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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
3章 昭和編
88/231

83話 航空機とサーカス

12/1修正

譲視点


茨城県稲敷郡阿見村  防衛省霞ヶ浦航空教育隊


 小車(ジム〇ー)に揺られて到着したのは空軍の教育施設のある霞ヶ浦航空教育隊だ、途中まだ道路が良くないので少し酔ってしまった。


 飛行機を使えと言われそうだが、以前本郷少将が操縦する機体に乗ったら曲芸まがいの飛行をされて以来飛行機が苦手になった。


「ここでは空軍と海軍の艦載機乗りの養成を一緒に行っています、ああ、一緒にしてるのはですね、戦地で共同で任務に当たることを想定してるからですよ」


 そう言って案内してくれるのは加藤建夫大尉、前世では{加藤隼戦闘隊}を率いて戦った指揮官である、此方では大陸での戦争に巻き込まれていないので此方で教官をしているというわけだ。


「戦闘機乗りは敵を見ると突っかかる者が多いのですが、攻撃隊の護衛など状況に合わせた戦闘をしろと口を酸っぱくして言っとります」


 其の辺は前世での加藤隊長と変わらないようだ、護衛に徹しない部下を戦果を挙げても喜ばず叱ったくらいの人だからな、このプロ魂見習って欲しい物だ。


 見ると上空では模擬空戦をしているようだ。


「総研からの提案で見えるところでは1対1の訓練しかしていないことになっとりますロッテやシュヴァルムやサッチウィーヴの研究は海上の目のないところでやっとります」


総研から教えられた編隊戦術の秘匿はうまくやってくれているようだ、流石加藤大尉だな。


 上空を飛んでいた3機の練習機が揃って地上に向けて降下してくる、何だと思ってると低空で引き起こしそのまま上昇、宙返りを行った。


「あいつらか…」


 加藤大尉が苦い顔をしている、誰か判るところが地味に凄いな。


 三回宙返りを繰り返したあと3機は着陸した。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>



「お前ら!曲芸飛行は許可しておらんぞ!」


 着陸後整列した三人の訓練生に加藤大尉が雷を落とす。


「サーセン、あいつの旋回性能を試したのであります」


真ん中に立っている生意気そうな訓練生が答える。


「バカモン! 訓練生の内から増長するな!」


 そう言って加藤大尉がパンチを見舞う、私的制裁は厳禁にしたけどこれは仕方ないな……


 そこに少尉の階級章をつけた飛行服の士官がやってきた。


「加藤教官…やはりお前らか、坂井 西沢 太田!」


 うん?坂井といえば坂井三郎かとなると残りは西沢広義と太田敏夫かそういやこの三人似たようなエピソードがあったような。


「四元少尉か、こいつらは活きはいいが思慮が足らんな、そんなんじゃ死ぬぞ!!」


「そうですね……西沢、こんな悪戯に加わるなんてお前らしくもない、太田もだ!」


四元少尉が左の長身の男に注意して右の男にも言った、順番から見て左の長身のイケメンが西沢で右のやさしそうな男が太田か…殴られた生意気そうなのが坂井というわけだ。


「すいません、ついこいつの操縦性の良さにやってしまいました…」


 すまなそうな顔をするイケメン西沢は後ろにある機体を見た。


「三七式は最新鋭の機体だが無茶はいかんぞ、何かあったらお前らだけでは済まんのだ、わかるな?」


 四元少尉がこんこんと説教する、彼の経歴を密かにW〇kiで調べて驚いた結婚したら姓が変わって志賀になる人だった。


 前世で加藤大尉は陸軍後の人は海軍だから一同に集まるという事は無かったよな。


 そういやこれを見に来たんだった……俺は後ろにある機体、空軍三七式戦闘機を見た。


 三七というのは西暦の1937年正式採用を指す、前世ではこの辺りは皇紀を使っていたがあれは伝説の人物神武天皇即位紀元なんだよな…別に悪くは無いが余り使いすぎると過剰な皇室崇拝が進んで不味い事になるんじゃないかと伊藤の爺さんたちに指摘したらじゃあ其の辺は抑えようという話になったのだった、現陛下も過剰な崇拝は国家を歪めるものだと危惧されていて賛成だったがそれでも皇族を押し頂いてクーデターを起こす輩が出て陛下は憤ると共に非常に悲しまれた、それがあの「人間宣言」に繋がる事になるんだからな、これは明治天皇以降に起こった皇室を神格化して{神聖不可侵}なものにしようとする動きに牽制する事になった、現人神になってしまうと過ちを犯してもそれをとどめる事が出来なくなるという危機感から行われた宣言であったが一部の者の過剰な反応があった他は国民は冷静であった、皇室尊崇はあるがそれを持って神格化までは浸透していなかったのは幸いであったな。


 そうそう三七戦は総研がコンペで中島が機体とエンジンの設計を行う事になった。


スペック的にはこうなる。


三七式戦闘機


全幅10.8メートル

全長8.9メートル

全高3.8メートル

全装備重量 2690kg

エンジン 中島ハ115 (1250馬力)

最大速度 550キロ(6000メートル)

航続距離 3000キロ(落下タンク付き)

武装 武式12.7ミリ機関砲4門(翼内各330発)

    武式20ミリ機関砲1門(エンジンカウル内240発)


前世での一式戦隼とほとんど同じ仕様だが武装の強化と防弾性能を増している、これは油田を確保したのと出光たちの活躍で合成ゴムの入手が容易になったのとブローニングを連れてきたのが効いてるな、20ミリは今後の事を考えて新開発させた、流石にブローニングだけあって性能は良好だ、艦船用にも使えるな。

 

 エンジンの出力が上がったのは燃料が良くなったからである、石油が調達できるとやはりいいね、あとエンジンの工作精度が上がったのとJIS採用などで電装部品の高性能化も効いてる。


 三菱との競争に勝って採用された機体である、尚三菱のは{零戦}に近いものだったが防弾性能が劣ったのと機体の強度が低くて降下速度が制限されたからだ、但し海軍向けの艦上機に関しては三菱に三七戦をベースに改良をさせて作らせる事になった。


次の邀撃戦闘機コンペには川西やRRと組んだ川崎が参戦するので激戦になりそうだ。


そんな事を考えていると3人組は四元(志賀)少尉が連れて行った、更なるお説教になるのだろう、頑張れと内心で呟いて加藤大尉と次の視察に向かうのであった。


ご意見・感想ありがとうございます。

ブックマーク・評価の方もしていただき感謝です。

あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…

読んでいただくと励みになります。

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