表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《 鼻孔 》 La truoj de nazo  作者: Miki Kukiri
1/3

《 鼻孔 》 第一回


KOMENCIGXO: Unu juna viro estos donota kapablon.






 空がやけに赤らみ(ねば)ついている日のことだった。


 なまけ癖のある若い男、グヮンが、家のそばに棲む猫になにか小さい生き物が捕まっているのを見て、たすけてやった。


 それは、豊かに髭をたくわえた、仔鼠のように小さな老人であった。猫の耳を指差し、聞きとりづらい、不思議な言葉で、なにごとかをさかんに訴える。グヮンが猫をかかえてーーこの男の唯一の娯楽が、猫に餌を与えることであったため、猫の方も少々の無礼では暴れないのであるーー耳を覗きこむと、これまた小さな杖が引っかかっていた。グヮンは杖を折らないよう無器用なりに注意して取り、老人に渡してやった。まばたきするほどのあいだに、もう老人の姿は消えていた。




 グヮンが自分に備わった奇異な能力に気づいたのは、翌日であった。


 くしゃみをした際に、彼が近所の人間たちから(あま)受け(ばな)と莫迦にされている、上向き気味の、大きな鼻の穴から、細かなかたまりがいくつか飛びでてきた。なんだと思って見るうちに、それらはむくむくと膨れて、魚や鳥の姿になった。


 のんきなグヮンもさすがに驚いて、自分の鼻やら口やらを念入りに調べた。そしてわかったのは、右の鼻孔は海に通じ、左の鼻孔は山に通じており、口のなかには空があるらしいということだった。いずれも、手をつっこんで触れた物を握り、取りだしてみると、塩辛い水やら黒い土やらがひと握り分だけ、しかしそれに混じっているごく小さなかたまりが膨れ、生き物としてのふだんの大きさに戻るのだった。


 グヮンはこんな体になって喜んでよいのか悲しむべきなのかわからず、戸惑うばかり。原因はやはり昨日たすけたあの老人だろう、そう思ってもあれはどこにいるのやら。とりあえず、魚をたくさん鼻の穴からつかみとり、今日の猫の餌としたのは、老人にとっても不本意なことであったと思われる。





                              ( つづく )






KONTINUAS:



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