第13話「サラの過去、のちANUBIS」
お昼前に僕、マリー、サラは街を歩いている
少し前から気になって聞けずにいたことをサラに聞いてみることにした
「サラ、君のひいおじいさんはどんな人だったんだ?」
「とても優しい人だったな、小さいころに死んじまったからぼんやりとしか覚えてない。私は魔法具職人だったひいじいさんの工房へよく遊びに行ってた」
「サラさんひいおじいさんっ子だったんですね」
「でもそんなに幸せに暮らしてたサラがどうして盗賊なんかやってるのさ?」
「ひいじいさんが亡くなってしばらくした頃に頭領たちが村に押し入ってきたのさ。子供を残して他は奴隷商人へ売り払った。子供は頭領の使い捨てのコマとして教育されて使われたんだ。今じゃ残ってるのは俺だけってわけだ。生きるためには従うしかなかったのもあるけどよ」
「悪い。聞いちゃ行けないこと聞いた」
「いいのさ。親もどこにいるかも分からない生きているかも分からない、それどころか自分が生きるのが精一杯でいつの間にか踏ん切りがついてた。辛気臭くなっちまったな、あの店ウマイから飯食おうぜ」
サラの過去はなかなかに壮絶だ。その後でも必死に生きようとしている。何か救いがあれば良いのだが
入った店の料理はなかなか良いものだった。
パエリアに似たものが卵といっしょに出て来て程よい辛さが暑いこの土地でも食欲を掻き立てる。食べ進めると卵を割ってまろやかさが追加されたら別物かと思うくらい味に変化がもたらされた。これは採用候補にしよう
昼食後一通りサラに案内してもらった。それぞれ行きたいところが出来たようで個々に別れた。
僕は特になかったのでぶらっと散歩することにした。
街を歩いているとなぜか骨董品店が気になって仕方ない感覚に襲われて入店した。何かに呼ばれている気がするのは気のせいか
「あれは……店長、あの古い壺はいくらですか?」
「ああ、金はいらないよ。旅商人と取引したものに紛れてたんだが蓋が閉まって開かないし見た目も普通だからゴミと同じだよ」
「ありがとうございます」
気のせいかと思ったが間違いなくこの気配に引き寄せられたと手にとって直感した。
注意深く壺を観察すると分かりにくいが封印のためのものか読めないが字が刻印されている。その刻印に触れたその時突然、刻印が光だした。慌てて投げ捨て身構える。どんどん壺にヒビが入っていき遂には割れた
禍々しいオーラが伝わってくる影が集まり犬のような形を型どってゆく
集まりきった影が晴れて現れたのは…………機械の犬だった。大型犬くらいの大きさでメタリックブラックの装甲を全体に備えている
『Arms-number1-beam-sebre起動開始……完了。ANUBIS……起動完了』
「なんだ??」
『初めまして我が主。本機は冥界神ハデス様より生み出されたアヌビスでございます』
「……」
この状況はいったいなんだ?壺から機械式の犬が出てきたとおもえばハデス?アヌビス?主?さっぱり分からないが、なんとなく神様関連は想像がつく
「アヌビスだっけ?お前のことを話してほしい」
『はい主。私は冥界神ハデス様に生み出された自立型兵器アヌビスにございます。約二千年前ハデス様の護衛としてこの世界にやってきたのですが突然ハデス様が次に封印を解く物が主だと言い残し私を壺に封印されました。そのまま約二千年間現れることなく休眠モードから先ほど再起動したのです。お見受けしたところ主は神族でしょうか?』
「神族ではないかな。神様の助手の位置付けかだね。ところでアヌビスは地球へ行ったこたとはあるか?」
『あります。あの時もハデス様の護衛としてついていきました。なにやら不思議な形をした建造物を覚えています』
何やったらエジプト神話として語られるんだろうね?
信仰深いひとが多かった時代だし、神話になってもおかしくはないのかもしれないが
「兵器と言ったが何が出来るんだ?」
『大熱量でどんな物でも切れる剣へ変形したり、姿を消せたりします』
やはりbeamsebreという単語は聞き間違えではないらしい。ちょっとロマンを感じるぞ
「じゃあ、次にハデス様はどんな神様なんだ?」
『中々の変わり者です。度々、地上に降りては道具を作る、戻ってからも改良加えたりと私には理解が出来ないお方です。素晴らしい技術者ではあるのですけどね』
「技術者か。今度会ってみようかな」
『私からもお願いします。一度、噛みついてやる必要がありますから』
これは怒ってるな。突然二千年も眠ることになったのだから理由が知りたいってところだろう
「アヌビス僕は帰るが人通りが多い場所も通る。姿を消してくれないか」
『御意に』
すぅーっとアヌビスが見えなくなった。これなら悪目立ちすることもあるまい。機械の犬なんてみたら注目の的になってしまう。潜伏生活なのに目立つような事は避けたいし
しかし、アヌビスのことを二人にどう説明したものかな
上手く説明して納得してもらう為に考えながら帰路につく