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いつも励みにしてます。
年末にかけ、色々と忙しく
執筆が思うようにできてませんでした
ご迷惑おかけしてすみせんm(__)m
俺はグウの迷宮に設置したゲートを使って屋敷の管理室に帰ってきた。
「クロー様、おかえりなさいませ」
「おおセラ」
ゲートを抜けてすぐ、頭を軽く下げているセラの姿が目に入る。
いつも一番に出迎えてくれるセラの姿とその声を聞き、我が屋敷に帰ってきた安堵感を抱いた。
「今帰った」
「おめでとうございます。無事に新しいゲートを設置されたのですね」
「ああ、すべてうまくいったぞ……」
――んっ!?
頭を下げていたセラが姿勢を正すと俺はその姿を見てらしくなく動揺してしまった。
――んん?
「……」
「どうかなされたのですか?」
言葉の詰まった俺を、セラが心配そうに俺の全身を眺め始めた。ケガをしていると勘違いさせてしまったらしい。
「い、いやなんでもない。しばらくは今回のことで客足が遠のくだろうから、まだまだ感情値のほうは期待できないだろう」
「左様でございますか」
――見間違い、ではないか。
何度か瞬きしたり両目を擦ってみたりしたが、俺の勘違いなどではなかった。セラの姿がいつもと違うのだ。いや、言い方が悪かった。
執事服はキチンと身につけているがその中、上着の下には、いつもパリッと清潔感溢れる真っ白なブラウスっぽいやつを身につけているが、今はそれがない。
――……ふむ。
それが何を意味するのか、など言うまでもないが、お察しの通り大きく開いた胸元から、セラの可愛らしいおっぱいがまる見えになっていな。
――どうしたことだ、これはなかなか……こぶりながら実にけしからんではないか。
仕事にしろ私生活にしろ、いつもキッチリ完璧な姿しか見せたことのないセラだけに、今日に限ってどうしたのだろうか、とは思いはするが、すぐに俺の意識は慎ましく主張するおっぱいに向けられた。
――……やはり、けしからんか……ん?
セラのおっぱいを眺めていると、偶然というかたまたまセラの後方、部屋の壁にある時計が俺の視界に入った。
――……朝方の四時。
この俺の利用する使用空間は、セラに頼み人界と同じ時間の流れにしてもらっている。
そのため、人族の願い声がなければ、基本的に夜から朝にかけては人族と同じように寝て過ごすようにさせている。
ほら、ただでさえまともな休みのないブラック企業体質の支配地経営なのだから、主として配下たちの皆にも休める時には身体を休めて欲しいと思ってのことだ。
まあ俺の場合、別の意味での癒しの時間でもあるから必要なのだが、もともと体力が人族よりも優れている悪魔は、数日に一度、少しの睡眠を取れば事足りる。
だから、この空間を管理するセラは知っているだろうが、配下たちの皆が実際はどのように過ごしているかなんて俺は知らないんだけどな。
――……セラの頬……何の跡だ?
「クロー様? どうかされたのですか?」
「あ、いやぁ……」
――あっ……これは……ぷっ。
そこでようやく俺は、セラの頬にできた跡が枕か何かの跡だと気がついた。
実際は等身大クロー抱き枕に抱きついていた跡なのだが、今のクローに知る由もない。
――なるほど。そうか、これは俺が突然屋敷に帰ってきたもよだから……寝ていたセラは慌てて中に着る服の具現化をしないまま上着のほうを先に具現化させたのだろう……あのくっきりついた枕の跡、これは間違いない。
ふふ、焦るセラね……服を具現化し忘れるなんて、なんか可愛いな。
そんなことを思っているとセラの表情が突然真剣なものへと変わり――
「クロー様。その、おつかれのところ申し訳ございませんが、ご報告することと、支配地が増えたことで私から少しご提案がございます」
そう言うや否やセラがまた頭を下げた。
今度は先ほどよりも深く頭を下げたため、セラの胸元がガバっと開き慎ましいセラのおっぱいでも――
ぷるっ
――ぉ……
ぷるぷるっ
――おお……
しっかりと揺れているのが見える。
――って、喜んでる場合じゃない。
「……わ、分かった。頭を上げて聞かせてくれ」
セラ自身はそんな状態だったとは気づいていないのだろう。
「ありがとうございます」
そう言って頭を戻したセラは少し口元が緩んでいるように思えてたが、すぐにいつもと変わることなく淡々と報告を始めた。
「では、まずはご報告から――」
「うむ」
だが、すでに俺の意識と視線はセラのおっぱいに夢中のため、セラの話なんてまったく聞こえてこない。
――あぁ、この感じ。これだよこれ。あの見習い聖騎士で溜まっていた変な鬱憤や疲れが癒される……
ふふ、セラのおっぱいは、そうか……魔力切れを起こしたあの時以来か……これはかなり貴重だな、たっぷり堪能せねば。
「――ということがあり、次に、私からのご提案なのですが……」
「ああ」
――しかしなんだ。角度的に、もっとどうにかならんのか、もっとこう……あ、半歩動けばいいのか。
「――なのですが……」
「うむうむ」
――っと……おっ!? おお! この角度。ふはっ……これはセラもなかなか、けしからんではないか……
「――と、言うようなことも今後はクロー様には必要なことと思われます……」
――ああ、小刻みに揺れる僅かな揺れがなおいい感じで……癒される……
「……様?」
――あー、このまま何も考えずにずっと眺めているのもいいなぁ……
「……ロー様?」
――ぬ、動かれると、角度が……あ、セラのおっぱいが近くに……
「……ふは」
「クロー様?」
「うおあっ」
――近っ!
