193話 ハリケーン発動 その4
※ お待たせして申し訳ございません。
いろいろと案件を抱えており今年中は更新が困難でした。
1月中も同様ですが2月から再開していきたいと思います。
太平洋艦隊 第5艦隊 旗艦 ミズーリ
「バークは良くやってくれた。1駆逐戦隊であれだけの戦果を挙げてくれたのだから」
いつもは素っ気ないとも言われるスプルーアンスであったが、この時ばかりは顔を綻ばせている。
「敵の油断があったとはいえ良くもここまで思い切ったことが出来るものです」
参謀長のムーア大佐も半ばあきれ顔であったが、司令部の雰囲気は明るかった。
「ハルゼー提督の第3艦隊もうまくいっているようだ、我々も後に続かねばな」
スプルーアンスは前を進む艟艨を見ながら誰にともなく言った。
そこには自分の座乗するミズーリよりも堅牢な姿を見せる巨艦が波を蹴立てて進んでいた。
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第3艦隊 旗艦レキシントン
「敵の前衛は壊滅した。バークがうまくやったようだ」
「壊滅した前衛に代わり本隊が前に出た分敵の後衛が離れましたな」
「そう、今度は俺たちの出番というわけだ。切れるカードは一回こっきり、こいつを使って勝ちを狙う。やるっきゃねえぞ」
「そのつもりです」
甲板上に並んだ搭載機が発艦していくのを見ながらハルゼーがミッチャーに激を飛ばし、ミッチャーは被っていた帽子を深く被り直して答える。
「しかし、雷撃機無しってのはしっくり来ないな」
ハルゼーがぼやくとミッチャーは帽子のつばを少し上げて答える。
「仕方ないですよ、敵の対空戦闘の前ではいい鴨…いや、七面鳥でしょうか?」
「じゃ、しゃあねえな、スプルーアンスが手配したあれ(・・)に期待するか」
二人は最後の機体が離陸するまで見ていたのであった。
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第八艦隊 旗艦山城
「現在、本隊の位置はここに当たり、当初の作戦時の前衛の位置に達しています。航空戦隊は連絡が遅れておりまだ追いつくまでは時間が掛かります」
「合流を急がせろ。上空直掩と偵察に支障が出る。これではせっかく行軍速度を上げたのがパアだ」
上がってきた報告に顔を顰める神参謀に大西参謀長は不安を募らせる。
「長官、やはり泊地への攻撃は止め、敵艦隊の捕捉と撃滅に的を絞った方が良いのでは?」
参謀長の進言に三川は首を横に振る。
「ここまで来て手ぶらでは帰れんのだよ。泊地への砲撃が第一義で後はおまけだ。参謀長はいかに攻撃が成功するか検討してもらいたい」
「ですが…」
二人が問答をしている所に通信綴りを持った通信参謀が慌ててやってきた。
「至急電です! 航空戦隊が攻撃を受けている模様!」
さらなる凶事が艦隊を襲うこととなった。
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サンディエゴ 太平洋艦隊司令部
「ではハルゼー達の攻撃は成功したのだな」
「はっ! 空母2撃沈確実、他2隻を大破させたと報告が入っております」
情報参謀の報告を聞きながら、チェスター・ニミッツ司令長官は深く椅子に座り直した。
「これまでは満点の出来だな。あとはスプルーアンスの仕上げという訳だ」
「もうすぐ会敵する頃合いです。吉報を待ちましょう」
「そうだな、この勝利が反攻の第一歩になればよいが」
そこに慌てた様子の参謀長が駆け込んできた。
「司令長官! 大変です、カナダ国境で戦闘が発生! 英軍の侵攻です」
戦勝の雰囲気は吹き飛ばされ、慌ただしくなる司令部、その間も戦況は進んでいく。
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特別任務部隊 旗艦ポートランド
スリガオ海峡を抜けてミンダナオ島を横目に通り過ぎた部隊はスールー海に入ることが出来た。
「後はパナイ島とミンドロ島の間を抜ければバタンガスは直ぐです。敵は完全に囮に引っ掛かりましたな」
「その分キャラハン達には負担を掛けてしまった。無事なら良いが」
ゴームレーが参謀長と会話しているとレーダー室より連絡が入る。
「航空機の大編隊を確認! 敵機の可能性大! 」
「まさか! 読まれていたのか? そんな馬鹿な! 」
「司令! 直ちに迎撃を! わが方にも航空隊が付いています」
「そうだった! 直ちに迎撃を開始せよ、防空艦は輸送部隊を守れ!」
迎撃のため慌ただしくなる各艦、彼らにはこの後起こることは予想もしていなかった。
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