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書き方のマナーがなっていない表記が多々あります。
現在手直しを始めたばかりです。
皆様にはご迷惑をお掛け致しますが、どうか、書き方がなってないと不愉快にならないで下さい。
お願い致しますm(__)m
「ふあ、よく寝た。……ふむ、腹が減ったな。よっと!」
俺はベッドから勢いよく起き上がると、テーブルに向かって魔法を唱えた。
「我は所望する!!」
俺の専用魔法、所望魔法だ。ただ欲しい物を思い浮かべるだけの、超簡単魔法だ。
テーブルの上には溶けだし始めたバターが乗ったホカホカトースト。シリアルと、果実がたっぷり入ったヨーグルト。飲み物にはホットコーヒー。これが俺の朝食。
それを見て俺は満足の笑みを浮かべ、テーブルの席に着いて手を合わせた。
「いただきます!!」
◇
「ふぅ。食ったぁ、食った。さぁて、今日は何をしよう」
……と言っても特にすることなんてない。
俺の部屋には漫画や小説、ゲームが散乱し、テーブルにはお菓子やジュースが散らかっている。
これも所望魔法で出した。魔法って便利。
「この部屋で……いや、この空間で生活して、もう5年になるのか……」
姿見の前に立てば、ジャージ姿の冴えない青年が写っている。
中肉中背の、ボサボサな黒髪。20代半ばのごくごく平凡顔。
日本に居たときと……転生してからも、全く変わらないこの容姿。
少しはイケメン補正があっていいと思う。
まあ、なんだ。俺は所謂、不老なのだ。
「見慣れると……気にはならないが……」
額に二本の小さな角と、背中にコウモリのそれに似た翼。
そして、俺は身体を捻り、視線を腰の下へと落とす。
「うーん」
そこには、昔に読んだ漫画に出てくるような、悪魔の黒いシッポがあった。
そうなのだ。俺は転生して、悪魔――デビルヒューマン族というものに、なったらしいのだ。
人型の悪魔だって。
デビルスキャンという、悪魔の所持スキル。これでステータスを確認して分かった。
そのステータスに、俺の名前はなかった。代わりにあったのは、ただナンバー29号960番との番号だけ。
前世の俺は、日本でサラリーマンをしていた、のだと思う。
名前等の細かい事は覚えてないけど、日本と言う国で過ごしていた前世の記憶は、ある。
有り難いことに、この前世の記憶と、使い勝手のいい所望魔法のお陰もあり、この退屈な空間を満喫できてる。
だが俺は、最近思うのだ。この生活は、引きこもりと変わらない、と。
そんな今の生活に、ちょっとした変化が欲しい、と。
そう――
「人肌が恋しいぃ……」
何せ、今の俺は、誰かが召喚してくれるまで、ここから出られないし。便利な俺の魔法でも、この中に生物を出すことはできない。
俺の魔法では、自我のある生物は、出せないのだ。
「ぐぬぬ!」
重要な事だから二度言ってしまった。ついでに言えば、俺は悪魔年齢=彼女いない、なのだ。
あ! 勘違いしないでほしい。前世では彼女はいたと思うんだ。その記憶があるし。決して強がりではないぞ。
「しかし……ここが悪魔大事典の中だっていうんだから、凄いよな」
そう、俺の今いるこの空間は、悪魔大事典の中だ。
悪魔界とは、また別の異次元にいる。
悪魔族は18歳で成人し、悪魔大事典の世界に入る。
これには2つの理由があって――
1つは、人界の誰それに召喚されて、無事に契約履行する。これが、一人前となる成人儀式となる。
もう1つは、人界と悪魔界を往き来するための、自分の転移回路を拓くことだ。
転移回路を拓くとは、召喚され、一度契約履行が済めば、その悪魔自身に悪魔界と人界とを往き来できるパスが繋がり、自由に転移できるようになる、ってことだ。
こうやって悪魔は人界に潜り、悪魔達の生活に欠かせない感情値を奪っていくのだ。
あっ! そうそう。
契約履行とは、召喚者の願いを契約という形で叶えること。わりとそのまんまだな。
