195話 ハリケーン発動 その6
どうもお待たせしております。
調子が上がらず更新が進んでいませんがぼちぼちと書いております。
継続する事は大事なのだなと思っております。
※3月14日修正
世間はコロナで騒がしいですが騒がず書いて行きたいものです。
※9月3日話数修正 なんてことを(/ω\)
67.4任務部隊 旗艦 アイオワ
「司令! 水平線上に艦船を確認! 日本海軍と思われます! 」
「どうやら、間に合ったか」
第四艦隊後方に現れたのは囮部隊としてバタンガスに先行していたキャラハンの部隊であった。
何故? この場に現れたのか?
それは約一日前部隊がシブヤン海を抜けバタンガスに近づいた時の事であった。
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「おかしい? ここまで来ても全く襲撃が無いとはどういう事だ? バタンガスはもう目の前だ」
キャラハンは双眼鏡を構えて上空を眺めた。そこには味方の戦闘機が翼を振って歓迎の合図を送ってきている。バタンガス近郊の基地から飛来した部隊であった。
「日本軍はまさかシブヤン海を抜けるコースだとは思わなかったのでは? 陸上基地も健在の今の状態なら向こうも襲撃のリスクは大きいですから……司令?どうなさいましたか?」
参謀の言葉をキャラハンは聞いてはいなかった。彼は重大な事に気が付いたのだ。
「そうじゃない、我々の所に日本軍が来なかったのは囮だと気が付いていたからだ! 奴らは本隊に狙いを定めているんだ、このままでは本隊が危ない!」
「まさか、彼らは我々の作戦を読んで?」
「そうだ、恐らくすべての海峡が見張られていたのだろう。 本隊がスリガオ海峡に入ったのを察知していた、だから我々に接敵しても攻撃隊を出さなかったのだ。本隊にすべてを振り向けているからだ」
「いかがしましょう?」
「ただちにスコット提督に繋げ、話がある」
キャラハンがスコットに本隊の救援に向かうと告げ、それから部隊は進路を変えて一路本隊の進んでいるスールー海を目指した。
「全速で行け! 本隊に辿り着くのだ! 」
そうしていると本隊が攻撃を受け無線封止を解いて救援を求める通信が入って来た。
その電波を頼りにして、此処まで来たのである。
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第四駆逐隊旗艦 初月
「敵艦隊前衛との距離、1万4千! 」
「面舵! 雷撃態勢を取れ!」
旗艦初月を先頭に秋月、霜月、照月が進路を変えて敵艦隊に艦側を向ける。
「敵はどうだ? 回避行動をとったか?」
「敵艦進路そのまま、直進してきます」
「奴ら、雷撃が怖くないのか? それともこの艦に対艦雷装が無いのを知っているのか?」
司令官が嘆くと艦長が答える。
「あるいはそんなことに形振り構わず突っ込んでくる気なのか」
「そいつは厄介だな。前衛の巡洋戦艦と本隊の戦艦にはうちの主砲じゃ歯が立たない」
「噴進弾を撃ち尽くすと攻撃能力が落ちるのは問題です」
「元々対空・対潜用の艦だからな。噴進弾を積み込んだ分雷装を無くしたのは間違いではない」
「どうしますか? 砲戦に持ち込んではこちらが撃ち負けます」
「我々の目的は戦艦を機動部隊に近づけないことだ。沈める必要はない。足を痛めつけて追いつけないようにできればいいのだ」
「ならば、方法があります、対潜用の短魚雷を使いましょう。但し、最大射程は5千です。確実に命中させるには3千は見ないといけませんし、威力も戦艦に致命傷は与えられません。精々破孔を作り速度を落とすことが出来ます」
「それで十分だ、大将を逃せばこの戦は勝ちだ」
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旗艦アラスカ
「敵部隊、数4 艦種は駆逐艦、こちらに向かってきます」
「やはりブラフか、こちらが雷撃に対して無視したのでかかってくるようだな」
「ですが、そうとばかりは言えないのでは? 近づいた所で又雷撃姿勢を取ってくれば回避せねば…」
「我々に回避の文字は無い」
「しかし!」
「我々は一刻も早く敵空母を捕捉する必要がある、いかなる犠牲を払ってもな」
参謀長の問いにスコットはにべもなく答える。
「本隊は数万の我が軍の将兵を運んでいる。犠牲になるのは少ない方が良い」
