158話 ハワイ沖海戦その1
※6/1修正しました
お断り 昨今小説家になろうにて無断転載される事例が発生しております。
其の為此処にてお断りしておきます。
この作品は 私ソルトが書いたもので小説家になろうにのみ投稿しアルファポリス・ツギクルにリンクが張ってある以外は無断転載になります。
重巡洋艦 ノーザンプトン
索敵結果を受けて5隻の空母より攻撃隊が発進して行く。
艦橋から双眼鏡を使って確認していたスプルーアンスは傍らの参謀に質問する。
「索敵機からの報告は全てあったのか?」
「最後に発進した6番機からの応答が無いようです、敵発見を報じた偵察機は落とされたのかあれから通信もありません、それ以外の機体は発見できぬまま帰還しているとの連絡がありました」
「……」
「どうかされましたか?」
「ハルゼー司令に意見具申する、準備急げ!」
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「では、レイは応答の無い6番機の方向にもう一度索敵を掛けろと言うのか?」
隊内電話でウイリアム・ハルゼーはレイモンド・スプルーアンスの意見具申を受けていた。
「はい、無線機の故障はこの期に及んで無い筈です、敵に遭遇したものと考えた方が良いかと」
「うーむ、だが今は2次攻撃隊の準備中だからな……いやお前が気になるというのなら出そう」
スプルーアンスの進言を受けてハルゼーが偵察機の準備を命じるとハルゼーの首席参謀が疑問を呈す。
「閣下はスプルーアンスを高く買って居られるが今回の事は単なる無線の故障なのでは?」
「解っておらんな貴官は、彼はその事も考察しての上での進言なのだ。我が艦隊におけるリスクを考えて最善の手を打つことが出来る男だ」
「はっ、失礼いたしました」
「良い、偵察隊には敵が居る物として当たれと伝えろ」
「Yes,sir」
こうして2次攻撃隊が発艦する前に今度は戦闘機2機による偵察が出されたのであった。
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先程発見された日本艦隊は臨戦態勢が整えられていた。
「艦載機の発進状況は予定通りです、制空隊は揃いますな、ですが攻撃隊の方は期待せんでください、元々少ないんですから」
「解っとるよ、そいつは本隊に任せる」
旗艦の艦橋から見下ろす飛行甲板に乗った機体がカタパルトの力を借りて発艦していた。
「偵察機より敵の機動部隊の位置が判明しました」
「攻撃隊を向かわせろ、護衛機をちゃんとつけろよ、途中敵編隊と出会ってもこちらから仕掛けるなと言え、守りは制空隊に任せろってな」
「はっ!」
艦隊旗艦たる空母隼鷹からの指令を受けて上空に居た攻撃隊は敵がいる方向へ翼を翻し飛んで行った。
空母隼鷹を旗艦とする第4艦隊は基本的には戦時急造艦で構成されている。
主力たる6隻の空母は本来は戦時標準船超TL型タンカーを原型にして作られた船で、ブロック工法と溶接を多用して作られ工期が僅か6か月~8か月で竣工したという船である。
A型から始まる戦時標準船は戦時に増大する海上輸送に対応するべく生まれた船で、その中の最大の大きさが超TL型である。
超TL型戦時標準船改造艦 隼鷹
基準排水量 26550トン
全長 260メートル
全幅 34メートル
機関 艦船用ガスタービン4基2軸55000馬力
カタパルト用蒸気ボイラー1基(カタパルト駆動用他使用)
最大速力 25ノット
航続距離 9000カイリ 15ノット
飛行甲板 245メートル×33メートル
エレベーター2基(内1基舷側)
武装 武式20ミリ高性能機関砲 4基
武式12.7mm連装機関砲 8基
短距離対空噴進弾発射機6連装8基
搭載機 最大搭載数55(補用10)機
同級艦 飛鷹 大鷹 雲鷹 神鷹 海鷹
艦橋や煙突の配置が正規空母と同じなので遠目に見れば同じに見える。これは敵に誤認させるためにわざとしており敵方の混乱を誘うためである。速力は遅いが蒸気カタパルトを装備しているため発艦に支障はなかった。
瑞鶴より搭載機数は少ないが元々がタンカーであったため航続距離が長く防御力に力を入れているので非常に使い勝手の良い艦であった為戦後タンカーに戻す予定であったがそのまま空母として他国に払い下げられたほどである。
「電探に反応! 敵攻撃隊です」
「方位と距離を制空隊に知らせてやれ、防空戦闘開始、各艦近接防御戦」
上空に待機していた戦闘機隊が弾ける様に加速して戦場に向かう。
ハワイ沖海戦はこうして航空機の交戦から始まった。
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「敵機上空より被せて来ます!」
「畜生! 全機散開! ダイブしてかわせ!」
空母エンタープライズの戦闘機隊長を務めるクレランス・マクラスキー大尉はあと少しで敵艦隊に着く所で迎撃を受け舌打ちをしたい気持ちであった。
彼等は優先的に新型機F6Fを配備してもらい十分な慣熟訓練を受けている。
なのに相手の戦闘機は彼等を簡単に蹴散らした。先手を打たれ優位な位置を取られていたとしても新型機なら覆せると思っていたマクラスキーは衝撃を受ける。
(何としても食らい付き攻撃隊を敵の懐に送り届けないと)
マクラスキー大尉は部下を叱咤しつつ敵戦闘機を引き付けある程度の攻撃隊を通すのに成功したのであった。
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