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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
2章 大正編
47/231

45話 譲の出立した後の日本 2

※ 4/1修正

※ 8/10修正 フィンランド>スウェーデン

※ 10/9修正

 大分 大神工廠


「全くどうなってるんだい?昨日は駆逐艦、今日も駆逐艦、そんでもって船渠や船台が空くとすぐに建造に入るなんて気でも狂ったか?」


「欧州じゃあいくらでも船が欲しいらしい、ドイツの潜水艦が商船を狙って沈めまくってるようだ、そこで我が国の対潜兵器付きの駆逐艦が欲しいわけだ」


「フランス、オスマン帝国、ノルウェー、スウェーデン、なぜかオーストリアからも注文が来てるんだ」


「はあ?オーストリアってドイツの同盟国だろ?何で敵から注文が来てるんだ?」


「俺だって知るかよ、そんで建造が追いつかないって戦艦用の大型船渠まで使って建造してるんだろうが、まあ一度に8隻も作れるからいいんだろうけど」


 工員たちは毎日フル操業で働いており大変な騒ぎになっていた。資材が毎日鉄道や貨物船で運び込まれどこかで進水式が行われどこかで竣工した艦船が出航していた。


 恐ろしいことにここ大神だけでなく各地の工廠や民間の造船所でも駆逐艦や貨物船などの建造が目白押しになっており同じ光景が繰り広げられていたのであった。



>>>>>>>>>


東京 某所


 山本権兵衛と斉藤実が密かに会合を開いていたのはある人事の件であった。


「こんな人事が罷り通るとは…」


 山本が唸ると斉藤は申し訳なさそうな表情をした、彼は防衛省で海軍担当の副大臣をしていたからだ。


「申し訳ございません、艦政本部人事にあの方が干渉するとは思いませんでした」


「ふむ、あの御方にも困ったものだ、御自分の影響力を全く分かっておられない」


「どういたしますか?」


「こうなっては仕方が無い、ここからの最善手でいこうじゃないか」


「判りました、その様な人事になるように計らいましょう」


 そう言って彼らは次の話題に移った、新鋭の主力戦艦群を欧州に派遣したため此方のドイツ軍部隊に対抗するためにどうするのかと言う話であった。


>>>>>>>>>


海軍軍令部 某会議室


「それで、人事の方はうまくいったのですか?」


「問題ない、すでに発令されているからな今更撤回もできんだろう。」


 この場にいるのは2人のみ、会議室と呼ばれるにはこの部屋は狭いが外に会話が漏れないようになっておりこのような密談には最適であった。


 それを聞いてもう一人の男は鞄から書類を出した。その表紙には機密の赤文字がスタンプされており表紙には八八艦隊基本計画と記してある。もう一つにはスタンプは無く八八艦隊新計画案となっている。


「それは…とうとう完成したのかね」


「ええ、ご覧になってください、ご満足頂けるものと思います」


 新計画案と基本計画書を見比べていた男は満面の笑みで顔を上げた。


「これは素晴らしい!これならどこと戦っても勝てるぞ!」


「恐縮です」


そう言いつつ内心では別の事を考えていた。


(これで僕が考えた艦たちが世に出ることになる、先輩には悪いが僕の考えた船が一番強いんだ)


そしてその顔には嬉しさの隠しきれない笑みが張り付いていた。


>>>>>>>>


大分 大神工廠内 総研技術研究所


「平賀中佐はうまくやってますかねえ?」


「ドイツ艦の情報収集だろ?戦闘で拿捕とかできればいいんだがな、それよりあの艦の竣工は予定通りに行くのか?」


「夕張は大丈夫ですよ船体や艤装の方は工数管理通りに進んでます、後は新型機関ですか」


「ベンチテストでは問題がなかったが公試でどうなるかか?」


「なんせ前例の無い新機軸を取り入れた試験艦ですからね」


「軍令部や艦政本部でも内実を知ってる人間が殆どいないからな」


そう言って彼らは屋根付きの秘匿船渠を見上げる。


「竣工は中佐が帰朝する頃になるな、これが完成すれば歴史が変わるぞ」


 すでに歴史が変わっているのだがそれを知らない彼らは仕事の続きを再開するのであった。




ご意見・感想とか歓迎です。

あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも・・・

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