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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
1章 明治編
7/231

6話  譲(おれ) イギリスに降り立つ

※6/21 ジョン・サーストンをジョージ・サーストンに修正


※11/22 修正


※3/14修正

 横浜を出てアメリカを経由し、4月を過ぎたあたりでようやくロンドンに着いた。


 奉天会戦はすでに終わり○ikiの通りの結果となった、5月27日には日本海海戦がある。


 その間に奉天から児玉源太郎大将が緊急帰国して講和に向けて動いているはず杉山のおっさんに託した書類を読んでくれればいいのだが。


 どちらにしてもイギリスに居る身としてはどうにも仕様がない、出来ることをしよう。


 グリニッジ王立海軍大学造船科に入学を認められる事になるが、大学は新学期は10月からである、それまでは軍港や造船所見学をしよう。



>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


 日本海海戦は史実どおりの結果に終わった。その結果がもたらされるとこちらでもフィーバーになったよ。イギリス産の軍艦が多くいたのでロシアの軍艦を沈めたのが痛快だったようだ。


「ユズル、ミカサの活躍はグレイトだったな、アドミラルトーゴーのT字砲戦もどんぴしゃだった、パーフェクトゲームだな!」


 そう言って喜びも露なのはヴィッカース の設計士のジョージ・サーストンだ、彼は後に巡洋戦艦金剛の設計を手がけることになる。


「いやあ、同盟国イギリスがバルチック艦隊の寄港地に手を回して痛めつけてくれたお陰で士気が駄々下がりだったお陰さ、こっちも感謝してるよ」


 リップサービスをするのも宮仕としては大切な仕事だ。


「そんなに謙遜するなよ、まあうちで生まれたミカサが活躍したんだ、最高だな」


 喜びを交し合った後ジョージが取って置きの話があると教えてくれた。


「ポーツマスで作る予定の戦艦なんだがものすごく画期的らしいぞ」


 知ってるんだけどね、ドレッドノートになる予定の艦だ、知ってるけどあえて聞いてみよう。


「ほう、どんな感じなんだ」


「そうだな、まず従来の戦艦と違い単一口径の主砲に統一して搭載してるのと、艦橋に射撃方位盤 をつけて統一射撃で命中率を上げてることだな、それより、こいつが就航したらそれまでの戦艦はすべて旧式になっちまうな」


 おいおい、他国の現在建造中のやつはすべてそうなってしまうがおたくの国が一番旧式艦だらけになるんだが…


「もちろん今後もどんどん新型が出てくるからうちは問題ないがな」


 大英帝国パネェ。


「そうか、わが国も今年起工する艦があるはずだから注意を促しとくよ」


「そうしとけよ、出来たとたんに旧式じゃ金の無駄遣いだからな」


 本当だよ、杉山のおっさんに託した書類にも書いてるけどちゃんと報告書の形で送っとこう。


 譲が本国に送った報告書を受けてなのか起工されていた戦艦(薩摩、安芸)装甲巡洋艦(鞍馬)は

キールを設置した状態で再設計のため中断状態になった。


>>>>>>>>>>>>>


 ポーツマス造船所に見学に行ったけどドレッドノートは10月に起工されるので影も形もない、残念。


 ちなみに講和条約で有名なポーツマスはアメリカのバージニア州にある都市でややこしいことこの上ない。完全に混同した記事が以前ネットに載っていたのを見たよ。○ikiにも(バージニア州)、(イングランド)と分けて載っていたりする。


 そんなことを考えていたりするとジョージが向こうにいる初老の紳士に駆け寄りなにやら話すと手招きしてきた。


「ユズル、フィッシャー卿がこちらに視察でこられていてな、ちょうど良かった」


 ジョン・アーバスノット・フィッシャー


 なんとドレッドノートの生みの親とも言える人物だ、たしか現在は第一海軍卿(海軍の制服組のトップ)のはず。そして「速度は最大の防御なり」という思想の元に巡洋戦艦を生み出した人物である。


「平賀譲です、日本より造船を学ぶべく参りました」


「おお、そうか!トーゴーはやってくれた、砲力が同等ならば速度の速い艦があらゆる面で有利だと実証してくれたのだからね、自説に自信を持ったよ」


 挨拶しながら握手をするとそうまくし立てられた、確かにあの海戦ではそうだったけど巡洋戦艦でどうなのかというと一緒には出来ないのだが…まあ、この場で言ってもまだその巡洋戦艦そのものの影すらないのだから言う場面ではあるまい。


「そうですか、帰朝しましたら閣下が喜んでおられたと報告いたします」


「うむ、良く学び今後も強い海軍になるように頑張りたまえ」


「ありがとうございます」


 まあ、卒業までにドレッドノートは完成するし時々来て出来上がり具合を見るのも楽しいかな。



ざっくり解説


装甲巡洋艦、巡洋戦艦


 元々木造帆船から始まった戦闘艦艇であったが、蒸気機関の搭載、鋼鉄艦の建造、武器の多様化から色々な艦種が派生していった。大型で重装甲、大口径砲を積んだ戦艦、速力を重視した巡洋艦又小型で機動力があり機械水雷(魚雷)を積んで大型艦を狙う水雷艇それを駆逐するために作られた駆逐艦などである。


 装甲巡洋艦は弾薬庫や機関部、司令部分に装甲を貼り付けた巡洋艦で従来の巡洋艦と比べて防御力は高い。


 巡洋戦艦は厚い装甲を持つがゆえに速力が遅い戦艦と軽装甲だが速力が出る巡洋艦の両方の利点を取り入れた艦である、巡洋艦並みの速力と戦艦並みの攻撃力を持つが装甲は巡洋艦に近いので防御力に難点がある。



ご意見・感想とか歓迎です。

あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…

読んでいただくと励みになります。

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