セラのおっぱいに夢中になって気づくのが遅れた俺は、すぐ目の前にあるセラの顔に驚き、思わず情けない声を発してしまっていた。
「そ、その、どうで、しょうか?」
「あ、ああ。そうだな」
だが、そんな声も気にしていない様子のセラは、両眉をハの字に下げ、珍しく申し訳なさそうな表情を浮かべて俺を見ている。
――これは……
状況を察するに、報告や説明を終えたセラが、どうも俺からの返事を待っているらしい……
――や、やばっ。おっぱいに夢中でぜんぜん聞いてねぇ。
「私も含め皆様も強く望んでいることです」
――い、一体なんの話なんだ。皆が強く望むものとはなんだ……俺のやり方に何か不満でもあるのか?
「クロー様」
「うっ……」
申し訳なさそうに言ってはいるが、真剣な眼差しを向けてくるセラには得体の知れない恐ろしさを感じる。
「う、うむ……」
「クロー様」
これはもう、今さらセラのおっぱいに夢中になっていて聞いていなかったと言える雰囲気でない。
――……ま、まあ、皆の望みってことだから、却下してしまっては不満を抱くだけだろうし、あとで、セラにまとめたモノを提出してもらえば確認もできるから、よし。
「分かった。それでいい。皆の望む通りにしてやってくれ」
「あ、ありがとうございます」
「気にするな。それでセラ、あとでまとめたモノをくれないか。聞き違いや抜けがあっても悪いからな」
「はい。かしこまりました」
俺がそう返事すると、滅多に表情を崩すことのないセラが、誰が見ても分かるほどの喜色を浮かべた。
――よく分からないが、女性の笑顔もいいもんだ……
「では、私は報告書をまとめますので、クロー様はしばらくお休みください。
エリザ様、マリー様、セリス様も深夜までクロー様のお帰りを待たれておりましたので、しばらくはお休みになられてるかと思います」
「妻たちが? そうか分かった。あとはセラに任せるとする。すまないが俺は少し休ませてもらうぞ」
「はい」
――そうか、妻たちは遅くまで待っててくれたのか……悪かったな。
悪いと思いつつも妻たちの心づかいが思った以上に嬉しく感じ、緩みそうになる口元を必死に我慢し、俺とセラは二人で管理室を出た。
「クロー様、私はここで失礼します」
「ああ」
セラはキレイなおっぱいをチラつかせながら立礼すると自室へと向かい、俺は気分良く妻たちが寝ている俺の寝室に向かった。
――まだ夜明け前だからよく眠ってる……
もちろん寝ている妻たちにちょっかいを出すような無粋なまねなんて――
――おっ……
ぷにゅ
「ん、んん」
――あっ……
ぷにゅ
「んー」
――いけね。
ぷにゅ
「ぁ」
自然と伸びていた両手平を眺めて反省した俺は、クリーン魔法で身体をキレイにした。
――よっと……
今度こそ気配を消しながら、ベッドの上に浮かび上がると、いつも寝る妻たちの間、柔らかな定位置に身体を潜り込ませ一眠りつくのだった。
――――
――
「ニコとミコの二人には、仕事を終えたらこちらに来るよう伝えてます」
「そ、そうか……」
午後になり、執務室でセラから受け取った報告書に目を通した俺は頭を抱えた。
――どうしてこうなった。俺か、俺がセラのおっぱいに夢中になり話を聞いていなかったのが原因か……
その報告書は俺の留守の間の出来事が簡潔に三枚にまとめてあった。
まず一枚目に、重要案件と表記された極秘扱いとなる文書(俺かセラの魔力を通さないと読めないようになっている)だった。
いきなり重要案件と何事かと驚きはしたが、内容はニコとミコについてのこと。
一通り目を通してみたが、内容からしてそれほど気にするほどのことでもない、ニコたちが来てから意思確認すればいいことだろうと思い後に回した。
次の二枚目の書類には第三位悪魔カマンティスについてのことだった。
悪魔界の出来事で俺以上に腹を立てていたセラの考えで、特級悪魔シュラル様との繋がりがあると思わせている俺には手を出せないだろうと、しばらくは無視(放置)する方針を貫いていたが、今回、支配地が増えたことで、総合的に判断すると、今後は友好関係を築くほうが得策だろうというセラの考えがまとめられていた。
