ?」


「は、はい。あちらに社務所があるのですが、そこから元の世界に戻れます」


「そうか。でもな、エリザたちとはぐれたままなんだ」


「それならば大丈夫です。すでにエリザ様、マリー様、セリス様、イオナ様は社務所のほうで待機しております。ナナ様とマゼルカナもおります」


「そうか、みんなはもう居るんだな」


「はい。それでなのですがクロー様」


「どうした?」


「はい。この夢世界は夜明けの瞬間にしか扉が開きませんので少し急がなければなりません」


「しまった。そうだったな。たしかティアにそう言われたな」


「はい。その瞬間を逃すと、次の機会まで丸一日待つ必要があります」


 東の方角を見上げれば少し明るくなっている。これはセラの言うとおり、もうすぐ夜が明けそうだ。


「まずいな、あまり時間がなさそうだぞ」


「クロー様、飛んだほうが速いので、飛んでいきましょう。ライコ様もついてきてください」


「あ、ああ」


 正気に戻ったらしいライコも顔を赤くしてぽりぽりと頬を掻くと羽根を広げた。


 あれほど人混みに溢れていた世界が、今はウソのようにがらんとしている。


 この世界に居るのは俺たちくらいで本当にここが夢世界だったのだと思い知らされた。


「俺もついて行くぞ……」


「はい」


 俺もライコと同じく翼を広げようとするも――


「あれ、おかしい。翼が開かないぞ」


 それができなかった。人化したまま元に戻れなかったのだ。


「ティア様の夢世界は色々と制約設定がなされているようですね。

 でもご安心ください、私は普通に飛べますので私の腰に掴まりください」


「なんならあたいにつかまってもいい……」


 ライコがそう言いきる前に、セラが俺の両手を掴み腰へと回した。


「セラいいのか?」


「断る理由はありませんよ」


「ライコもありがとうな」


「あ、ああ……」


 口には出さないが、腕を回したセラの腰は細いが、女性らしく柔らかくもあった。


「これはいい……」


「ん? 何か言われました?」


「いや、何も……」


 ――いかんいかん。思わず本音が漏れてしまった。


「そうですか。では行きます」


「頼む」


 セラの耳が少し赤くなっている気がしたが、セラに限ってそれはないだろうと思い直し、腰に回したセラの感触のほうを楽しむことにした。


 セラ、ライコ、ニコ、ミコが一斉に羽根をひろげて飛び上がる。


「ここです」


 そしてものの数分で目的地の社務所についた。階段を駆け上がらなくていいだけでもかなり早く着いたと思うが、セラの柔らかさを楽しむ暇がなかった。


 そして、急いで社務所に入ると――


「「「「「クロー」」」さま」様」


 俺の名前を呼ぶみんなの声とともに、茶色の全身タイツを着たトナカイ姿のナナが抱きついてきた。


 ――このタイツ!?


 むぎゅ。


「やっと来た。もう遅いよ〜……? 季節すぎちゃったよ。あれ? クローさまが小さくてかわいい」


「すまんすまん。って、ナナ。そんなピチピチ全身タイツのトナカイの格好で抱きつくな」


「これボディースーツじゃなかったっけ? ほら、一度だけ着たような、そうでないような。ああ、そんなことより今回は出番が少ないからいいの」


「もぐもぐ……ボクのほうがもっと少ないカナよ」


 うしろのほうでは大きなモチの着ぐるみを着たマゼルカナが、香ばしい匂いを振り撒きながら、焼いたモチに醤油をつけてもぐもぐと食べている。


 その隣には小さな妻たちが同じようにモチを食べている。


「クロー。おもちっておいしいのね」


「主殿、お雑煮とやらも、はふ、はふ、なかなか……おいしいのだな」


「そ、そうか」


「わたしは砂糖醤油がいいな」


「ボクはやっぱりきな粉と砂糖カナ」


「カナ自身も、なんかおいしそうな格好だな」


 マゼルカナの名前は面倒なのでカナと呼ぶようにしたが、カナは別にどっちでもいいらしい。


「うん? ……気がついたらこんな格好だったカナ」


 マゼルカナはモチがすっかりお気に入りのようで、俺が見ている間だけでも三つほど口に入れていた。


「そんなことよりナナ様、少し離れてください」


 流れる動作で抱きついていたナナをセラが綺麗に剥がす。


「むう。小さなクロー様を味わっていたのにぃ。またセラバスが邪魔をする」


「邪魔ではありません。それにもう間もなく時間です。皆さん、ここに出口が現れたら一斉に飛び込んでください」


 頬を膨らませるナナを軽くあしらったセラが、夢世界の出口が現れる場所に手を向けた。


「わかった」


 それから間もなく現れたら夢世界の出口から俺たちは元の世界に戻った。


 ――――

 ――


「あらあら〜、クロー様おはようございます。それに皆さんもお帰りが早かったですね〜」


「ん? その声はティアか」


 ティアの声は俺の頭の上から聞こえてきた。


 ――そう言えば、俺の枕が柔らかい。


「はい〜ティアです……ふふふ。クローさまの寝顔は良かったですよ〜。思わず頬ずりしちゃいました〜」


「これは膝枕……か?」


「気持ちいいですか〜。なんなら、このまま私と二度寝してみます〜ふふふ」


 そう言ってティアが俺の顔や頭を触ってくる。ティアは横座りで膝枕をしてくれていて、柔らかく高さもちょうどいい。


「いや……いやじゃない。けど……」


 眠りたくなくても、ティアが触れる度に眠気が押し寄せてくる。


「クロー様」


 だが、そんな眠気もセラの声に一瞬で吹き飛び、俺は慌てて飛び起きた。


「あら〜残念〜」


 残念そうには見えないティアを横目にセラに向き直る。


「セラも戻ったのだな」


「はい。どうやら皆さま無事戻れたようです」


 セラはゆっくりと起き出したみんなを見ながらそう言った。


「ふむ。しかし残念だったな初詣」


「そうですね。せっかくの機会でしたが、時間が足りませんでしたね」


「ふむ……そうだ」


 結局参拝はできなかったが、せっかく悪魔界に本物の神がいるので、そちらに向けてみんなで手を合わせた。


 ――よい年でありますように……


 ――あと、無茶な任務がきませんように……


【くくくっ、善処してあげるね♪】


 ――うぐっ。


 笑い声とともにそんな声が聞こえた俺は、忙しい年になると確信するのだった。


最後まで読んでいただき本当にありがとうございます^ ^


ちゃんと本編も書いてます。



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