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悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
悪くない? 支配地編(仮)
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二話目です。

 体感にして二、三分くらいだろうか、邪魔する者もいなかったため、俺たちは思った以上に早く安全部屋の前にたどり着いた。


「よし、ここだな」


 安全部屋の中は、綺麗にした、とすでにグウから念話が届いている。


 ただ、不純物ポイントがグウの思っていた以上に高かったようで、かわいそうだと思えるほど弱々しい念話だった。


 ――ほんとは、中の状況をもう一度確認してもらいたかったが、ポイントを全て使いきった哀愁感がひしひしと伝わってきていたもんな……時間も無かったし……はぁ、あとで不純物を贈ってやれば機嫌も直るだろうか……


「よっと」


 そんなことを考えつつ、俺は尻尾で掴んでいた見習い女聖騎士を下ろしたついでに、尻尾を使い見習い聖騎士の少年もアウトドアワゴンから下ろした。


 ――これ(アウトドアワゴン)は収納しとかないとな。


「……」


 俺がアウトドアワゴンを収納する様子を見ていた、見習い女聖騎士が何やら物言いたげにじーっと見ている。


 寝ている少年からなぜ取り上げるか、とでも言いたいのだろうが、この世界にない物を聖騎士団に渡したくないのだから仕方ない。


「!?」


 不意に俺と視線の合った見習い女聖騎士が慌てたように口を開いた。


「……こ、こ、この部屋に隊長たちがいるのね?」


 不満でも言ってくるのかと思い少し身構えていたが、その内容は思っていたのと違った。


 少し拍子抜けしてしまったが、そんな見習い女聖騎士の表情は、嬉しいそうにも見えるが、悲しそうにも見えた。


「……だぶんそうだろうな」


 俺の回答に、何をおもったのか見習い女聖騎士が少し顔を赤らめると身体をもじもじと揺らし始めた。


 ――んん?


「そ、その……対価、だよね……」


 ――ああ、なるほどな。対価を払うのが土壇場で嫌に思えてきたのか……


「うーん。そうしたいところだが、アン。お前はここでその少年と待っていろ。俺は少し中の様子を確認してくる」


 ――黒水晶の破片を吸った聖騎士たちがどうなっているのか分からない現状、悪魔くずれみたいに人族を襲うとも限らんからな。


 だが、そんなこと知るよしもない、見習い女聖騎士は、すぐ目の前の部屋に聖騎士団の隊長がいると教えたばかりなのに、ここで待機させようとする俺の提案に、顔を真っ赤に染めた。


「な、なまぇ……初めて……呼ばれた……」


 見習い女聖騎士は蚊の鳴くような声で何やら呟き、こくこくと頷き返してくれたが、頬のあたりがぴくぴくと動いている様子からも、内心は腹が立っているに違いない。


 ――はぁ、仕方ない。


 見るからに顔が真っ赤になっている様子からも相当頭に血が上っているのだろう。


『コツン』


『おう?』


 ここで変な行動でも取られては困ると思った俺は、使い魔になったばかりで付いて行きたいとゴネるコツンを、無理矢理連絡要員としてこの場に残し、俺だけ安全部屋の中に入った。


 ――――

 ――


「うっ」


 トビラを少し開けゆっくりと部屋に入った俺は中で充満していた鉄っぽい匂いに顔をしかめた。


「……これは、酷いな……」


 部屋の中を見渡せば悪魔くずれに似た風貌の異形な奴が八体倒れていた。


 しかも、人族ではあり得ないほど、大きく膨れ上がった身体は、身につけていた衣類を引き裂き変わり果てた聖騎士たちは皆全裸の姿だった。


 ――ちょうど、迷宮に入って来た聖騎士団の数と一致するな。


「……」


 ただ、その内の六体は己の爪で胸を貫きおびただしい量の赤い液体を流していた。


 ――気が狂う前に自分で胸を刺して自害したのか……


 前世の記憶に引っ張られているせいなのか、それとも敵だと思えるほど脅威に感じていなかったのか、そんな聖騎士たちの姿を、同情しつつ見ている俺がいた。


「手遅れ、か……これはいよいよ……」


 俺の危惧したことが現実味を帯びてきて、これは面倒なことになると思った、そんな時――


「……!? 動い、た?」


 それは本当に偶然だった。


 俺が、赤い体液を流していない聖騎士のひとり、やはり女聖騎士のおっぱいはけしからんな、と思い、これは大きな損失だ、とやり切れない気持ちで眺めていると、その女聖騎士の胸部が僅かに動いていたのだ。


 その隣の奴もそうだ。そいつは男の聖騎士だが、この二人をデビルスキャンで確認すると、状態が狂人、精神崩壊となっていた。


 気づかなければ、いずれ餓死していたかもしれないが今は息をしている。


 ――ならば、こっちの奴らは……


 念のため、自ら胸を貫いている奴らにもデビルスキャンで確認してみると、状態が狂人、瀕死となっていた。


 ――瀕死!? だと!