そして、叶えた願いの対価を、人族から貰う。その対価は、召喚された悪魔が決めていい。
悪魔たちは契約するよう囁き、魔法や、知恵、力を駆使して、人の願いを叶えてやり、その対価を得る――
「まぁ、俺なら所望魔法一発で終わるな」
この魔法は、他の悪魔達にも教えてない。教えるつもりもない。利用されそうで面倒くさいから。
俺たち悪魔には、家族なんてものも無いからな――
悪魔城にあるブラックホールみたいな所から、悪魔はどんどん涌き出てくる。
俺もそうだった。どんな仕組みかなんて知らない。
気が付いたときには、俺はこの姿のまま悪魔界に転生していて、ブラックホールの前に突っ立っていた。
その後は、訳も分からぬまま、あれよあれよと悪魔育成機関という睡眠施設に放り込まれた。
そうして俺は、18年もの間、悪魔教育という名の睡眠学習をうけたのだ。
そして目覚めると同時に、悪魔大事典に吸引された。
その悪魔大事典の複写版が、人界にばら蒔かれ、望んだ者の手元に届く。誰にでも手にすることができるらしい。
俺も詳しくは知らん。
俺は、悪魔大事典第29号の、960ページに住んでいる。
因みに、ページ間の移動はできない。
他のページの悪魔たち(29号は同期とも言う)に会いたくもないので、これはこれで都合が良い。
召喚されると、そのページは白紙になる。
この第29号は、5年間で130ページほどが白紙になった。
最後まで残ったら……嫌かもしれない。
一度召喚され、契約を履行すれば、その後は晴れて自由の身、となるわけだが――
自由の身とは言っても、良いことばかりじゃない。ノルマがあるのだ。1年に1回、人界で活動して集めた感情値を納めるのだ。
納税じゃなく、納値? 呼び方はともかく、これは悪魔の生存義務らしい。
人族の感情値ならなんでもいいんだけど、貰えるのは契約者からのみ。
まあ、納値は義務にはなってるが、その納めた値が悪魔活動の評価になる。
納めた値でもって、悪魔としての格が上がるんだ。上は第1位から、下は10位まである。格が上がっていけば、悪魔界の幹部になれるのだとか。
はっきり言って、俺には関係ないと思っている。しかし、気を付けないといけないのが、降格処分。さらには廃棄処分としての消滅があるということだ。怖い怖い。
結論として、感情値は人界におけるお金みたいなものと意識した方がいいか。
まあ、なんだ。魔法で何でも出来る俺としては、納値なんて最低限納めとけばいいと思ってる。出世? なにそれ、おいしいの?
それに契約者が生きていれば、感情値は毎日入ってくるらしいから、長期契約を結んで、そのうちスローライフを送ってやるのだ。
「あれ……おかしいな。そう考えると今の生活のままでもよくない?」
俺はこの世界で食っちゃ遊んで寝、食っちゃ遊んで寝を繰り返し満足している。
不満はないのだ……ただ、偶に人肌が恋しくなるだけ。
睡眠学習で学んだ中で、この悪魔大事典は試練であり、苦行だと刷り込まれている。
悪魔の中には、この何もない退屈な空間が重度のストレスになり、狂った果に消滅する者も、いるとかいないとか。
「ん? なんだ?」
俺の部屋全体が発光してる。
「おいおい、嘘だろ!! これって――」
急に部屋全体が真っ暗になったかと思うと、トンネルをぬける時みたいに、奥の方から光がどんどん迫ってくる。
「召喚されたぁぁ!! ちょっと待って……俺、今ジャージッ!! 嫌だぁぁぁ!!!!」
――――デビルスキャン――――
所属 悪魔大事典第29号
格 ランクG
悪魔 ナンバー960
名前 ――ー
性別 男性型
年齢 23歳
種族 デビルヒューマン族
固有魔法 所望魔法
所持魔法 悪魔法
攻撃魔法 防御魔法 補助魔法
回復魔法 移動魔法 生活魔法
固有スキル 不老 変身 威圧 体術 信用
攻撃無効 魔法無効
所持スキル デビルシリーズ
所持値 0カナ
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