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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
3章 昭和編
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73話 動き出す陰謀

譲視点です


ニューヨークを離れた俺達はカナダのトロントにいる、

コスモはニューヨークでメーカーに返却した、

シカゴからニューヨークまで走破した車として展示するそうだ。


マスコミが取材してくれてるんで宣伝効果もあって注文が殺到してるんだとか、

量産車の第一便がカリフォルニアに着いたそうだが直にトンボ帰りして

次の便を支度しないといけないらしい、日本では工場が嬉しい悲鳴を

上げているそうだ。


トロントで欧州から来た東機関の情報員に欧州の情勢を聞く、

ヒトラーを失ったドイツの情勢とか知りたいからね。


ヒトラーを失っても国家社会主義ドイツ労働者党(NSDAP、ナチ党)は

存在してるし、大戦の敗戦国になったため領土を失い賠償金を払う事に

なっている、賠償金に関しては高額を主張するフランスに対して

日英は高額すぎては払えなくなるとして長期の分割にさせていた、

このため支払いが滞ってルール占領などの事件は起こっていない。


ポーランドが独立したため東プロイセンが飛び地になったが、

ここは国際連盟が欧州の安定の為としてドイツ軍の駐留を禁止し

代わりに連盟軍の駐留基地が設けられ日本軍も陸軍一個師団

海軍欧州派遣艦隊、空軍一個飛行群が駐留する事になった。


「NSDAPはグレゴール・シュトラッサーが代表を務めヨーゼフ・ゲッベルス

カール・カウフマン、エルンスト・レーム、ヘルマン・ゲーリングなどが

幹部として活動しております、ドイツ国内では徐々に人気が高まっており

選挙でも第2党として存在感を増してきておりますな。」


情報員の報告ではヒトラーというスター政治家を失った影響は大きいようだ

前世しじつではすでにヒトラー内閣が出来ていたのだから。


「うまく行ってるというべきなのかな?」


俺が疑問をはさむと本郷少将が答える。


「少なくとも政権を掌握できていないんだから上出来だろう、

今の状態では少なくともユダヤ人排斥は表立っては出来ない

はずだ。」


「まあね、ソビエトとは秘密軍事協定を結んでいるのか?」


「これはワイマール共和国が行っている事ですから、

ソ連の領土内に軍事産業が進出して武器の開発を行ったり

軍人を派遣して訓練しています。」


講和会議で軍備の制限を受けている事の不満がそうさせているようだ。


「ソビエトもドイツの指導で軍を強化できて一石二鳥といったところだな、

他に動きはあるか?」


「そのソビエトですが軍を東・・・シベリアを越えてロシア共和国と満州国境に

送っています、戦争準備をしているのかも知れません。」


「それは捨て置けないな、ロシア共和国とイスラエルにも知らせないとな。」


ソビエトの狙いはロシア共和国攻撃かそれとも・・・


この後イギリスに渡るのでそちらでも情報を集める事にした。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


満州国 奉天近郊 アメリカ軍駐留基地


「機甲部隊への予算措置が認められないとはどういうことか!」


言葉を荒げる指揮官に本国から派遣されてきたジョージ・マーシャル准将は

苦々しい顔で答えた。


「貴官が満州制圧作戦で活躍したのは知っている、だが政府は

恐慌から立ち直りつつあるが予算の都合がつかないんだ、

もう暫く辛抱してくれとのことだ。」


「中国軍とは度々衝突してるし、北にはソビエトもいるんだぞ、

暢気に待っていたら大変な事になる。」


「ジョージ、ここは合衆国の領土じゃないんだ、満州を守るのは

満州国軍の仕事だ。」


「本気で言ってるのか?」


「建前は必要だ、軍人であっても・・・いや軍人であればこそ大義名分なき

行動は許されんのだ、ジョージ・パットン大佐。」


「ふん、了解した、だが向こうから仕掛けたときにはらせて貰うからな。」


「非常時なら止むを得んさ、好きにしたまえ。」


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


日本 某所


「我が国はバスに乗り遅れた、大陸の利権を確保するのをためらい

結局米国にその果実を奪われたのだ、あの時鉄道利権を売らなければ

こういうことにはならなかったのに!」


「元老たちの口出しが原因ですぞ、まさか山縣公が裏切るとは!」


「だが公も鬼籍に入った、伊藤公も健康優れずという、

今を置いて御一新の精神を思い出し敗北主義者を一掃するべきだろう。」


「賛成ですな、海軍でも条約で保有枠を持っているのに書類のみ

存在する戦艦や巡洋艦に何の意味があるのか、

乗り手がいない!ならば士官学校の定員や兵の募集を増やせば良いのだ。」


「そういうことであるな、陛下も我らの思いを伝えれば酌んでいただけるであろう。」


「上奏なら任せたまえ、後は実働部隊の召集だが、

任せても良いかね?」


「お任せください、必ずや成し遂げて見せますぞ。」


「任せましたよ。」


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再び譲視点


トロントからイギリスに渡り友人たちと旧交を温めつつ視察を

して回っている、イギリスは日本からの企業進出もあって

欧州や中近東、インドなどに輸出が増えて景気が良いようだ。


「イギリスも旧型艦の代艦を建造する事になったようだな。」


旧型のアイアン・デューク級やクイーン・エリザベス級の

代わりになる艦で日本と同じくゆっくりと時間を置いて

建造、置き換えとなる予定だ。


この後欧州を回った後スエズ運河を抜けて日本に帰る、

帰ったらのんびりしたいな。


「どうせ又いらないところに頭を突っ込んで自分から

忙しくするんだから適わぬ願いだがな。」


本郷少将の突き放した答えに俺は顔を引きつらせる、

そんな事はないと反論を言えない自分が恨めしい。


本当に家でゆっくりするんだからな!


俺は心の中で(口に出してはとても言えない)叫ぶのであった。

ご意見・感想とか歓迎です。

あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも・・・

励みになりますので、評価、ブックマーク、レビューなど良ければお願いします。

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