 俺は目に魔力を込め、奴らの身体を凝視して見ると、浮き出た血管が弱々くも、僅かに脈を打つ瞬間を捉えた。


 ――そうか、悪魔くずれも頭は狂っていたが、身体は異常なほど頑丈になっていたな。


「生きていたのなら話は早い」


 まずは、隊長らしき強さを示すラグナと言う奴から、全ての状態を戻すよう所望魔法を展開する。ただ、しばらくは眠っていてもらう。


 ん? 悪魔くずれ? ああ、言っておくが、悪魔くずれも元に戻そうと思えば戻せた。ただ悪魔神から処分するよう直々に言われてしまえば、俺にはどうしようもない。従うだけだ。


 冷たいようだが、知りもしない悪魔のために危険は犯せない。まあ、これが俺の配下たちだったら許してもらえるまで、何度だって頭を下げてやるのだが……


 ――隊長は、アンと合わせてやらないと対価がもらえないからな。


『我は所望する』


 俺の魔法に、ラグナという奴は、みるみる傷が癒え、どこかで見たことある人族の姿に戻っていく。ほんと所望魔法様様である。


「よし」


 だが、こいつがほんとうに隊長なのか不安になった俺は――


「こいつ、やばいな……」


 そいつの名前はガラルドとあった。能力は高い方で隊長が務まりそうにも思えたが、出血が酷い。

 一番初めに命を失うとすればこいつだろうと思い念のため回復してやることにした。


「あ、れ? こいつ……女?」


 ただ、この女は傷がある訳でもないのに、片方のおっぱいしかない。


 髪も短く片方の胸部だけが異常に腫れ上がっているだけなのかとも思ったが、あるモノが付いていなかったので間違いなく女だと分かった。


 俺は不思議に思いながらも所望魔法を展開した。


『我は所望する』


 ガラルドという奴も、みるみる傷が癒え、どこかで見たことのある人族の姿に戻っていく。


「こいつ!? ナナを傷つけた奴か」


 当時の記憶が、不意に蘇り怒りが込み上げてくるが、所望魔法を施したはずなのに、治っていない片方のおっぱいの原因が気になり急速に怒りが萎んでいく。


 ――どういうことだ……ん、これは……悪因なのか?


 どうやらこいつは、非常に強力な、身体が一部欠損する、という悪因を受けていたようだが、直接こいつが受けた悪因ではなく、親から子へと移りゆくタチの悪い悪因だった。


 それも、俺でも凝視しなければ分からないほど巧妙に隠すように刻まれていたのだ。


 ――気に入らんな。


 本来なら放って置くのだが、女聖騎士だけあってこいつのおっぱいはけしからんほど立派だった。


 ――ったく、これも大きな損失になるな。


 それに、この悪因はこいつが直接刻まれたものでもないため、解呪しても問題ないと判断した俺は、ムカつくやり方の悪因をすぐに解呪した。


「おお……これは、けしからん」


 セリスに勝るとも劣らない、立派なおっぱいに満足した俺は、後ろ髪引かれる思いで、布切れを一枚身体にかぶせ、次の隊長らしい人物に所望魔法をかける。


「こいつは、セイル、か……」


 セイルという奴も、ラグナに次ぐ能力の高さを示していた。たが、こいつもよく見れば違和感を感じる。


「こいつにも、悪因か?」


 そう思ったが、俺はすぐに首を振った。


「いや、これは悪因に似ているが、悪魔の仕業じゃないな。だが呪いに間違いない。しかもまた、かなり強力な奴だ」


 デビルスキャンに魔力を込め詳細を見て俺は驚いた。


 ――な、なんとこいつも女!?


