168話 後方でのあれこれ
※しばらく主人公が空気だったので出してみました。
活動報告に載せてますが消えたかと思ったのですが残っていて良かった。
短めですいません。
お断り 昨今小説家になろうにて無断転載される事例が発生しております。
其の為此処にてお断りしておきます。
この作品は 私ソルトが書いたもので小説家になろうにのみ投稿しアルファポリス・ツギクルにリンクが張ってある以外は無断転載になります。
ハワイ沖海戦が行われている頃 日本本土 戦略情報本部
ここには衛星通信を使って前線での戦いの情報が逐一入ってきていた。ここの役割は入って来た情報を前線部隊に整理して伝える事、各部隊が情報漏れにならない為のサポート業務が中心である。現在進行中の作戦に対しての口出しは原則禁止されている。それは連合艦隊司令長官が前線にある為こちらが口出しすると統帥に問題が生じるためと説明されている。
「ハワイ上陸部隊は良くやっているようですな、ほぼ事前の作戦通りに進んでおります、全島の制圧も時間の問題ですな」
「第三艦隊と第四艦隊は敵機動部隊と接敵したようです、これで事前に検討されていた作戦が使えますな、たしか……」
「連携攻撃ですよ」
「ああ、それですよ、図上演習では交互に攻撃隊を繰り出して敵艦隊を殲滅しましたがそれを実現しそうですな、所長」
参謀に問われた初老の男は僅かに口を歪めると答えた。
「だが、敵も一筋縄では行きませんよ、ハルゼーは猛将のイメージはありますが狭量な人物ではありません、部下の言にも耳を傾ける器量がある、そしてあの艦隊には智将が付いている」
「それは一体?」
「レイモンド・スプルーアンス、一巡洋艦部隊指揮官に過ぎないが彼は冷静に状況の分析が出来る男だ、伊藤君は大使館勤務の時に顔見知りだったから知っているだろう?」
「そうですね、彼ならこの状況を分析し献策をしていると思います」
所長と呼ばれた男の傍にいた別の参謀、伊藤整一少将が答える。彼はアメリカ駐在武官時代にスプルーアンスと知り合い友人としての付き合いがあった、その眼は複雑な思いを込めているのか
複雑な彩が見えた。
「問題は第二艦隊ですな、キンメル直率の艦隊は戦艦九隻を従える大艦隊です。比してこちらは大和・武蔵が居るとはいえ全部で六隻、厳しい戦いになるのでは?」
「砲戦で正面から戦えばそうなるかも知れませんがそうならないように手当はしてあります」
「噴進弾ですね」
伊藤が所長に尋ねると所長は頷いた。
「欧州でビスマルクを相手に使用し、その事を秘匿していたのは此の為だったのですね」
「そうだ、まだ試作品だったあれを使うには実戦でのテストが必要だった。ビスマルクは丁度良い獲物だったよ」
「では完全にアウトレンジからの攻撃で片が付くと」
「それは難しいだろうな、新型の誘導装置が間に合ったとは言えまだ命中精度は途上にある。それにまだ数が揃わず一回こっきりの使用分しか積んでいない。今回は飽和攻撃による力づくで沈めようと言うんだ、精々一隻か二隻沈められれば上出来だろうな。最終的には砲戦で勝負をつけるか、我が方の機動部隊が取って返して支援するかになるんじゃないかな」
そう言って所長と呼ばれた男は話を締めくくるのであった。
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戦略情報本部を出て総研の本部に移動する。
衛星通信のお陰で情報が前線部隊に届かないという事は無くなった。それは良いことなのだが向こうに連合艦隊司令長官が居るのにその頭越しに命令しようとする奴が居たので戦略情報本部を出禁にしてやった。青くなったり赤くなったりしてたけど知らんよ。奴が後で統帥本部長や防衛大臣に怒られるのは必至だな。陛下の耳に入ったらもっと大変なことになるのでそこまでは行って欲しくないな、後で鈴木侍従長から愚痴を聞かされるからだ。
あれから報告があり噴進弾攻撃によりアリゾナと他一隻戦艦を撃沈したと報告が入った。これで7対6になってこちらが有利になったな。機動部隊の方はハルゼーはこちらが二部隊いると知った途端ハワイ本島に逃げをうった、これはまさしくスプルーアンスの献策だな。
尤も逃げ切れる物ではない。戦闘機は新型に機種転換しているし、攻撃機には対艦噴進弾を持たせているんだ。第四艦隊の搭乗員の錬度が怪しいがそれを補う位のアドバンテージはあるはずだ。
さて、本郷中将が満州から帰って来るそうだから出迎えの準備をしておくか。なんか重大な話があるようだがソ連でも攻めて来るのかな?欧州であれだけやられていて来るなんて自殺行為そのものなんだから来ないと思うけどな。
そういえば本田宗一郎が見せたい物があると言っていたがなんだろうな?電話ではいやに自信満々だったが、急にF1にでも目覚めたか? まあそれは無いと思うけどな。
本郷中将が帰ってきたらついでに一緒に見に行こう。まさか二足歩行の機械に目覚めたなんて言わないよな?
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あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…
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