表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平賀譲は譲らない  作者: ソルト
2章 大正編
38/231

36話 ユトランド沖海戦 4

※ 3/19修正

第3者視点です


 駆逐艦たちは命令に沿って次々に魚雷を発射していく。桜型駆逐艦は45センチ連装発射管を2基搭載しているので本来ならば80本の魚雷を発射出来たのだが被弾や故障などで発射できたのは64本であった、発射後に故障で沈んだ魚雷は8本で逸れた魚雷が18本残りの38本が戦艦部隊に到達した。


 最初に被雷したのはカイザー級戦艦カイザーである、第6戦艦隊旗艦であるこの艦には3本の魚雷が命中した、片舷に3つの大破口を開けられたために転覆して弾薬庫の誘爆で轟沈した、さらに同級のカイザリンにも2本が命中し大破して速力が低下してしまった。


 さらにケーニヒ級戦艦のケーニヒ、グローサー・クルフュルスト、マルクグラーフ、クローンプリンツ・ヴィルヘルム が構成する第5戦艦隊にも魚雷が殺到し数本ずつ命中した、これらも速力の低下を起こしていた、むしろ沈まなかったのが不思議であったがこれらドイツの戦艦は舷側装甲を全体に厚くしたり2重底にするなどしていたので脅威の防御力を発揮していたのであった。


「くそっ、今日はどうなっているんだ魔女の呪いでもあったのか!」


 シェアー提督は悪態をつくがその言葉が終わらないうちに旗艦フリードリヒ・デア・グローセ に衝撃が走った。


「被雷しました!数は4本です。」


「右舷急速浸水!ポンプ回せ!」


「浸水止まりません、機械室応答無し!」


 あっという間に傾斜していく船体にたまらずシェアー提督は総員退艦を命じた。


 こうして815人の生存者が脱出して味方艦に拾われた。



>>>>>>>>>>>>>


 この戦いに大海艦隊の巡洋艦や駆逐艦たちが何もしなかったわけではない、彼らは接近する日本の水雷戦隊に対して戦艦の盾になるべく接近して砲撃を交わしていた、その砲撃は激しく双方大きく損害を受けた、だが日本側の魚雷の統制雷撃によりその均衡は大きく崩れた、味方戦艦を守るため身を挺した結果魚雷の命中で沈む艦が続出さらに旗艦フリードリヒ・デア・グローセを守るために軽巡洋艦ロストックと駆逐艦V29は魚雷を2本と1本受け両方とも爆沈した、その献身の甲斐なく4本の命中を出したことはいかに多くの日本艦に旗艦が狙われてたのかがわかる、旗艦を沈めれば敵は艦隊の運用に支障を来たすと日本側が考えていたからであった。それでも残存の駆逐艦たちは日本駆逐艦に突撃して魚雷を撃ちつくした彼らを追い払うことに成功した、残った艦たちの中で足の特に遅いドイチュラント、ポンメルン、シュレジェン は追撃してきた『金剛・榛名』らを相手に足止めを図るためにその場を離れずに砲撃の応酬を行った、その中を残存の艦が本国へ向けて舵を切り全速で逃げ切りを図った。



>>>>>>>>>>>>>


譲視点


 どうやら敵の戦艦部隊には逃げ切られそうだ、金剛も全速で追いたいが前を旧型戦艦のドイチュラント級の3隻がジャマをしている、これらを相手にしていたら本隊に逃げ切られてしまうそう思っていたら傍にいた二人が同じことを考えていたようだ。


「歯がゆいな昌福、このままでは逃げられてしまうな」


「草鹿よ、そうは言うがあの旧式戦艦3隻はここで捨石になるつもりだ、ドイツ侮りがたしだな、見事といっていいんじゃないか?」


 彼らの会話を横で聞きながら双眼鏡を構える、ポンメルンの艦上に閃光が走り爆炎が上がる、命中弾が出たようだがすぐに沈む様子はない、旧式なのにしぶといな。


 装甲が薄いといわれる巡洋戦艦だが金剛型は防御に気を使っているのでドイツの旧式戦艦よりも防御力はあるほうだが油断はならないな。


 本隊の方は此方に対してかなり距離を稼いでいる、このままでは追いつけないだろうな、英大艦隊グランド・フリートもドイツ巡洋戦艦たちの決死の突撃に陣形を崩されてだめなようだ。ここまで防御力に違いが出ているのは非常に興味深いので2-3隻拿捕できないかな?


>>>>>>>>>>>>>>>


第三者視点


 辛うじて虎口を逃れたドイツの戦艦部隊は根拠地への最短距離を進もうとしていた、出撃の時と比べると数が激減した艦隊は被弾により速度低下などでまともに艦隊陣形も取れずに速度がほぼ同じ物同士が数隻寄り集まって進んでいた。


「なんとか逃げ切れたか……」


 シェア提督の呟きに艦橋の中の者たちにもホッとした空気が生まれた、 彼らは現在乗り移った戦艦ケーニヒで残存艦隊の指揮を執っていた。


「後は巡洋戦艦隊と駆逐艦部隊の動向だが……」


 この後の事を話し合う余裕が出ていたのは追撃する艦影が見えず、時刻が夕刻から夜になり暗くなって来た事で敵の追撃は断念されるのではという観測もあったからである。


 だが彼らは運命の女神に徹底的に見放されたようだった。


 突然上空に閃光が走ったかと思うと辺りが急に明るくなり艦影を海上に浮かびあがらせる事になった。


 それはこの海戦の最後の一幕が開いた瞬間であった。

ご意見・感想とか歓迎です。

あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…

励みになりますので、評価、ブックマークなど良ければお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