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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
3章 昭和編
73/231

69話  満州動乱

10/11修正

時間は日露戦争後に遡る


 南満州鉄道の利権の半分を手にしたハリマンにより満州にはアメリカ資本が多く入り地下資源の開発や開拓などで多くのアメリカ人が渡ってきたそれに伴ってそれに反発する中国人によるテロが行われて治安は悪化していった、又中華民国の内部抗争も激しさを増し満州を根城にする張作霖は最初はアメリカに接近していたが後に距離を置くようになりイギリスや日本、フランスに接近した、さらにロシア革命で生まれたソビエト連邦も接触をしてきており張のソビエト接近を知ったアメリカは密かに張を除く計画を立てた。ところが計画を実行する前に張は鉄道爆破で暗殺され、実行したのは邪魔者にしていたアメリカであるとされ、アメリカは国際的に非難を受けた。


 さらに朝鮮でも問題が発生していた、アメリカ・イギリス・日本の3カ国で保護国としていたが、第一次大戦時にアメリカの意向もあってイギリスと日本が手を引いたのであった、大戦で余裕がなくなったのもあったのであったがお荷物と化していたものを押し付けるのに成功したというものも居りアメリカは決して得をしたわけではなかった。


 このとき大韓民国はこれまで日本が教育で漢字とハングル語を国語として教えていたのを英語に変えて使うようになった。


 またアメリカは干渉の範囲を広げていたがあくまで自分たちの国に都合の良い部分ばかりで都市部にはビルが立ち並んでいるが農村などは100年以上も前の状態のままであった、その為便利な都会に移り住むようになりさらにそれも身分の高い両班きぞくの者しか都市内部に住めなかったので都市の周りはスラムと化し国を捨てる者が続出することになる。


 陸続きの満州に流れ込む人口が増えそれも張たち軍閥の連中にとっては迷惑な存在でありアメリカに取り締まってもらいたかったのだがそれを無視するアメリカに愛想をつかすようになる、アメリカとしては自国に移民として来られるよりも満州に行ってくれた方が開拓も進み好都合であった、さらにアメリカ発の世界恐慌が起き彼らは益々満州の利権が手放せなくなった。


 移民や難民たちが元々住んでいた者たちと紛争を起こすと張作霖の息子張学良はソビエトの支援を受けて南満州鉄道に平行して鉄道を敷設し始めた、その行動にアメリカは満州のソビエト化を危惧するようになる。


そして1931年9月18日


奉天郊外の柳条湖付近の南満州鉄道の線路上で爆発が起きた。


 満州に駐屯していたアメリカ軍は近くにある中国軍の兵営からの攻撃であると断じ攻撃を開始、翌日までに奉天・長春などの都市を占領していった、さらに大韓民国に駐屯していた部隊も動かして満州全土を占領していった。


 これにはイギリス・日本は懸念を表明しアメリカに軍事行動の停止を求めた、又国際連盟も理事国会議を開きアメリカの軍事行動を非難し即時停戦を求めた。


 それに対しアメリカは国連に対しては加盟国でないことを理由に干渉は無効であると反論し、イギリス・日本に対しては先に攻撃してきたのは中国側であるとして理解を求めた。


 更にアメリカは天津にいた清国最後の皇帝溥儀を国家元首にした国家として満州独立を発表、アメリカは満州共和国との間に米満安全保障条約を結びアメリカ軍の進駐を合法化しフィリピンより更なる援軍を送り込んだ。


 かくして満州より中国軍は叩き出され完全に満州はアメリカの支配下に入ったのだった。


>>>>>>>>>>


東京 首相官邸


「まさかアメリカがあのような強行手段を取るとは…」


{ライオン宰相}として国民に親しまれた浜口雄幸は報告を受け憮然としていた。


 尤も彼が驚いていたのはそれが起こるという情報がすでに届いており対策がなされていた事に対する驚きであった。


「情報の出所はイギリスだというが…彼らの情報網はどこまで長い手を持っているのだろう…」


 彼は謹厳実直な男であったのでこのような国家機密をやすやすと手に入れるかの国に底知れぬ力を感じたのであった。


 尤もこれは東機関が手に入れた情報をいつものごとく「イギリスの方からもたらされました。」と詐欺も同然の説明と共にもたらされたのであった。


「だが満州動乱の情報が事前に判っていてもここまで対応出来るのだろうか?」


 彼の元に届いた報告書にはすでに満州の邦人は安全なところに避難しており、日本資本の鉱山や油田のほうも守りを固めていた。


「政府とは別の組織が裏で動いているような感じがする」


 彼は政治家のカンで言ったに過ぎないが、意外と正解を与えている事に気がつくことは無いのであった。


>>>>>>>>




 全く意外な事になった、まさかアメリカが「満州国」を作るなんて思わなかったよ。


 でも良く考えると自分たちの言う事を聞く奴を傀儡にするのはフィリピンやベトナムでやってたな、となればあっても可笑しくは無いか。


 結局は満州はその地を支配したやつらがこうするようになってるんじゃないか?


 ソビエトは傀儡なんか無しで直接支配したがるだろうが…


 本郷少将の部隊が情報を持ってきてくれたんで助かった。早めに邦人を保護して油田や鉱山には護衛を送り込み旅順要塞の守りを固めさせて黄海には艦隊を派遣した。


 まあいきなりこっちに攻撃してきたりはしないけどね、ただ行きがかり上武力衝突はありそうなので気をつけないと。


 世界恐慌の中心地にもなってるしそのためにも満州の利権の確保にこだわるのかねえ?


 日本は後藤元首相の{日本列島改造計画}に則り、インフラ整備による内需拡大とオリンピック効果によって不況を最小の被害で押さえている、すでに不良債権化していた鈴木商店と台湾銀行は一時国有化して再建を始めている、鈴木の方は幾つかの企業は合併させたりして残ったグループは元鈴木の社員高畑らが日商グループを作り再建した。


 台湾銀行の方は国有化したまま再建を急いでいる、貸し剥がしなどをしないように監視させないと…


 国連では中国政府の提訴によって調査団の派遣を決断した、

 リットン調査団ということになるがアメリカ側は国連に加盟していないからなどうなるのか気になる。


 欧州もイタリアのムソリーニのファシスト政権が独裁体制を成立させたしだんだんきな臭くなってきている、ドイツには手を打ったが果たしてどんな結果になるか注目だな。


 来年は1932年ロスアンゼルスオリンピックが開催される。一度アメリカに行ってみるのもいいかもしれない。俺はその件をどうするか考え始めた。



ご意見・感想とか歓迎です。

あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…

励みになりますので、評価、ブックマークなど良ければお願いします。

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