58話 共同開発と払い下げ
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第三者視点です
イギリス ・ ロンドン
秘密情報部、SIS(Secret Intelligence Service )スミス・カミングはある人物の来訪を受けていた。
「やあ、スミス久しぶりだね」
「なんだ、イギリス情報部の方から来たジェームズか王女様とはどうなったんだ?」
「なんだ?騙ったのを怒ってるのか?」
「あれからうちの王家を通じてジェームズはどこにいるのかと問い合わせが来てな、うちにはそんな人間は居ないといっても信じないんだよ」
「まあそりゃ、秘密組織だからな隠してると思ってるんだろ」
「馬鹿!いつまでも追求されると業務に差し支えるんだよ!ヨシアキ、お前偶には会いに行くかせめて手紙を出せ!」
そう言われた本郷大佐は困った顔をした。
「この業界にいるとなるとそういうわけにはいかんだろう」
「何言ってんだ!落とした女には目が向かないのか! 心を盗むどこかの泥棒か、お前は!」
スミスはとうとう本気で切れかけてきている。切れる前に本郷は書類を手渡す。
「何だこれは・・・これはあの「ユウバリ」の新型機関なのか? 共同開発? 本気なのか?」
「本気と書いて本気だ、日本の上層部はあの新型機関は日・英で共同開発したほうが良いとの判断だ」
「うちにとっては願ったりだが、それでいいのか?」
「すでにアメリカのGEは専属の研究班を任命したそうだ、うちだけでやって開発を滞らせると不味いとの判断だ」
「なるほど、それは脅威だな」
その情報を政府に持って行って両国の協議の結果、共同開発は石川島播磨(IHI)とロールス・ロイスで行う事になった。
IHIでも解決できなかった問題も流石に老舗ロールス・ロイスは解決策を持っていた、そのために新型機関は急速に信頼性を高めていった。
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譲視点
やはり共同開発は得る物が大きかったようだ、IHIの技術者たちが目から鱗だったらしい、この調子で艦船用から航空機用まで頑張ってもらいたいものだ。
後無線機などの電装機器の共同開発も進める予定である、前世では部品の規格が統一されていないせいで信頼性に難があったのだがJIS規格を作っておいた事で信頼性の向上に役立っている。
国際標準化機構(ISO)も設立された、本来なら万国規格統一協会がその役割を果たすはずだったのだがアメリカの妨害の為イギリスと日本などが共同で作った非政府組織という事になっている。明らかにアメリカ損してるよな、ISOに参加している国の方が間違いなく多いし。
GEなんかも輸出商品の為にISOを密かに採用してるそうだしね。
オリンピック開催までに色んな技術を定着させなくてはいけないから大変だよ。
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第三者視点
北海道 利尻島沖
この海域で演習中の艦隊があった、知る者が見れば日本の艦隊だと判る形をしているが掲げている旗が違っている、その旗にはダビデの星がくっきりと浮かびあがっていた。
「ハイファ、追随してきています、ハガナー、ウエッジウッド右舷後方単縦陣で後続!」
「艦隊行動にも大分なれてきましたな」
艦長の傍にいた日本海軍の制服に身を包んだ士官が声を掛ける。
「左近司大佐の指導の賜物です」
艦長は教官役として乗り込んでいる左近司政三に感謝する、彼を始め日本海軍の教えがあればこそ彼らも一端の船乗りになれたのだから。
イスラエルが建国されて国防軍が作られて始めての海軍の指導には日本海軍が当たる事になった、陸軍はイギリス、空軍は日・英双方が指導に当たり建国間もない国家を守る軍を早急に一人前にする
仕事を行っていた。
彼らが使っている軍艦はたちまちは日本海軍からの払い下げという事になる旗艦「エイラート」の旧名は「利根」「ハイファ」が「筑摩」「ハガナー」が「矢矧」「ウエッジウッド」が「阿賀野」となる、いずれも一次大戦の武勲艦だがワシントン海軍軍縮条約の巡洋艦のカテゴリーから逸脱していたのでまだ艦齢も若い事もあってイスラエルに格安で売却したのであった。
これらの他にも大量建造された桜型駆逐艦の同級艦を12隻受注し戦後の急な受注減にあえぐ国内の造船業者に歓迎されたのであった。
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