第7話「事件解決、のち再び王城」
どうしても長めになってしまいました。ご容赦くださいませ。最低限の文章作法を意識して書いております。指摘点がありましたらよろしくお願いします。
王城を飛び出しまず最初に向かったのは孤児院だった。中に入るとマリーが子供たちを励ましていた。
「来人さん! 無事だったのですね」
マリーはホッと胸をなでおろす。いったい何が。そう言いかけたとき来人にさえぎられた。
「説明はあとだ! 子供たちを連れて王城前まで避難して!」
「来人さんは避難しないんですか?」
「僕はこの騒ぎを止めてくる。少しだけど思い出のある場所を壊す奴らを許す事が出来ない」
「無理……とも言い切れませんね。ただ無茶です。私も一緒にいきます! 私でも援護ぐらいにはなるはずです!」
僕は断ろうとした
「…………」
けれども止めた。このまっすぐな目は頑として決めたことをやりきる目だ。たぶん何をしようとついてくると思う。
「わかった。だけど危険を感じたら即撤退だ。いいね?」
「はい! ありがとうございます。トールこっちへ来て」
名前を呼ぶとマリーの次に年長の男の子が寄ってくる。
「トールよく聞きなさい。王城への道は分かるね? シスターと一緒に子供たちを連れて避難しなさい。子供たちのリーダー役できるね?」
「うん。まっかせておいてよ! お姉ちゃん。ちゃんと無事に避難してみせるからお姉ちゃんもケガしないでね」
「ありがとう。さて行きましょうか。この町を壊す奴らは私も許せませんから。準備してきます」
そういうとマリーはいつもの鎧に着替えて外に出てきた。革製の身軽なものだ。本人曰く、動きやすくてお気に入りだそうだ。
僕らは子供たちと別れ戦場へ赴く。メインストリートへ出るとそこでは国王軍とクーデターの一団が衝突していた。
「これを突っ切って行くのは無理だ。掴まって」
僕はマリーをお姫様抱っこ状態で抱えると、屋根上へ登るべくおもいきり跳躍する。
「ら、らいとさん! いきなり何ををおおおおおお………………」
今のはまずかったか?ちょっと放心状態みたいだし。後で謝っておかないとな。今は急ごう
僕はマリーを抱っこしながら屋根の上を進み戦場を駆け抜ける
「苦節十年、この日のために準備してきた甲斐があったものだ。いよいよ我が手に国を持つ時がきた」
王都イーアソスの外壁、50代後半、頭頂部には毛がなく白髪交じりで肥満の男が王城を見つめていた。彼の名はシメルヴィ。王の側近で上位貴族だ。彼が指揮権を握っている。
「おい! 王都の制圧はどうなっている? 戦況報告!」
「は! 現在メインストリートにて国王軍と接触し膠着状態です。その他は武器庫と食料庫を制圧完了との報告が入っております」
「そうか。あっけないものだな。フハハハハ!」
敵襲! 敵襲! 近衛兵の声がこだまする。慌てて近衛兵がこちらに駆け寄ってくる。何事かと報告を待つ。
「申し上げます! 正体不明の敵により近くの近衛は戦闘不能、ここは危険です。おさが……り」
「はい、お休み。お説教が待ってますからね」
「!? 貴様なにも……の」
シメルヴィが覚えているのはここまでだ。次に目覚めた時は手足を縛られ国王の前にいた。
数分前 僕は屋根から屋根へ渡っていた。外壁の上へに着地する。
「数が多いな。たぶん奥にいるのが指揮官なんだろうけどこれじゃあなぁ」
分かってはいたが予想以上だ。作戦を考えないといけない。
「ここは私の出番ですね。私が数を減らします。来人さんは混乱に乗じて行ってください」
「わかった。頼んだぞマリー」
頷くと魔法で弓矢を出現させる。弦をひき第一射を放った。
「行って! 援護します!」
僕は飛び降りて敵指揮官めがけて走り出す。後ろから飛んでくる矢が正確に鎧を身に着ける兵士の関節部分を穿つ。すっごいな、うん。Aの子孫凄すぎるな。
数がみるみるうちに減っていく。僕は敵指揮官へ肉薄していった。敵指揮官の周りには二人の兵士。無力化すべく一気に加速する。
「はい、お休み。お説教が待ってますからね」
まずは報告していたであろう兵士に麻酔弾を撃ち込むとその場で動かなくなった。
「!? 貴様なにも……の」
「シメルヴィ様になにをした!! 生きては帰さない覚悟しろ!!」
兵士が抜刀し僕へ振り上げる。僕は振り上げた両腕をつかみ小内刈をきめた。すかさず鎧の隙間に麻酔弾を撃ち込む。
「制圧完了だな。やればできるもんだ。さてと、このデブを縛り上げて王様のところへ戻るとしますかね」
ロープを創り出し縛り上る。仕方なく担ぎあげた時はぶんなげたくなった。汗臭いし重たいし良いことないな。おっとマリーを迎えに行かないと降りられないか。
迎えに行くと鼻をつままれた。勘違いしないでよね? このデブの臭いだからね!? マリーを下へ降ろし、また屋根伝いに王城へ戻る。
王城へ着くと王様の前へシメルヴィを放り投げた。げっ臭い移ってるし。
「こいつが黒幕みたいですよ。そうだこれ渡しておきます。吸わせれば洗いざらい話すでしょう」
僕は王様に自白剤スプレーを手渡した。気が付けば外は日が昇りかけている。もうそんな時間か眠たくなってきた。
「シメルヴィ!? 貴様かこの騒ぎの発端は! 起きろシメルヴィ!!」
僕はその場を後にする。外のクーデターも鎮圧は時間の問題だろう。指揮系統を失ったのだから。
城を出たその足で僕は孤児院に戻った。体を洗い流し自室のベットに倒れこむと僕は意識を手放した。
「ん……朝か。ん……マリー?なんでここでうつ伏せになってるんだ?」
かわいい顔には涙の跡がみえる。スゥスゥ寝息をたてて寝ていたが僕が起きたことで起こしてしまったらしい。
「うーん……朝? !! 良かった…………よかったああああ」
え、なんで!? なんで僕、泣かれなきゃいけないの???
そのあとしばらく泣いていたマリーから話を聞くとクーデターが鎮圧してシスターを避難所へ迎えにいき孤児院に戻ってきたところ寝ていた僕を発見。一向に起きないので心配になって医者にみてもらうも原因不明。そのまま丸三日間眠り続けたらしい。
ふと僕はベットの横にある花瓶の近くに手紙のようなものをみつけて尋ねる
「そういえば、その手紙みたいなものは何?」
「そうでした! 来人さん起きたばかりで悪いのですけど、私と一緒に王城へ来るようにとのことです。なに……やったんです?」
これやばい奴じゃないか? 逃げる準備しとかないといけないかもな。
「心当たりありすぎて分からないけどいってみますかね」
やっぱりって顔されてしまった。それにしてもどんな用事だろう。僕だけならまだしもマリーもだからなぁ。
不安になりつつも僕たちは支度を整え王城へ向かった