26話 欧州派遣軍と各国の思惑
※ 3/18修正
第三者視点
欧州派遣軍の編成は急速に進められた、まず向かうのは臨時編成された第一欧州派遣艦隊である。これらは派遣艦隊旗艦として利根以下筑摩、桜型駆逐艦12隻で編成され、それらが陸軍第3軍を乗せた輸送船団を護衛して出発することになった、欧州までの長旅になるため輸送に当たる艦は最新型の物が使われることになった。
さらに第二欧州派遣艦隊の編成が行われる事になったが、ここで問題が起きた。イギリス側からの要望で戦艦クラスの派遣が求められ金剛型4隻の指名が行われていた、それに対し海軍では新鋭の巡洋戦艦の派遣を渋っていた。
結局4隻中2隻が出されることになったが金剛以外の艦は艤装が終わっていないのでそれが終了して竣工して訓練が終わってからの出撃となる。
「そして太平洋側のドイツの拠点青島の制圧とドイツ南洋諸島攻略か、見返りはその地における日本の支配権かい?」
「それに加えてもう少し分け前がもらえそうだな、基本海外領土を貰うより採掘権とかの方がいいんだろ」
その方向で話し合いを行っていると本郷は譲に説明した。
「今回は色々と手を打たなきゃならんからな忙しいぜ」
そう言って本郷は欧州へ出発した。
「なんか笑顔が黒く感じるな…」
譲にはその顔が非常に胡散臭い悪徳商人のように見えたようだ。
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イギリス ・ ロンドン
「第3軍が派遣されると言うことは本当かね?」
イギリスの高官の質問に大使館の武官がにこやかに答える。
「はい、かつて乃木将軍の指揮された部隊を主力として再編成された物です、旅順要塞攻略や奉天会戦の経験者たちも多数配置しております」
「おお、それほどの精鋭を、感謝に堪えません」
「海軍部隊も日本海海戦を東郷提督の下で戦った者たちです、きっとお役に立てるでしょう」
「すばらしい!貴国の誠意に感謝しますぞ!」
(かなり恩も売ったし本郷さんの思惑通りに行ってるな…)
武官が本郷の部下で東機関の工作員であることは高官も日本の大使館の者でさえも知らないのであった。
オーストリア ・ ウィーン
「日本はイギリスに付くのか…残念だ」
「本郷男爵は日本はあくまでも戦う敵はドイツのみでオーストリアとは戦わないように説いて回っております」
オーストリア大公フランツ・フェルディナントと話しているのは日本大使館の武官である、もちろん裏の顔は本郷の部下である。
「本郷はそこまでこの国の事を……」
「何かありましたら我が国と本郷男爵が相談に乗らせていただきますぞ」
「ありがとう、大変心強いよ」
今やオーストリア政府はセルビア憎しで固まっており、皇帝や大公の意見すら通らなくなっているのであった、それを危惧している彼らは密かに協力を申し出ている本郷たちを心強く思い、後に思わぬ結果となるのであった。
アメリカ ・ワシントンDC
「大統領閣下、満州に割拠する軍閥をどうにかしませんと南満州鉄道の経営にも差し障ります」
「大韓民国でも同様です、義兵運動で鉄道への破壊工作や我が国の居留民へのテロなどが続き欧州への戦争への介入どころではありませんぞ」
閣僚たちの言葉に大統領もうなずく。
「我が国の権益の確保がすべてに勝る、満州と大韓民国への駐留軍を強化して治安維持に努めよう、そして当面欧州へは不干渉にする」
アメリカに対しては両陣営からの誘いがあったが当面はどちらにも組しない中立を保つことになったのであった。
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