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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
3章 昭和編
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71話 再びのニューヨークへ

譲視点


サンダースのレストランを後にした俺達は再び東を目指す。


「そういや鯨の肉なんてよく手に入ったな。」


今回の企みは後に世界的に展開するケンタッキー・フライドチキンに

鯨のメニューを入れさせようとする企みであった。

前世に捕鯨のジャマをしてくれた憎き海のテロリストたちが立ち上がれないように

鯨食を広めてしまおうという企みである。


車を受け取ったシカゴで氷詰めにされた樽の中に入っていたが、

鮮度も程良いものであった、しかも肉のにおいのきつい歯鯨(マッコウクジラの仲間)

ではなく髭鯨(シロナガス鯨の仲間)であった。

これなら牛肉に近い食味なのでサンダースたちにも受けたわけだ。

同じ鯨でも大違いである。


「ああ、JACL(日系アメリカ人市民同盟)に頼んでおいたんだよ、

捕鯨の町で有名なニューベッドフォードから特急便で送ってもらったのさ。」


「なるほど、そういうわけか。」


JACLは移民した日本人たちが作った自分たちの権利を守る団体で

当然のごとくそこには東機関の工作員たちがメンバーとなって活動している。


「{日本食普及委員会}も頑張っていてな、寿司や天ぷらなどの日本食を

広める活動も進んでるんだ。」


日本食普及委員会はその他にも醤油ソイソースや味噌の普及にも力を

入れていて日本のメーカーも此方に工場を建てているくらいだからな。


もちろんサンダースにも鯨肉や醤油の入手先は教えてある。


早くフランチャイズ展開して日本にも上陸してもらいたいものだ。


「という事はニューヨークで寿司や天ぷらが食えるのか!」


「そろそろ日本の味にも飢えて来たからないいタイミングだな。」


俺達は一路ニューヨークに向かうのであった。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


第三者視点です。


譲たちはようやくニューヨークに着いた、彼らの乗っていたコスモは

道中大変人目を引き至る所で質問攻めにあった、

どこの車でどこに行けば買えるのかである。


しかもシカゴからケンタッキー経由でニューヨークに来たというから

その耐久性にも感心された、実はロータリーエンジンは

アペックスシールの精度が足らないとローターハウジング内で

ローターが異常振動してチャターマークという波打った傷を

ハウジング内につけてしまいエンジンが壊れてしまう、

これを克服するのに史実でも6年の歳月が掛かっている、

いかに譲が未来知識チートを渡しても十分な物が

出来るのに時間が掛かるのは無理の無い話しであった。


「結構反応がいいな、売れそうだ。」


「西海岸では予約が殺到してるそうだ。」


譲は自動車専用の輸送船を用意していて良かったと思った、

元は大戦で使った強襲揚陸艦の再利用品であるが。


「さて腹ごしらえをするか。」


そして彼らは念願の物を手に入れていた。


「寿司最高ー!しかも回転寿司まで再現するとは!」


そう、彼らが入っているのはこの世界で始めて生まれた{回転寿司}であった。


もちろん初期の物なので複雑な動きや2階建てのような物ではなく

本当にベルトコンベアの上を皿が動いているような感じではあるが

物珍しいのかアメリカ人がわんさかと押し寄せていて満席状態が

続いている。


「すごい人気だな、しかも日系人よりも他の人種が多い!」


「開店から話題になって色んな人が来るんですよ。」


お店の人が教えてくれる。


日本食ブームが起きていた、譲の知る前世よりも数十年も早い。


「こうやって日本のことを知ることで友好関係を強化するか、

うまく行っているんじゃないか?」


本郷にそう言われて少し譲は嬉しそうであった。


「まあ恐慌も割と早めに沈静化したからな。」


世界大戦が比較的早めに終了したのと被害が少なかった事、

インフルエンザの流行が押さえられた事なども要因となったが

日本が戦争前から行っていた{日本列島改造計画}が内需の拡大と

インフラ整備による経済の活性化を成し遂げたのを見て、

当時のハーバート・フーヴァー大統領がその方式を取り入れた為である。

その成果もあって彼は大統領選で勝ち2期目を迎えていた。


満州国の件でも日本やイギリス・イスラエルなどの資産や鉱業権などには

手を出さず、日本の旅順の租借も認められたので大きな問題には

ならなかった、もちろん表立ってであり張学良らが国連に提訴しているので

国連からは調査団が送られる事になった、

リットン伯爵ヴィクター・ブルワー=リットン を団長とする{リットン調査団}である。


アメリカは当初加盟国ではない事を理由として調査団を拒否しようとしたが

そもそも満州国を{国}と認められるためには各国の承認がいるのだが

殆どの国が国連に所属しているのと紛争相手の中華民国が国連加盟国で

あるからである。


満州だけでなく関係国すべて回った調査団はその後4ヶ月をかけて

報告書を作成して国連で発表した。


凡その内容は


アメリカの軍事行動は自衛的行為とは言いがたい。

満州国はその土地の住民の自発的意思が無くアメリカに支えられて

存在している事、その上でアメリカの権益は尊重されるべきであって

そのために関係国で協議が必要であるとして結論とした。


そして提言としては


事変以前の状態に戻すのは問題解決にならない。

その為満州には中華民国主権の自治政府を作り国連から顧問を受け入れ

さらに非武装地帯にして紛争を起こらないようにするようにと提言した。


この提言は国連加盟国には歓迎された、フランスやイタリアなどは国際的な

紛争に巻き込まれるのを嫌っていたし他の国も大なり小なり同じ理由であった。


アメリカでは賛否が相半ばした、議会でも上院、下院共々揉めて結論はでず

大統領も満州動乱は利権を持つ資本家と軍に引きずられたところもあるので

返答に苦慮する事になる。


尤も後に起こった様々な事態が思わぬ方に進んでいくのだが、

流石にチート持ちの譲でも想像が出来なかった。

ご意見・感想とか歓迎です。

あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも・・・

励みになりますので、評価、ブックマーク、レビューなど良ければお願いします。

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