90話 アクロバットと意外な人材確保
年末は中々進行しませんでしたがやっと書き上げました
今年はこれで投稿は最後になりそうです
読んでいただいてありがとうございました、来年もよろしくお願いします
12/31 修正しました
譲視点
観艦式も無事終わり後は帰還の途に着くのみである。その前に行われた赤城搭載の部隊による曲技飛行も話題となっていた、特に第11飛行隊は空軍が設立した広報活動用の専属部隊である、源田實少佐が飛行隊長として創設したその部隊の名は別名{源田サーカス}と呼ばれたが正式名称を付けようということで候補を作って投票してもらったところ{蒼い彗星}が選ばれた。これは{蒼い衝撃}や{雷電飛行隊}などの候補の中でぶっちぎりであった。
1910年にハレー彗星が世間を騒がせたのが関係しているのかもしれない、{赤い~}も候補にしようとしたが今の時代ではあの配管工親父髭の指導者の国を連想させるからダメなんだそうだ、残念だが飛行実験隊の名前にしよう。
赤城の搭載機はまだ三七式戦闘機の艦載機バージョンができていないので前タイプの三三式艦上戦闘機である、これは全金属製低翼単葉機で足はあの可愛いといわれた艦爆の足と同じ固定脚である。
軍縮条約で空母に改造された赤城と共にスペックを連ねると……
赤城
基準排水量 42300トン
全長 270メートル
全幅 32メートル
機関 IHI-RRガスタービン4軸150000馬力
(艦内動力、カタパルト用として蒸気ボイラー1基搭載)
最大速力 33ノット
航続距離 8,800カイリ 16ノット
飛行甲板 260メートル×32メートル
エレベーター3基
兵装 54口径12.7cm単装速射砲4基
戊式70口径40mm連装機関砲8基
武式12.7mm連装機関砲 12基
その他
搭載機 三三式艦上戦闘機 22機
三十四式艦上爆撃機20機
三十二式艦上攻撃機22機
(以上常用組み立て前補用機40機)
前世で不具合のあった煙突や艦橋回りは改善して艦橋と煙突が左舷に縦に並んで配置されており排気が飛行甲板に行きにくくなるような形に風洞実験を行って形状を決めており、カタパルトも蒸気カタパルトの実用化も成功して装着はされているのだがとりあえず旧式機ではあまり必要でないのと機密指定品なので飛行甲板に偽装を施して隠してある。ついでにアングルド・デッキも改装すれば付けられるのだが同じく機密ということで現在は装着していない。
三三式艦上戦闘機
全幅 11メートル
全長 7.2メートル
全高 3.2メートル
正規全備重量 1500㎏
最高速度 420km
発動機 中島寿2型空冷エンジン 500馬力
前世での九六式艦上戦闘機とほぼ同じ仕様の機体である。
そんなことを考えていると先行して欧州を回っていた本郷中将がやってきた、忙しいくせにやることはやっているらしいうらやまけしからん男だ、俺なんかは奥さんの愛が重すぎて浮気なんぞしたら彼女の背後にいる般若ス○ンドが薙刀……いや二丁拳銃を構えそうで怖いよ。
「どうした?なにか新しい情報でも手に入ったのか?ジェイムズ子爵」
「会うなり嫌味かよ、ロンドンでの軍縮会議だがアメリカが脱退を仄めかせている、大統領も代わるし今回は強硬なようだな」
「そうか、ついに無条約時代に突入するのか」
ワシントン海軍軍縮条約以来何度か条約の改正を行う会議が行われたが、その内容を簡単にするとこうなる。
1927年 ジュネーブ
アメリカ 「巡洋艦の枠を増やしてくれよ! あと1艦あたりの排水量の上限上げてくれよ!」 日本・イギリス「いいよ~但し戦艦の枠を仲良く三分の二にするよ」 アメリカ 「いや……それは困る1艦あたりの排水量を上げてくれればいいや」
1930年 ロンドン
イギリス・日本 「なんか条約の枠に入らない600トン以下の艦をたくさん作ってるね、あと潜水艦の枠も決めようか、両方とも巡洋艦とおんなじ比率でいいよね、ドイツみたいに無制限潜水艦作戦しない限り必要ないし」
アメリカ 「冗談じゃない! そればかりは出来ないぞ、潜水艦も1艦の上限は3000トンまでにしてもらうぞ(ノーチラス号の建造を邪魔されてなるものか)」
イギリス・日本 「まああんまりいじめるとかわいそうだからここは同じ比率でいいや」
アメリカ 「やった! 初めて並んだぞ!」(なんか大事なことを忘れてる気がするけど)
そして1936年から再びロンドンで始まった会議はアメリカ大統領選挙もあり1937年に入っても続いている、どうやら新大統領は条約破棄を選ぶようだ。
「なら2年間は条約が維持されるから1940年には失効するな」
「もっとも今からこっそり建造開始しそうだな、まあうちもイギリスも準備はするけれども」
まあそうなるか、だが同盟が維持されている限りアメリカは仕掛けてこれないはずだ、どこか強力な同盟相手でもない限りね。
「また建艦に費用が掛かるな、大蔵省が渋い顔をするぞ」
確かにね、大蔵省には東条君がいたよな、数字に細かいから担当者は苦労しそうだ。
「まあそこは置いといて大物のスカウトに成功したぞ!」
「へえ、誰だい?」
「聞いて驚け、ドイツのヴェルナー・フォン・ブラウンだ」
「本当か?良く承諾したものだ」
「それがな、{宇宙ロケットを飛ばしたいか?}って聞いたらものすごく食いついてきてな、オーベルトやゴダートが来日しているのも効いてるらしいんだが」
「まあ、ナチスはロケットを軍事用にしか見てないから宇宙用ロケットの開発はできないと思ったんだな」
まあ悪魔に魂を売ったファウストみたいなものか、きっと{うちに来ればロケット打ち上げられますぜ旦那}とでも言ったのだろう。
ちなみに彼と家族だけかと思ったが同僚やその家族も連れてくるなどして大騒ぎになったそうだ、
ナチス涙目だな。
既に日本へ旅立った彼らの後を追う形で俺も日本に帰るとしよう、そういやアイス大福を作って陛下に食べてもらおうと思ったがあれを作ってたメーカーの創始者日本に居ないんだよな、まあ赤城乳業か、明治とかに作ってもらおうかな。
御召艦比叡を護衛しつつ俺の乗る夕張は日本へ向けて碇を揚げるのであった。
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