カマンティスは何度となく俺に、虚偽の報告した配下を信じて色々と誤解があった、その配下はすでに処分しているから私たちは協力しあう関係になれるわん、と飽きもせずしつこく書簡を送ってきていたからできることだ。
セラ曰く、今後俺が、悪魔の格を上げ第六位悪魔になってしまうと、支配地を狙う悪魔から悪戯を申し込まれる機会が多くなるらしい。
そこで、小物の悪魔たちには、次元の違うシュラル様より、身近な存在でわりと恐れられている第三位悪魔カマンティスのほうが、同盟とまではいかないまでも友好関係を築くことは悪いことではないと判断したようだ。
カマンティスのことを百%信じることはできないが、いい虫よけにはなるのだと……
そして今現在、俺は最後の三枚目の書類に目を通し頭を抱えていた。
――なんてこった……
そこには支配地のこととは別に、眷族を増やす計画が盛り込まれていた。
しかも眷族創りの対象がナナとセラになっているのだ。
――一人増えてるし、配下たちの望みが、なぜ俺と寝ることなんだ……
セラにも俺の執務室に机があり、そこで自分の仕事をしている。
ちらりと横目にセラを見れば、こちらに気づいたセラがわずかに笑みを浮かべ返してくるだけで、すぐに自分の仕事に戻った。
――とりあえず、この報告書に目を通してからだ……
すべての書類に目を通した俺はなんとも言えないどんより落ち込みたい気分になった。
――皆、こんなことを思っていたのか……
なんでも配下たちは、人族であるはずの妻たちが、特別なにかをしている訳でもなく日々、魔力が増えていることを羨ましく思い、その原因が俺にあると思っているらしい。
――たしかにエリザとマリーが魔力を保有するようになり、妻たちの魔力が増しているのも俺のせいだ。
だがしかし……妻たちをさし置いて配下に手を出すなど……人として……じゃなく悪魔か……悪魔としてどうなんだ。
「なぁセラ。ニコたちとは後で話す。カマンティスのこともだいたい分かった」
「はい」
一通り目を通した俺は、許容できる部分もあるが許容できない部分もある。
ならば、少しでもこの計画を遅らせるべきだと感じたのだ。
「しかし、この三枚目の報告書に関して、眷族創りと配下たちの要望については、まだ早い気が……」
「いいえクロー様。そんなことありません。寧ろ遅いくらいです。
いいですかクロー様。今後、支配地が増えたことで問題となるのはやはりクロー様の忠実な配下、悪魔が不足してしまうということです。
しかし、クロー様は配下を増やすことを良しとしません」
「あ、ああ、でも必要なら……」
俺が少し悩むフリをして考えてもいいと言おうとするが、それよりも先にセラが口を開く。
「眷族を得るにはかなり厳しい条件が伴います。それもそのはずです。眷族には利点が多いからです。
幸いクロー様には献身的なナナ様がおります。シュラル様に手を出せないという制限はつきますが、クロー様もシュラル様と争う気などなさそうですし、問題ないでしょう。
そして何よりも、この私も悪魔神様よりその権利を与えられました。
これも大変名誉なことで今後、支配地や皆のことを思えば大いに利用すべきです」
私はクロー様のためならば、惜しみなく協力いたします、と言い切った感のあるセラは満足げに胸を張りひとり納得し頷いているが、俺としては妻たちの顔がチラついてすぐに頷けるものではなかった。
「いや……でもな……ん!?」
支配地のことを思い正論を言うセラにどう反論すべきかと思い悩ませていると、俺の目の前に二つの銀色の小さな旋風が巻き起こった。
「「クロー」」
旋風がおさまったその後には、メイドの姿ではなく、まるで忍者のような格好をしたニコとミコが――
すちゃっ。ビシッとキメ。
「きたがう」
「がぅ」
セリスの影響をモロに受けたらしく、キレのあるアースレンジャーの決めポーズを自慢げに披露して見せた。
最後まで読んでいただきありがとうございます^ ^
クリスマスに閑話を投稿したいのですが、間に合うかな(^^;