「司令……」
「敵に時間を稼がれると戦艦部隊が現れるだろう、それまでに叩かねばならんのだ」
「判りました、速度を維持し敵空母の捕捉に全力を注ぎます」
全速で接近する両者はたちまちのうちに距離を詰めていく。
そして砲火の応酬が始まった。
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4隻の秋月型駆逐艦は速射砲を敵艦に向け連射する。対空用に開発された砲は毎分30発の連射が可能であり2つのマガジンドラムに30発ずつの即応弾が装填されており弾火薬庫から人力で下部揚弾ホイストに給弾して対応している。
その威力は驚異的な物でたちまち捕捉された先鋒の米駆逐艦はハチの巣の様に穿たれていく。
駆逐艦ラフィーは弾火薬庫が誘爆して沈み、モンセンは戦闘不能になり漂流を始めた。
しかし数で勝る米軍の反撃も凄まじかった。
一番前に出ていた秋月は巡洋艦やアラスカ・フロリダの集中砲火を受け誘爆で艦が真っ二つになり、照月も艦上構造物を破壊されて行動不能になった。
その中で初月と霜月は短魚雷の発射に成功し、スコットの部隊の中核である重巡洋艦アラスカ・フロリダへ魚雷が向かっていくが、その射線上にラルフ・タルボットとオバノンが割り込みを掛けてその身に魚雷を受ける。
「ラルフ・タルボットとオバノン沈没、我が艦の盾になって…」
被害報告を告げる参謀の報告に頷いたスコットは声を上げる。
「彼らの献身を無駄にするな! 主砲は敵空母を射程に捉え次第砲撃! 各艦は忌々しい駆逐艦を排除せよ!」
更に激しい砲撃の応酬が行われたのであった。
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日本 戦略本部
本部内は慌ただしく部員が動いて情報の整理と分析を行っていた。
「フィリピン側は作戦通りに行くかと思ったんだが……」
呟く譲に所用から戻って来た本郷が声を掛ける。
「戦っていうものはそんなに簡単に行くものじゃないんだ。戦艦部隊が急行しているから全部がやられる事はないはずだ」
黙っている譲に更に言葉を重ねる。
「それに周辺の部隊全てに指令を出してる。あの部隊にもだ」
「判った、重要な局面だが、より重要な場所があるからな」
「そうだ、こちら次第ではすべての局面が変わる」
彼らの目は本部のパネルに張られた作戦用地図の一点に注がれていた。
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機動部隊随伴 防空対潜駆逐艦 秋月型
基準排水量 3860トン
全長 135.2メートル
全幅 13.2メートル
最大速力 36.8ノット
兵装 54口径12.7cm単装速射砲3基3門
戊式40mm連装機関砲4門
武式12.7mm4連装機関砲4門
同12.7mm連装機関砲10門
対潜迫撃砲2基
対潜短魚雷発射機 3連装2基
三式垂直格納型噴進弾発射機 二四基
三式重噴進弾発射機 四連装二基
同型艦
秋月 照月 涼月 初月 新月 その他多数
準同型艦(1944~)
満月型 基準排水量 4300トン
変更点 単装速射砲を3>2基へ
40mm連装機関砲を高性能機関砲へ換装
他垂直格納型噴進弾発射機を72基に
後部のヘリコプター発着甲板に格納庫を増設
アラスカ級大型巡洋艦(各国の軍事情報では巡洋戦艦として紹介されている例が多い)
基準排水量 30550トン
全長 238.4メートル
全幅 28.8メートル
最大速力 34ノット
兵装
Mk.8 30.5センチ 3連装砲 3基9門
Mk.12 連装両用砲 6基12門
40mm/60 4連装機関砲 14基56門
20mm/70 単装機関砲 34基34門
同級艦 アラスカ グアム フロリダ (計画艦) フィリピンズ サモア プエルトリコ
御意見・感想ありがとうございます。
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あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…
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申し訳ありません。