51話 講和条約と国際連盟
※10月14日 修正しました。
※4/1 修正
※2018/05/18修正
1918年6月 フランス・ジュネーブ
この地では大戦の当事国である連合国と同盟国の講和条約が締結されることになった。
この条約の締結の為に和平交渉を買って出たアメリカのウイルソン大統領は「14か条の平和原則」を標榜していたが連合国側では日本・イギリスは比較的にこれに寛容であったのだがフランスは強硬でドイツに懲罰的賠償を要求した。
さらに民族自決に関して中途半端な態度が植民地支配を受けている地域からは反発を受けた、その中で皮肉なのは、現在準州であるハワイの併合の不当を訴え民族自決による独立運動が
起こったことであろう、これはイギリス・日本がアメリカの太平洋への進出に脅威を感じアメリカの主張を逆手に取った工作をしたことによる、このためアメリカの主張はトーンダウンせざるを得なくなった。
又中国への21か条に及ぶ要求にアメリカが欧州の戦火を逃れ{火事場泥棒}をしているとの批判を受けることになった。
それでも講和会議は続行されていきドイツには軍備の制限と巨額の賠償金の支払い、領土の割譲が行われた。
オーストリアは早期講和と元々イギリス・フランスとは戦っていないのに加えて連邦国家になりハプスブルグ家は国家の象徴としてのみの存在となり民族の自治権は拡大したため余り懲罰的な事は行われなかった、ドイツの謀略に引っかかった被害者という側面もあるからである。
オスマン帝国は1918年にムスタファ・ケマル・アタテュルクが国民会議議長に選出されてトルコ共和国の発足を宣言。
スルタン制度の廃止を宣言して皇族を国外追放にした、その際バルカン半島東端とアナトリア半島のみをトルコ共和国として後の領域は自治区としたうえで将来は独立させてトルコ連邦とするムスタファ・ドクトリンを発表した。
その発表の過程でギリシャの侵攻を受けたがケマルの陣頭指揮で跳ね返しその存在感を見せ付けた。
この時イギリスから日本の仲介で購入できた戦艦レシャド5世や日本の桜型駆逐艦などの活躍もあり、両国にはかねてからの約束どおりイラク~クエートの地下資源採掘権を与えた。
こうして両国は巨大な油田地帯を手に入れたのであった。
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さらにウイルソン大統領が目指したのが平和原則の14条にある国際的平和維持機構の設立であった。
これには連合国やトルコ・オーストリアなども加わり「国際連盟」として設立される事になった。
ところが当のアメリカが国内の反対で参加できなくなり44カ国が参加してその中で常任理事国としてイギリス・フランス・日本・イタリア・オーストリア・トルコが選ばれる事となった。
最高決定機関は理事会によるものとされ「国際連盟軍」や「平和活動警察」の設立が決まった、これらの提案は主に日本とイギリスが行っていた。
専門機関も作られていき今後紛争による世界大戦を防ぐ役割が期待されたのだが最大の不安要素は提唱したのに不参加のアメリカとフランスの反対で加盟できなかったドイツ、ロシアに出来た革命政府が不参加なことであった。
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譲視点
国際連盟が成立したが前世と違ってこの{連盟}は{連合}に近い組織になっているところだ、密かにイギリスのロイド・ジョージ首相に特使を派遣して打ち合わせしてもらって2カ国で提唱した。
さらに国際連盟平和維持活動(PKO)も行われる事になった。これも国際連合の物を取り入れた形になっている。さらに連合にもなかった組織を立ち上げたのだが物になればいいな……
あと常任理事国が{拒否権}を発動しても再動議で3分の2の国が賛成すれば再拒否が出来ないなど問題点の改良も行われている。
これで少しはこの世界が良くなれば……俺の都合的に。
「まあ、戦争が無くなるとは思えないけどな」
本郷大佐が俺の希望を打ち砕く。
「それでもましな未来を希望するのはだめなのか?」
「気持ちは判らんでもないがなあ結局中華民国は追い込まれてるしな」
対華21か条の要求がまさか出るとは思わなかった、しかもアメリカが持ち出すとは、結局日本が大陸進出しなくても経過が同じになってしまうのか?
「でもオーストリアやトルコは国を守れたしそこは良かったな、小さな改変でも最終的には大河の流れを変えることはできるかもしれない」
「では、今後も裏からの介入は必要か」
「お前さんは当分は総研のお仕事が忙しいがな」
「そうだな、あれも近いし急がないとな」
俺は早速大神行の準備を始めるのであった。
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※※視点
「御具合の方はいかがですかな?」
「よろしくはないな、重圧が心身を痛められるのであろう」
「では?」
「もう猶予は無いようじゃな、そのように動くとしよう」
「殿下には?」
「儂がお伝えしよう、すでにお覚悟はできておられるが……」
「まったくおいたわしいことだ」
「そうだな」
「うむ、だが我々も全力でお支えせねばな」
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