 その呪いは支離滅裂とあり、望まない結果を長い時間をかけ全て呼び込む最悪な呪いだった。


 今は性転換と弱体のみだが、薄っすらとだが、醜悪、不運、短命、異臭などの顔を顰めたくなるよう内容の呪いがびっしり、今にも発動しそうな状態になっていた。


 この呪いは悪魔ではなく、どんな奴が施したのか分からないため、解呪ができそうにない。


 ――取り敢えず所望魔法に頼ってみるか。


 女と分かれば、是非とも拝んでみたいおっぱいに俺は祈るようなんて気持ちで所望魔法を展開した。


『我は所望する』


 俺の魔法に、セイルという奴は、みるみる傷が癒え、またもや見たことある人族の姿に戻っていく。


「こいつ、あの時俺と契約書を交わした奴だったのか?」


 それからセイルという奴は、身体全体が丸みを帯びきたかと思えば、立派なおっぱいが姿を現してくれた。ほんと所望魔法様様である。


 ――おお、やってみるもんだな。だかしかーし、女聖騎士のおっぱいはやはりけしからんな。


 なぜだかうまくいった解呪に、気をよくした俺は、けしからんおっぱいに後ろ髪引かれるも、布切れ一枚をかけ、次なる隊長らしい人物にいく。


 そいつは、一番年齢の高いソートだ。俺はさっさと所望魔法を展開し元に戻してやった。


 ここまでやると、中途半端で終えるのに抵抗が出てきた俺は、ラーズ、アクス、カイト、最後にサラと所望魔法を展開して満足した。


「やはり女聖騎士のおっぱいはけしからんわ……大きな損失が三つも増えるところだったな」


 ――くくくっ、これは、アンの対価も期待できるぞ。


 俺はひとりほくそ笑むと安全部屋からゆっくりと出た。


 ――――

 ――


「待たせたな」


 俺が安全部屋から出ると、見習い女聖騎士のアンとコツンは寄りかかっていた壁際から立ち上がり、嬉しそうに駆け寄ってきた。


「あ、あの、どうでしたか?」


『主、俺様、こいつ嫌い』


 意味の分からないことを言うコツンは無視して、俺は中のことを簡単に伝えた。


 もちろん悪魔としての威厳もあるため、狂化して死にそうになっていた奴らを元に戻したことは伏せておく。


「ああ、大丈夫だったぞ。疲れて寝ているようだが、お前の聖騎士団は皆揃っていたぞ」


 すると、見習い女聖騎士の顔は嬉しそうにパーっと明るい顔を見せたかと思えば、次の瞬間にはしゅんと暗くなる。かと思ったら今度は真っ赤にその顔を染めた。


「じゃ、じゃあ……」


 何を言いたいのか察した俺は、出来るだけ彼女を怯えさせないよう紳士の笑み浮かべた。


「ああ、そうだな。俺も時間がないからな。お前は不本意だろうが、対価をもらうぞ。これはそういう契約だったからな」


「へ? あ、ああ。う、うん……」


 彼女の目は泳ぎ、俺と一切合わせようとしなかったが、寧ろ俺はそれでよかったとも思う。


 なにせ、俺の見た女聖騎士は、セリスが言っていた通り、全てけしからんおっぱいをしていたのだ。はやる気持ちに必死に作った紳士の笑みが崩れそうなのだ。


「……」


 期待した目でアンを見ていると、顔を背けたままの彼女は恥ずかしそうにしながらも上体部分の鎧に手をかけゆっくりと外し始めた。


「……ゆっくりでいいぞ」


 震える手で外している彼女を見て、紳士的に振る舞おうとする俺は、そう声をかけるが内心は穏やかじゃなかった。


 ――けしからんおっぱい……ふふ、その鎧を外し終えると、急にくるんだよな……ぼよ〜んって。ふふ、ふふふ。


 ガランッ。


 俺がそんな邪な思考を抱いている間に、彼女の上体部分の鎧が外れ、そして地面に落ちた。


 ――あ、れ?


 だが、そこに飛び出してくるはずのボリュームがこない。


 俺は困惑し首を傾げている間に、彼女が恥ずかしいそうにペロンと服をめくり上げた。


 つぅるん。


「は、恥ずかしいから、なるべく早くお願いします。あ、でも、望むなら……いいですよ」


 真っ赤に染まった顔を背けて、そんなことを言う彼女は可愛らしいのだろうが、こんな展開を望んでいなかった俺は、彼女が服をめくり上げた辺りから思考が停止していた。


『主、俺様こいつ嫌い。早く……契約履行して、こいつと別れる』


 動かない俺を見かねたコツンが俺の指を一本だけ掴み持ち上げると、パタパタと彼女の胸に持っていき、ちょいと触れた。


 ぷにっと、少し柔らかな感触の後に――


『主、重い』


 そう言って手を放したコツンの念話の後に、俺の指は彼女の小さなおっぱいから離れ、悪魔神から契約履行を知らせる悪魔の囁いが届いた。


【契約は履行されたよ……ぷ、くくく】


 それも、おかしそうに笑う声のオマケまでついている。


「え?」


 俺はその笑いに正気に戻ったが、時すでに遅く。契約は履行された後だった。


 ――ウソだろ。


 思わず全身の力が抜けそうになるが――


「あ、あの、もしかして今ので終わりです?」


 少し期待外れというか、不満げな顔の彼女が俺を見ていることに気がついた。


「あ、ああ、そうだな。あ、アン。お前の成長を楽しみにしているぞ」


 俺の癒されるどころか、擦れてしまった精神状態では、なんとか紳士的に取り繕い返すのが精一杯だった。


「え? あ、は、はいっ!」


 俺は彼女の元気な返事を聞くことなく、逃げるようにグウの部屋に転移した。


最後まで読んでいただきありがとうございます^ ^


こんな感じになりました。

なんだかすみません(^^;

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