40話 欧州の情勢の激変 3
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「話は日露戦争まで遡るんだが当時ロシアに情報戦を仕掛けていて工作の結果中枢部に情報源を作ることに成功した人物がいたんだ」
「え?……まさか明石大将のことか?」
「ああ、まあお前さんはその辺は判るんだったな」
本郷中佐は俺の○ikiで内容は知ってるだろうと思っているようだ、ところが当該部分はこうなっていた。
……明石元二郎の対ロシアへの工作は完全に明らかになっていない、工作資金も当時の100万円という金額が広く知られているが後に当時彼の下で工作を行っていた人物が話したという記録では実に国家予算の十分の一というものであった、その潤沢な資金を使い各国の政府を日本寄りにさせたりロシアの情報機関を丸ごと買収したという話がある。(要出典?だれが?)
○ikiにも判らないことがあったのか……
「ロシアの情報機関も買収には応じたがそれは彼らが国を売ったわけじゃない、彼らは国の事を考えて此方の誘いに乗ったんだ」
元々日露戦争はロシア政府や軍には反対が多かったそうなのだ、いかに大国であっても極東で戦争をしていてそこに戦力を集めたら欧州の方が手薄になってしまうからだ、だが皇帝の大津事件の時の遺恨と極東に利権を持つ軍部や貴族さらにロシアの力を極東に送ることで削ぎたいドイツの皇帝の策略もあって戦争が始まってしまった、止めるには皇帝の戦争への意欲を折るしかないという話になって協力を決めたらしい、これには旅順要塞のステッセリ将軍やバルチック艦隊のロジェストヴェンスキー 提督が生贄状態で哀れだな。
「まさか東郷提督のロジェストヴェンスキー提督への態度は……」
敗軍の将への労りが非常に丁寧だったのは…
「東郷提督は情報を知らされていた側だったからな」
なるほど、それで御前会議で「必ず撃滅してみせます」なんてこといったんだな。
あの発言には会議に出席していた者たちが仰天したそうだ、どうしてそんなに確定的に言えるんだってね。
艦隊の進路と疲弊している現状を知れば有利なんてもんじゃないよね。
「だが皮肉なことに今ロシアは崩壊しつつある、彼らとしてはロマノフ家を存続させて将来返り咲けるようにするしか手がないのだろう」
そのためにはイギリスを動かす必要があったのだ。
「イギリス政府の方は反対だったのだが王家とチャーチル卿が保護することに動いてな、同盟国の我が国も彼らを受け入れるようにお願いしたんだ」
もちろんその代価は払うことにはなるんだろうがな。
「代価の方は莫大だが我が国もイギリスも損はしないさ、そのために皇帝からあれをせしめたんだからな」
なるほど、スポンサーは見つけてあるというわけだ。
「後は皇帝一家を無事に救出するだけだ、また忙しくなるな、早く戦争が終わって欲しいもんだ」
「それには同意だな、早く日本に帰りたいよ」
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第三者視点
ドイツ帝国
「陛下、大海艦隊が壊滅いたしました、Uボートも未帰還数が急上昇しておりこのままでは壊滅は時間の問題です、海軍は戦闘力を失いました」
「うむ、陸軍はどうか?」
「東部戦線では現在もロシアと国境で膠着状態が続いております、犠牲も多くこれ以上の攻勢は不可能であります」
「西部戦線も連合軍とにらみ合っております、散発的に戦闘が行われていますが此方の損害も大きく国境線まで押し戻されております」
「新兵器の投入も功を奏しておりません、毒ガスは散布する前にタンクを破壊され、飛行船は落とされ飛行機は撃墜されております日本軍は戦車を少数ながら投入しておりその機動力で戦線をかき乱されております」
「我が国の戦車はどうなった?」
「ようやく数が揃い訓練も終えました、前線に送ります」
幕僚が皇帝の問いに答える。
「簡単に消耗させる事のないように、だがここぞというところで使わねば勝利をつかむことは出来ぬ」
「承知いたしました、我が陛下!」
こうしてドイツ陸軍は西部戦線のカンブレーの地に新兵器の戦車部隊を含んだ最後の精鋭部隊を集めて決戦に臨んだ。
これを察知した連合軍も兵をカンブレーに向けた。
後に欧州最大の陸戦と呼ばれたカンブレーの戦いが始まった。
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