第1話「創造神様に世界創造を丸投げされました」
(あー地球に帰りたい。己の運を呪うしかないな)
僕は地面は白く青空だけが広がる場所に座り込んでいた。傍らには創造力説明書なるものが転がっていた。
「こうしていてもなにもならないし、時間の無駄だしやるしかないか」
時間はこうなる前のすこし前に遡る。
「僕に世界の創造を? どういう事ですか?」
「そうだねぇ。まず何故こうなったか話さなければいけないかしら。まずはじめに、君がいた地球とは他に様々な世界『異世界』があってね」
「異世界ですか?」
「そう異世界。その一つに神様たちのリゾートがあったのよ。その世界で破壊神が暴れて滅んでしまったの。それで私に新しくリゾート地を作れってうるさくってさ、でもあたし忙しいのよ。そこでお手伝いを探す事にしたってわけなの。それが来人君あなたよ」
「へえ、なるほど。それで何故、僕なんですか?」
「あら?意外に落ち着いてるのね。”信じられない!”とかそういう反応を期待したのになぁ」
「だってこれは夢でしょうからね。起きたらどうせ忘れてしまうだろうし」
人は何かによって起こされたらその見ていた夢を忘れてしまうと何処かで聞いたことがある。僕は目覚ましで起きるので実際、みたであろう夢は覚えていないしな。
「夢?夢なんかじゃないわよ。ああ、それで君が驚かなかったのね」
夢じゃない!? じゃあこれは現実!? 僕は必死に思考を巡らせるが動揺の方が勝る。驚愕していると余程おもしろい顔だったのか神様に笑われた。
「ぷ。アハハハ! いいねその顔その顔が見たかったんだよ! そうだこれを見てよ!」
そう神様が言うと空中に映像が映しだされた。そこには見慣れた部屋が映しだされていた。
「これは僕の部屋? でもこんなに片付けてあったっけ?」
そこで映し出されている映像が切り替わる。そこで更なる驚愕が僕を襲ってきた。そこに映っていたのは居間にある仏壇とその中にある遺影だった。
「どうして…………どうして僕が死んだことになってんだよ!? いったい僕の身になにが起こっただ!?」
驚き、怒り、困惑、悲しみ、感謝、様々な感情が渦巻きぐちゃぐちゃに混ざってしまう感覚が僕を襲ってきた。
そうしていると神様はバツ悪そうに口を開く。
「えっと君に謝らないといけないね。さっきも言ったけど、ちょっと召喚の時に失敗してしまって魂と体が分離してしまったんだ。魂はそのままここに召喚されて肉体は置き去りになってしまった。魂のない肉体は死と同意だ。元居た世界では君は突然死ということになった。時間の流れがこことは違うからその映像はその日から1年後ぐらいよ」
その話を聞き僕は絶句だった。しばらくしてふと疑問に思ったことを聞く。
「これは事実として諦めきれない部分はあれど受け入れます。しかしなぜ僕なんですか?」
「それは君が世界を作るセンスがあるからさ。君がやっていた箱庭は覚えているかい? いわばあれは私が始めた神の選定でね優秀だった君を採用にしたんだ。もちろん拒否権もある。その場合は君の望む環境や世界に輪廻転生させるよ。流石に地球では生き返るのは不可能だからお金持ちの家に生まれるように等、望む環境へ生まれてもらうことになる」
「それで僕が呼ばれたと。拒否はしません。断ってしまえば恐らくそれは本当の死を意味するでしょうし」
「なら決まりね! じゃあ、さっそくリゾート世界の創造”すべて”お願いね。じゃあーねー♬」
「え? 丸投げかよ!! おい、まてって、いねーし……」
すると周りが明るくなってゆく。そこにはどこまでも広がる白い地面と青空が広がっていた。
ーそして現在ー
(あー地球に帰りたい。己の運を呪うしかないな)
僕は地面は白く青空だけが広がる場所に座り込んでいた。傍らには創造力説明書なるものが転がっていた。
「こうしていてもなにもならないし、時間の無駄だしやるしかないか」
創造神様に世界創造を丸投げされた僕の異世界での生活がはじまった。