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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
1章 明治編
26/231

24話 火薬庫半島

※3/15修正

第三者視点


1914年6月28日


 オーストリア領ボスニア・ヘルツェゴビナ  サラエボ


 この日この地にオーストリア大公夫妻が訪問していた、その車列を狙う者たちがいた。


 ボスニアに住むセルビア人たちのグループである。彼らは爆弾や銃を用意して待ち構えていた。

これに対してオーストリア当局の反応は鈍く暗殺は成功する物と思われた、介入する者が居なければ・である。


男爵バロン本郷、貴官とその部下たちの機転に感謝する」


 そう言ってオーストリア大公フランツ・フェルディナントが握手をしていたのはとう機関を率いる本郷中佐である。


 彼は駐オーストリア大使館付きの特命外交官 本郷男爵(爵位を持っていれば皇族に近づきやすいとの理由で称していた。)と名乗っていた。


「私だけではない、我が妃ゾフィーとお腹の子の命も救ってくれた」


 本郷たちは事前の情報通りに暗殺実行犯たちを見つけ出し未然に犯行を封じたのであった。


「凶行が未然に防げて僥倖でした、たまたま私の部下が挙動不審な一団を見つけていなかったらとぞっとします」


 本郷はぬけぬけと発見が偶然の事だと伝えた、間違っても「知っていました」とは言わない。


「うむ、日本には貴官の活躍と感謝の言葉を送らせてもらおう、貴官たちにも私から出来るだけのことをしよう」


 大公は日本を訪問したこともあり日本に好意的であったがこの件でさらに親日度を増したようである。


(さて、大公夫妻が無事だったことでどのように変わるのか、観察が必要だな、戦争になるのか否か?)


 本郷の興味はこの後の展開であった。


>>>>>>>>>>>>>>>


 オーストリア政府の意見は割れた、大公暗殺を企んだ組織はセルビア政府の息が掛かっており最後通牒を突きつけても追求すべきであると言う意見と、未遂に終わった事でそこまでしなくても良いのではないかと言う物であった。


 皇帝のフランツ・ヨーゼフ1世と大公は後者であり、結局それに押し切られるようにセルビアには暗殺組織の摘発を求める要求を行っただけであった。


 そのためこの地方の緊張は緩和されたかに見えた。


 だがその望みはボスニア地方で起きたセルビア系住民の暴動で消えた、彼らは捕らえられた暗殺実行犯の釈放を求めていたのである、もちろんオーストリア政府としては飲める物ではない、直ちに鎮圧の軍を起こすとその軍事行動にセルビアが反応軍に動員令を出すことになりなし崩しに戦争の機運が高まっていた、だがこの裏にはある工作があった。


「なるほど、ドイツの工作があったか、どうやら戦争をしたいらしいな」


 情報を収集していた本郷中佐はドイツが裏でセルビア系住人を煽っていたのに気が付いた、ドイツはオーストリアとセルビアそしてセルビアを支援するロシアを戦わせたがっていたのだ。


「そうやってまずフランスを叩いてその後にロシアを叩くか、だが中立国であるベルギーを通過してフランスに向かうとイギリスと戦争になるけどな、イギリスはそう宣言してるし、まあ、その覚悟もあると言うことか」


 近年ドイツがイギリスに対抗するように戦艦の建造を進めて居たのはそのためだったのかと納得する本郷であった。


 そして、ついにオーストリアがセルビアに宣戦を布告して戦争が始まった。


 7月28日のことであった。

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