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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
3章 昭和編
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86話 頑固親父との約束とトランジスタ・ラジオ

※ 時系列が前後する話が続くのでポカをしてるかもしれません、気が付いたらご指摘お願いします。

譲視点


 久々に食べるえびせんとチップスは懐かしい味がした、涙が思わず出たよ。

良い仕事をしたはずなのに本郷中将の視線が冷たいのは何故だろう、確かにジャンクフードをむしゃむしゃしたくて色々やった、今は少し反省している。


 因みに食べたうちの家族には「美味しいは正義」だと言われた、カズさんだけでなく子供たちもだ、一体どこからその言葉を持ってきたのだろうか……


 世間の評判をどこで聞きつけたのか陛下がえびせんとチップスを食べたいとおっしゃって宮内庁が大騒ぎになったと鈴木侍従長から言われて俺もひっくり返りそうになったよ、結局侍従長の奥さんが駄菓子屋に買いに行ったと聞いてさらにびっくりだ、まあたか夫人は陛下の養育係りだったからお願いしやすかったんだろうけど付録のカードを見て「これが比叡か、中々可愛いね」とおっしゃられたそうで侍従長からは「寿命が縮んだ」と文句を言われたよ。


 他にも食べたい物があるのでこの時代に存在する会社や創業者には情報を渡しているから駄菓子屋のラインナップが充実しそうだよな、けれどきのことたけのこは危険だ、あれは最悪国を割りかねん、仕方ないのでアポロチョコで我慢するか。


 ここで{軍艦撫子}を出したのは文化ハザードを起こすかもしれない、そういう危惧は無かったわけではない、だが内なる悪魔マーラーの誘いには勝てなかったのだ、やはりあれは危険だった、この時代に絵師が居ないのが問題だったが此方がw〇kiからサンプルを写して描ける人材を募ったら意外と居たのに驚いた、だが今後の漫画とかに影響出そうだよな、{漫画の神様}や{二人で一人}の作風が変わらないか心配だ。


 海軍ではこのヒットに気を良くして展開を広げる気が満々だ、平出という大佐が布教活動に動いているらしい、小説化さらにはどういう伝があったのか宝塚歌劇団で劇までする話になった、アニメ化や映画化も時間の問題かも知れない。この間平出大佐がYKS〇8というユニットをやりたいと言っていたそうだが嫌な予感しかしないよ。


 このヒットを見て対抗心を燃やしたのか陸軍や空軍でも動きがあるようだ、スト〇イクとかガル〇ンとかは勘弁して欲しい。


>>>>>>>>>>>>>>>


第三者視点


 総研に来客が訪れた、どうやら譲に用があるようだ。


「約束通り作ったぞ!」


 そう言ってどや顔をするのは頑固親父ほんだそういちろうであった、彼は以前約束していた製品・・を持参してきていた。


「おお、出来たか! これぞ正しく{スーパーカブ}だ!」


 興奮して思わず譲は前世で呼ばれていた名前を呼んでしまう。


「ほう?{スーパーカブ}ですか……その名前ネームは貰いです、売れる――売れますよ!」


 本田宗一郎に着いて来ていた男が食いついてきた、彼の名は藤沢武夫と言い譲がスカウトしてきた人物である、史実では少し後になるが本田宗一郎を経営の面から支えた{盟友}である。


「すでに耐久テストで10万キロは走らせた、舗装路に石畳……悪路も走ったがびくともしないぜ、故障も少ないしそちらの要求は満たしてる」


 本田の自信はそのテストに裏打ちされたものであったのだ。


「判った、直ちに量産の段取りをしなくてはな、工場の用地探しとかは総研で見繕っておく、そちらは工場の段取りだけ考えてくれればいい、資金のことも心配するな」


「そいつはこの藤沢が問題なくやってくれるさ、それよりも約束した事忘れてないだろうな!」


「せっかちな奴だな、勿論忘れてなんか居ないさ、こいつを物にしてくれれば君の会社は空への道が拓ける」そう言って彼は手に持った{極秘書類}を手渡す。


 それを渡された本田の目はキラキラと輝いていた、まるで新しいおもちゃを貰った子供みたいだなと内心で思う譲であった。


 この後総研から支援を受けた本田は本田技研工業を立ち上げ三重県の鈴鹿に工場を立ち上げる、場所の選定は当然の事ながら総研が行った、さらに陸軍や郵政省からカブの大量注文を受けて工場は竣工と同時にフル回転でカブの生産を始める事となった。


 こうして後に世界を変えた乗り物と呼ばれることになるスーパーカブが産まれホンダの快進撃が始まるのであった、それを皆が知るのはもう少し先の事になる。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


譲視点


 本田宗一郎やってくれたよ、量産化まで数年掛かると思ってたけど一年も経たずに完成させるなんてな,、藤沢武夫をつけたのが良かったのだろうな。与えた情報の他に人材の手配もしといてやろう、なんか凄いものを作ってきそうな予感がする。これで日本のバイク産業も進むだろうし、軍の機械化もさらに進む事になるな、川崎や鈴木、日本楽器ヤマハ、宮田、陸王、目黒等も二輪車をやりたがっていたからその辺の情報も流しておこう。


 前世での日本軍の問題点として機械、特に自動車の運転どころか触ってもいない者が多すぎるのが問題点だった、今回はその反省から徴兵で軍に入った者は基礎教育に自動車運転免許を

取得させることにしている、士官学校も基礎教育科目に自動車運転免許の取得を入れておいた、

後は陸軍に行った者はトラック免許と大型特殊免許など陸物の免許が取得できるようにしたり、海軍では船舶免許(小型船舶免許は必須、後は希望)空軍では勿論操縦士免許(適性があるので全員ではないが)が取れるようにしたのでこれも人気になっている。


 そんな事を考えていると俺の名前を呼びながら走ってくる奴がいる、本田たちが来ているから人払いさせてるはずなのに?


「平賀所長! 出来ましたぞ! ついにトランジスタでラジオが出来たんです!!」


 そう言って走ってくるのは間違いなく井深大だ、たしか本田と同じ時期に情報を渡したはずだがもう出来ちゃったの?


「見てください、こんなに小さくてもばっちり聞こえます!」


 見せてくれたのは手のひらに乗るくらいのラジオで筐体には{SONY}の文字が刻んである、

音声も良くかなり完成度が高い、このまま販売できるレベルだ。


「ほう?こんな物があるとは、凄いもんだ」


 まだその場にいた本田たちもそれを囲んでワイワイ始めた、井深もカブに興味があるのか盛り上がっている、そういや前世しじつでも二人は友人だったな、ここで知り合う切欠が出来るなんて判らない物だ。ソニーの方もラジオの販売を頑張ってもらうことにしてトランジスタも手に入る事になった、これでやっと次の段階に進めるね。


 一仕事終わったけど今度は又大神に出張だ、機関換装が終了した艦の検分や竣工した新型の船の検分もあるからな、新幹線が延伸してくれたので大分楽になったのが救いだな、イギリスで起こる予定のイベントに参加させなくてはならないから人選もあるし……その辺の手配は本郷中将に丸投げしとけばいいか、俺は井深大が試供品で持ってきたラジオを持って帰宅する、出張のお供が出来た事を素直に喜びながら。




ご意見・感想ありがとうございます。

ブックマーク・評価の方もしていただき感謝です。

あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…

読んでいただくと励みになります。

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