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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
3章 昭和編
213/231

192話 ハリケーン発動 その3

※ お待たせして申し訳ございません。


  手が進みません(泣

 第八艦隊 旗艦山城


「前衛部隊が壊滅だと? どういう事か?」


 報告を受けた司令部では混乱が起きていた。レーダーの不調から始まり、艦隊の速度を落とさねばならなくなった事、無線封止していた筈の前衛からの悲鳴のような救援要請であった。


「第6戦隊司令部は全滅の為、指揮を第5水雷戦隊が引き継いでいます。損害は沈没が古鷹、樅、柿、欅、朝雲、夏雲、大破が青葉、桂、由良、長波、小中破が清波、白波、峯雲です。第5水雷戦隊司令部は大波に移って救援活動を行っております」


「して、敵は? どのくらいの規模でどれだけ倒せたのだ?」


「敵の規模は多くて2個駆逐隊規模で向こうの被害は数隻を中破したとの戦果確認が出ています」


「たった2個駆逐隊にいいようにやられたというのか! ありえん! なにをやっておったのか第6戦隊司令部は?」


「敵を味方と誤認したため対応が遅れたとの報告があります。{敵は後方より現れり}と第5水雷戦隊は報告しております…」


 質問する神参謀がだんだん激してくるのに対し通信参謀の声は消え入りそうになっていた。


「神君、通信を責めても意味があるまい。これからどうするかを考えねばならん。長官、我々は撤退を前提に今後の行動を考えねばなりません」


 大西参謀長の言葉に神参謀は目を剥くが、三川長官は抑揚の無い声で答える。


「いや、戦果無き撤退はありえん。我が艦隊がここまで来た意味が無くなる」


「ですが前衛の壊滅は作戦の遂行を困難にしております。ここは引く勇気が必要なのでは?」

 

 大西の諫言にも三川は頷くことはなかった。


「我々に敗北は許されんのだ。このまま帰ればどうなることか、それに本国でもまずいことになるだろう」


 この一言で本隊は前衛を後方に下げて前進する事となった。



>>>>>>


日本 戦略本部


「第八艦隊の出撃の件のからくりが分かったぞ」


 本郷中将が作戦室に戻ってきた。相変わらず早いな。


「やはり軍令部の工作があったようだ、統帥本部に出された書類が改竄されていた。そもそも第八艦隊編成から欺瞞されていたわけだ」


「それはどういう事だ?」


「まず、あの艦隊は本来は大規模艦隊訓練の為の臨時編成として作られた物だ。そして召集した新兵の訓練を兼ねてハワイへの訓練航海を行うというのが今回の出撃だ」


 本郷かれの話ではかなり酷い事が行われた様だ。


 欧州から帰り新型装備への換装待ちだった艦を集めて編成し工廠が空くまで{遊ばせない}為に訓練に使うという名目でハワイに送った様だ。連合艦隊司令部から独立した部隊にしたのも新兵の多い艦隊を流用されないためだという理由も付いていた。手の込んだことをしている。


「ということは艦の殆どは旧式装備のままか」


「主力艦は皆そのようだ、米軍も我々の装備の解析と対策をしているというのに無茶をする」


「向こうにいいようにやられる可能性があるな」


東機関うちも欧州と北米に集中的に人材を送っているから調べるのが遅れた。これを主導しているのが軍令部長の及川大将だが黒幕は別にいる」


「そいつは?」


「退役させられた永野大将達だ、今だにあの連中のシンパが残っていたようだ」



 及川大将と言えば漢籍の研究者としても有名だったな。だが判断を部下に丸投げする傾向があり、永野派の若手に担がれて今回の工作を行ったようだ。


「国防大臣も嘆いていたよ、戦時中で人材が不足している、以前のクーデターの影響が出ているとね」


 明らかにクーデターに加担した者はともかく去就が怪しかった若手に手を付けられなかったのが問題になった様だ。


「急な改革の弊害だな。ハワイに戻った堀君がうまくやってくれればいいが」


「損切をどこまでするかと言ったところだな」


 本郷中将の言葉に頷きながら愚挙に付き合わされた将兵達の事を思うと暗澹とした気持ちになるな。せめて被害が少なくなるように祈るしかないか。


御意見・感想ありがとうございます。

ブックマーク・評価の方もしていただき感謝です。

あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…


読んでいただくと励みになります。



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