38話 欧州の情勢の激変 1
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海戦はドイツ艦隊の降伏で幕を閉じた。
シェア提督が降伏を申し出た時の残存艦は戦艦ケーニヒを始め戦艦8隻、巡洋戦艦2隻、巡洋艦4隻 駆逐艦22隻だったそうだ。その他巡洋艦2隻と駆逐艦10隻が本拠地に逃げ帰ったが残りは連合艦隊に降伏という形となった。イギリス大艦隊に味方を逃がすために突撃した部隊が逃げ延びられるなんて皮肉な物だ。
大艦隊側の損害は以下の通りである。
撃沈
巡洋戦艦 3隻
装甲巡洋艦2隻
駆逐艦 5隻
大破 巡洋戦艦6隻
中破 巡洋戦艦4隻、戦艦4隻 駆逐艦6隻
小破 戦艦4隻、巡洋戦艦4隻、駆逐艦10隻
死者 5021名
史実よりは若干損害は少なかったがやはり巡洋戦艦は3隻沈んだ、我が国の観戦武官は乗せないように進言しといて正解だったな。
我が国の艦隊の損害は以下の通りである。
大破
駆逐艦 榊
中破
駆逐艦 桜
小破
戦艦 摂津
巡洋戦艦 比叡 榛名
駆逐艦 6隻
死者 102名
日本側の損害の少なさは戦艦と巡洋戦艦は敵の攻撃がこないアウトレンジからの砲撃が多かったのと的確な砲撃で先手を取れていたのが大きかった。
嬉しいのは大量に手に入ったドイツ海軍の艦船のサンプルである、巡洋戦艦と戦艦は損傷部分の視察と記録は絶対に必要だな、これを資料にすればこれからの新機軸の導入が自然に出来るようになるのでありがたい話である。俺は頬が自然とゆるみ笑顔を浮かべた。
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第3者視点です
「おい昌福、平賀中佐の笑顔が怖いんだが…」
「いかん、草鹿よそれは触れてはいかん奴だ」
譲の笑顔に邪なものを感じた二人は声かけをせずに引き気味である、木村少尉の対応が何気にひどいが譲は気が付かず皮算用を根拠地に帰還するまでしているのであった。
この時点の欧州の情勢は未だ混沌としていたが間違いなく連合国軍の優位は感じられるようになっていた。
その中で同盟国側でも変化が起きようとしていた。
オーストリア
開戦後ロシアとセルビア相手に苦戦していたオーストリアであるがロシア軍の後退とセルビア攻略に何とか成功して一息ついていた、イタリアとの確執もあったがイギリス側がイタリアを中立にしていたので現状は小康状態であったといえよう、だが国内は疲弊しこのまま戦争を続けると多民族国家であるこの国は分裂する恐れがあった。
「本郷男爵、日本とイギリスの返答はどのようなものかね?」
大公フランツ・フェルディナントは憔悴していた、開戦に強硬な軍部と渡り合い、ようやく軍を引くことを認めさせたのである、もちろんそこまでに自国の戦力を見誤っていた軍部の責任も追求し指揮官の辞任などで軍の掌握に成功したのである、皇帝は健康を損なっており事実上彼が皇帝の代理を勤めていた。
「は、日本とイギリスは貴国が同盟から脱退すれば休戦を結ぶと明言しております、フランスにはまだ図ってはおりません、ドイツに漏れでもしたら大変ですので」
「確かに、今ドイツが知れば我が国は窮地に追い込まれよう、して同盟を脱退するにはあの方法を使おうと思う」
「それは…重い決断をなさいましたな。」
「なんの、このまま座していてはこのハプスブルグ家そのものが無くなることになる、それに民族がバラバラに独立しては周りの大国に潰されてしまうだろう、我々は団結しなければならないのだ」
「承知しました、直ちに連絡を取りましょう」
そうしてオーストリア・ハンガリー帝国は同盟から離脱して連合国側と講和するという一大ニュースが起こる。このときフランツ大公は皇帝ヨーゼフ1世を皇帝位から廃し事実上帝国を解体した、そして改めて各民族の自治を進めたオーストリア連邦として再出発することになった。連邦誕生時に大公は引退を宣言して甥にあたるカール1世を皇帝とした。
この発表にドイツは怒り心頭であったが報復行動は取れなかった。この短期間でドイツを取り巻く環境は確実に悪化していたからである。
そしてさらに止めを刺すことが起こるのであった。
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