194話 ハリケーン発動 その5
活動報告にも書いていましたが所用により休載しておりましたが問題が解決しましたので再開します。
以前のペースに戻す予定ですが感覚が戻っていないのもあるので手探りでやっていきます。
宜しくお願いいたします。
2月3日 修正
前回のおさらい、アメリカ太平洋艦隊は日本側に先制した。意気上がる太平洋艦隊司令部にカナダから英軍が侵攻してきたとの報せに騒然となる。
一方南太平洋艦隊本隊はスリガオ海峡を無事抜けたがそこで敵襲を受けることになった。
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特別任務部隊 旗艦ポートランド
「我が方の被害、弾薬輸送船2隻沈没、1隻大破、燃料輸送船3隻沈没、5隻大破、うち2隻は総員退艦中です。 空母エセックス・ヨークタウンが沈没、イントレピット・ホーネット大破、フランクリンは少破、ただいま応急修理中です。防空戦艦アーカンソーは先程沈みました」
すでに数次の攻撃を受けて輸送船団の被害は増すばかりであった。日本軍の攻撃は防空を担当する機動部隊への攻撃に集中し、徐々に削られていった。
「航空機の援護はもう期待できない。このまま逃げ切る事は難しいだろうな」
上空をまばらに舞う戦闘機を見上げて、ゴームレーの表情はさえない。機動部隊から空母の損傷と搭載機のダメージが酷く今飛んでいる機体を下ろすと次に飛び立たせることはできないだろうと報告が入っていた。
そして鈍足の輸送船団では追いつかれるのも時間の問題であろう。最初の攻撃を受けてから部隊を反転させては居たが敵の反復攻撃のインターバルが短くなっている事が彼我の距離が縮まっていることを思い知らせていた。
「せめて最後まで、我々は合衆国海軍軍人の誇りにかけて、兵たちを守る。各員に徹底させてくれたまえ」
奇跡的に目立った損傷の無い兵員輸送艦を守るように艦隊は進んでいった。
誰もが次の攻撃を覚悟していた。
だがそれが訪れることは無かった。
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第四艦隊旗艦 隼鷹
これまでゴームレーの艦隊を攻撃していた艦隊は一転ピンチに見舞われていた。
「間違いでは無いのか? 敵艦隊が現れるなどど…」
「部隊の最後尾の4駆哨戒機が発見したそうです。アラスカ級とアイオワ級がいたと」
「どちらも30ノット以上が出せる高速艦です。我が方の空母は25ノットが精々です。追いつかれますぞ」
司令官の問いに通信参謀が答えて航海参謀が懸念を口にした。
「直ちに発進した攻撃隊を引き返させろ、後方の艦隊を攻撃させる。航空参謀! 後どれ位噴進弾は残っているか?」
「全力出撃2回分です、ですが相手が戦艦では致命傷を与えられるのは艦対艦噴進弾しかありません。 随伴している打撃艦も護衛の駆逐隊も発射機の弾は射耗しています」
「では、効果は期待できない?」
「はい、残念ながら、我々に出来る事はひたすらに逃げ、味方の来援を待つしかありません」
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第四艦隊所属第4駆逐隊旗艦 初月
隊司令に通信参謀が報告を上げていた。
「哨戒機からの通信途絶、最後に{我敵艦載機に攻撃を受けつつあり}と報告してきております」
「無理もあるまい、回転翼機では逃げ切れなかっただろう」
司令が答えると司令部の中に溜息が漏れた。
先任参謀が司令官に質問する。
「どうします? 敵の規模と艦の速度ではうちの空母は逃げ切れません。アラスカもアイオワも30ノット以上出せる高速艦です」
「足止めをするしかあるまい。水線下にダメージを与えられれば速度を落とすことが出来るはずだ」
「それしかありませんな、ですが艦載機の搭載弾では戦艦の上部構造物を破壊できても水線下やバイタルパート内を破壊する事は困難です。装甲の薄い空母や巡洋艦・駆逐艦とはちがいますからな。艦に搭載している艦対艦噴進弾なら或いは…ですが既に輸送船団に使っており発射機の分は全弾撃ち尽くしています」
「ならば、話は一つという事になるな」
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第四艦隊所属第二防空戦隊旗艦 五十鈴
「第4駆逐隊反転せり! 尚通信が入っております。{我、敵の足止めに反転す、戦隊旗艦は護衛の任務を全うされたし}以上です」
「捨て石になると言うのか。思い切った事を考えるな」
通信参謀から受け取った電文綴りを持ったまま司令官が呟く。
「砲術参謀、弾庫の対艦噴進弾を発射機に装填せよ」
「司令! 噴進弾の装填は泊地か停泊中、艦を止めた状態でやらないと危険ですぞ! 」
「判っている! だが4駆が体を張って敵の足止めをしてくれるのだ。それに応えなくてどうする。直ちに戦隊各艦に伝達せよ」
「判りました!」
こうして日本側は急に現れた敵に対処することとなった。
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