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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
3章 昭和編
62/231

60話 働けど・・・

※ 5・3修正


※2018/05/18修正

「働けど働けど我が仕事楽にならざり、じっと手を見る……」


「なに替え歌詠ってるんだ、現実から逃げるなよ」


 本郷大佐が酷い……


「オリンピックまでにやらなきゃならん事が山ほどあるんだ、遊んでる暇なんか無いぞ」


「そんな・・・海軍休日なんだぞ!」


「海軍の建艦競争は収まったように見えるがな、これは嵐の前の静けさだ、分かってるだろ」


「うう……」


 確かに本郷大佐の言うとおりである、海軍は戦艦を頂点とする艦の新規建造を制限されたワシントン軍縮条約体制にある。


 その為今やっているのは制限枠一杯までの艦の確保と制限に無い艦の研究と建造になっていた。


 これは、どこの国も一緒である、一時の平和は次の戦争への準備運動の様なものなのだろう。

尤も我が国は戦艦はともかく補助艦は保有数が枠に到底届いて居らずまずはそこの建造から入っている、それは俺の仕事でなく藤本中佐や福田大尉などの仕事だ。


 俺が帝大で教えた牧野君が丁度横須賀で新人設計者として働き始めたころか、彼は後に大和の設計をするはずなんだがそういう流れになるかどうかは今のところは判らないな。


「さて、マグネトロンの方はどうなっている?」


「東北帝大の岡部助教授の所にサンプルと資料を持って行ったぞ」


「そうか、うまく行ったら直ちに特許を取っておかんとな」


「八木アンテナの方は押さえている、特許の方は総研のダミー会社が独占してるし、欧州やアメリカでも特許は此方が押さえた」


「上出来だ、これでレーダーが間に合うな」


 レーダーがあれば夜間や霧中での衝突事故も無くなるな。


「欧州でのスカウトはどうなってる?」


「ドイツの技術者なんかは不況で引き抜けそうなんだが愛国心が強くてなハインリヒ・フォッケとクルト・タンクには断られたよ」


「そうか、もったいないな……」


「その代わりだがアルベルト・アインシュタイン博士をイスラエルの大学教授に引き抜いたぞ、京大の名誉教授にもなったから日本にも来るだろうよ」


「そいつは良かった。やはりユダヤ系の方が脈ありだな」


 レオ・シラードやエンリコ・フェルミなんかもイスラエルのヘブライ大学に招聘したら来るだろうし、そこから招聘という形でもいいよね。


「なんにしてもあのアメリカには行って欲しくないからな」


「了解だ、あとロケット関係者も集めておくよ」


 コンスタンチン・ツィオルコフスキー はロシアに亡命させたし、マッドサイエンティスト扱いのゴダードは東北帝大の教授に招聘して「液体燃料ロケット研究所」を作って三菱や石川島播磨(IHI)も参加させてある、もちろん費用は総研持ちで成果は軍にも反映される。


「フォン・ブラウンは無理だろうな、だが監視はしててくれよ」


「あの国達に渡さない為だな」


 そうだ、どうしてもというなら非情な手段もとらねばならないかもな。


「アメリカからだがニコラ・テスラの引き抜きに成功したぞ」


「そうか!やったな!」


「理化学研究所に研究所を開いてもらってそこの主任にしてもらった問題は人付き合いの難しい変人とのことなんだが……」


「その辺はうまくやって欲しいものだな」


「まあ、頑張ってもらうさ」


 交流発電機やテスラコイルなど有用な情報が使えそうだ。


 オカルト方面に走ったら……そこはまあなんとかなるだろう。


「そういえば新型の溶接機を発表したんだな」


「まあな、ようやく満足の行く物が出来たんだ」


 これで溶接を艦船で使っても大丈夫だろう。


「新型機関はどうするんだ?」


「あれはまだ秘匿しておこう、あの国に知られると面倒だ」


 その関係で「夕張」の機関は新型艦船用ディーゼルエンジンという事になっている、防諜は東機関とイギリスのSISが受け持ってるから大丈夫だろう。


 因みに敵を騙すならという事で海軍の方にも秘匿されており乗組員も実は東機関の回し者なのだ。今のところ変な形をした実験艦ということで認識されているようだ。


「後部格納庫に入れる機体の調達は出来たのか?」


「ああ、大神から連絡があった、試験飛行に成功したそうだ」


「ほう、では見に行くのが楽しみだな」


そう、俺達は明日大神に出張なのだった。


「じゃあ早く家に帰ってカズさんと仲良く……」


「残念~まだ見なきゃいけない書類は沢山あるんだそれが終わってからな」


その様な無常な宣告が行われ、俺はその場に膝をついた。


早く、家に帰りたい……



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あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも・・・

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