幕閑話3 銀河鉄道の日
※ 少し短くなってしまいました。
10/11修正
ほんとうのさいわいはなんだろう……
宮沢賢治は原稿用紙に書かれたこの文字をずっと見つめていた、今彼が書いているのは銀河を渡る鉄道に少年が乗り色んな経験をして生きる意味を知るという物語だ、だが彼はすでに何度も推敲を重ねて未だ満足を得ていないのであった。
「ほんとうのさいわい…」
口に出してその言葉を確かめる。
ふるさとはずいぶん変わった、但し良い方向へだ。
政府が各地に投資を行い農業改革と品種改良で冷害の被害も減って貧しい農家が身売りをする事も無くなっていった、自分も農業共同組合の指導員として充実した日々を送っている、妹のトシも病気をする事も無く良縁に恵まれて子育てに忙しい日々を送っている。自分も結婚を両親から進められているがまだ決めていない。
東京でオリンピックが行われる事になってさらに変化が起こる、
東海道新幹線の建設が始まると「東北にも新幹線を!」の掛け声から運動が起こり山陽新幹線と同時に着工する事が決まった。
賢治もトシたちを連れて東海道新幹線に乗りに行ったが、見た事も聞いたこともない車両にものすごい速さに度肝を抜かれこのような世界に例を見ない鉄道が作れる日本に誇りを持った。
あのときのイメージが星を渡る鉄道とリンクしていく…
彼は確信した、この国にはきっと皆のほんとうの幸いを願う人がいるということを、そしてそれがこの国を輝かしいものに変えていくことを。
彼の書いた最終稿と呼ばれる作品では孤独な少年が数々の出会いでほんとうの幸いに気付き生きる意味を知るという内容になっていた。
彼は知らない、いや知らないほうが良い事もあるのだ、その人物の自分に都合の良い行動がほんとうの幸いをもたらしているという事を。
まったく世の中はままならないものだということなのだ。
ご意見・感想とか歓迎です。
あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…
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