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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
3章 昭和編
212/231

191話 ハリケーン発動 その2


 太平洋 カリフォルニア州沖

 

 時刻は真夜中で月は早々に沈んだため辺りは真っ暗である。更に雲が出ており星も見えない状態であった。 

 第八艦隊の前衛を務める第6戦隊は水雷戦隊を警戒隊として前面に展開して進撃を続けていた。旗艦青葉の戦闘指揮所では困惑が広がっていた。


「レーダー不調だと?」


 司令官が電探レーダーの参謀に聞き直す。その言葉を聞いた参謀は困惑した顔で答えた。


「本艦だけでなく戦隊と水雷戦隊の全ての艦がレーダーに乱れを生じております。原因は現在調査しておりますが、自然現象である場合と人為的な場合があり現在は何方か判っておりません」


「自然現象と人為的な場合か、人為的な場合と言うとアメリカが何らかの妨害を行っているというのか? 奴らは我々を察知していると?」


「そこまでは…妨害を行っている間は自らもレーダーが使えないはずです。恐らく妨害波を出して我々が無線封止を破るのを待っているのではないでしょうか?」


「可能性はあるな。全艦に見張り員による全周警戒を行わせろ。止むを得んことだが、速力も落とさねばなるまい」


第6戦隊は速力を落とし、警戒を行いつつ前進を余儀なくされた。


>>>>>>


「司令! 敵艦隊は速度を落としております」


「そうか、全部隊に通達! これより我が部隊は戦闘状態に入る、別命あるまで発砲は控えるようにと伝えよ」


 先に敵を見つけたのは合衆国海軍の方であった。


 その指揮官であるアーレイバークは暗い海原を眺めながら思った。


(今までは奴らにいいようにされて来た。だが今度は違う、奴らに一泡吹かせてやるぞ)


「ジャミングは順調に行われています。敵艦は我々をロストしたままです」


 参謀の報告に頷き言葉を返す。


「敵も目視で警戒はしているだろう、こちらも見張り員に敵の動きに注意させろ」


 迫りくる恐るべき敵に未だ第6戦隊は気が付いていなかった。


>>>>>>


 第6戦隊 旗艦青葉


「見張り員より報告! 後方より艦隊近づく」


「本隊が追い付いたのか! 我々が警戒して速力を落としているというのに呑気な」


 舌打ちをしながら司令官は後方の味方に連絡を取ろうとする。


「無線電話では無理だな、発光信号で連絡せよ{ワレアオバ、ソクドヲオトサレタシ}とな」


 青葉から発光信号が発せられ後方の艦隊に届いた時返事が返って来た。ただしそれは発光信号では無く砲弾であった。


「後方の艦隊が砲撃をして来ます!」


「馬鹿な! 同士討ちだと! 信号を送れ{ワレアオバ}繰り返せ!」


 司令官が叫ぶと直ちに信号が送られ始めるがここで首席参謀から声が掛かる。


「司令官、後方の艦隊は敵です、直ちに反撃を!」


「馬鹿な! 後ろから敵が来る筈があるまい!」


 問答をしている内にも攻撃は激しさを増し味方の被害は甚大になっていく。


「樅、爆沈! 欅、航行不能!戦列より脱落、柿、炎上中!」


 青葉の後方に占位していた古鷹は青葉を庇う様に動き反撃しようとしていた。そこにも敵の砲撃が加えられ、古鷹の艦上に爆炎が上がる。


「馬鹿な! こんな馬鹿なことが…」


 司令官の呟きは喧騒の中で誰にも聞こえることはなかった。


>>>>>>


「敵艦隊の後衛は壊滅しつつあります」


 見張り員の報告にバークは頷き、新たな指令を出す。


「これより単縦陣で敵艦隊を蹂躙する。各艦に通達、{我、敵中に全開フルスロットルにて突撃を開始す、我に続け}」


 旗艦チャールズ・オースバーンを先頭に5隻の駆逐艦は一直線に切り込んでいく、ある駆逐艦上では「前と後ろ以外は全部敵だ! 撃って撃って撃ちまくれ!」と叫ぶものもいた。


 なすすべもなく古鷹はハチの巣のようになり、青葉も艦橋周りを完全に破壊された。


 戦闘指揮所も被弾して司令部は全滅し、前衛部隊は壊滅的打撃を受ける。


 第八艦隊の初戦は大敗に始まった。




※この海戦後バークは全開フルスロットルバークと呼ばれることとなった。

御意見・感想ありがとうございます。



ブックマーク・評価の方もしていただき感謝です。



あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…



読んでいただくと励みになります。




※投稿と感想返しが遅れております、申し訳ございません。





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