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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
3章 昭和編
175/231

157話 暁の上陸

お断り 昨今小説家になろうにて無断転載される事例が発生しております。



其の為此処にてお断りしておきます。



この作品は 私ソルトが書いたもので小説家になろうにのみ投稿しアルファポリス・ツギクルにリンクが張ってある以外は無断転載になります。






 ハワイ準州 オアフ島 ワイメアビーチ


 時間は少し遡る。上陸して現地工作員と接触に成功した酒巻少尉は持っていた信号器のボタンを押す。信号器はケーブルを伝って少尉の背負っていた背嚢バックパックの本体より信号を送り出し其れを受信した連中は浮上するのであった。


 ビーチの沖に黒い影が次々と浮上してくる。


「あれが輸送潜水艦〇輸か……」

 

 警官姿の現地工作員が呆けたような声で尋ねる。話には聞いていたが此処までの代物とは思って居なかったのだ。


「少し前まではユ号潜水艦だったんだがな、この間……観艦式の前に艦船の命名基準が変わってな、潜水艦にも今までの記号と番号のみから艦名が付く様になったんだよ。ユ号には港の名前が付けられるようになったんだ」


 酒巻少尉が少し肩を竦める様にして話す。何処かしら自慢げなのは相手が知らなかった事を教えられるからなのだろう。


 ユ10000(敦賀)は微速前進しながら上陸地点に進んでいった。余り近づきすぎると着底してしまい動けなくなってしまうからだ。


「熱田と舞鶴上陸地点に到達前面ハッチ開きます、八幡浜と博多浮上しました。本艦も上陸地点まで5メートル・3メートル、微速後進・1メートル・両舷停止」


 ギリギリまで艦を寄せると小型のエアクッション艇を繰り出して兵員を上陸させ始める。


「やっと外の空気が吸えますな」


「流石はハワイだな、単冠湾で乗り込むときのあの寒さはなんだって言うんだろうな、正に常春とは言ったものだ」


 艇上ではそのような会話が飛び交い之から戦場に向うとは思えない笑い声さえする。


 ユ号潜水艦改め敦賀型輸送潜水艦は引っ張っていた運貨筒をビーチにのし上げていた。地上に降り立った兵たちは其処から武器を引っ張り出して行く。


「準備の整った班から集合しろ、あしのほうはどうか?」


 部隊長が尋ねると現地工作員が部隊長を案内する。


「これでどうです?」


「こいつは……米軍の兵員輸送トラック?」


「のモドキです。知ってました?あのトラックはメーカーこそアメリカのものですが中身は日本のいすゞのなんですよ、民生用で売ってたいすゞのトラックを其れっぽく塗ると夜だったらわかりませんよ」


 部隊長は其の内実に呆れ、手回しの良い工作員に感心するやらであったが兵員を乗り込ませて次の目的地に向かう事にした。


 トラックは列を作り進んでいくと途中に検問があった。トラックの先導役を務める警察車両がその前に止まり検問の兵士に話しかける。


「いつもご苦労さんだね」


「そっちこそこの行列は何だい? ピクニックは早いんじゃないか?」


「お偉いさんの事情でな昨日来たばかりの部隊を基地に案内せよだとさ、迷子になったら困るからだろう。これが命令書な」


「おいおい、警察も暇じゃないんだろう? ビーチに逃げ込んだ強盗は捕まったのか?」


「いまも封鎖線を引いて探してるよ、それなのに急な割込み仕事でな。まあラジオでやってたが戦争なんだろ? この急な移動もそうなんじゃないか?」


「一介の兵隊に判るかよ、深くは詮索せぬことだ」


「違いねえ、さっさと送って捜査に戻るかね、通るぜ」


「ああ、気を付けろよ、特に交通事故にはな、後ろの奴らの事だぞ」


「分かってるよ、安全運転で行くよ」


 彼らは日々顔を合わせる者たちであり検問の兵士たちも後ろの連中の正体に気づくことは無かった。

 

 そのまま進んだ彼らはオアフ島中央部にあるホイラー飛行場に到着した。車列はホイラー飛行場に着く前に停車し乗り込んでいた兵たちは降車して布陣した。


「後は合図を待つだけだ」


>>>>>>>>


 オアフ島北端部 オパナ


 ここには移動式のレーダーステーションが設置されており当番兵のジョーゼフとジョージの二等兵が操作していた。


 いきなりレーダーの表示が消え、照明が全て落ちる。


「故障か? 外に……」


 声を上げようとしたジョージは開けられたドアから銃を向けた兵が現れたのを見て固まった。


 島内にはこれと同じ施設が全部で6カ所あったが全て同じように抑えられたのであった。


「レーダーは全て潰した、問題は無い・繰り返す、問題は無い」


 電話でこの報告を受けていた現地工作員は傍にいる酒巻少尉に「問題は排除したそうだぞ」と告げた。


「では第2弾だな」


 酒巻少尉が発信器を作動させると先程敦賀型(ユ号)潜水艦が没した海面から今度は別の船体が浮き上がって来た。明けて来る空の下に黒々としたその船体のハッチから兵員が出てきて作業を始める。


「格納筒扉開け!」 「機体押し出せ!」


 押し出された機体はレールを伝って甲板上を進み発進甲板まで進む。


「武装取り付け急げ!」 「コンプレッサー繋げ、電源ケーブルは?」 「接続完了!」 「始動!」

「コンターック!」


 川崎製のターボシャフトエンジンに火が入りローターが回りだす。


「あれが潜水母艦か……」


「ああ、朝潮(イ400)型潜水艦だ。3機の攻撃型回転翼機を搭載する潜水艦だよ。それと潜水母艦ではなくて強襲攻撃型潜水艦というのが正しい名称だ」


 朝焼けの中、8隻から飛び立った24機の攻撃ヘリは目標へ向かっていく。


 その事にこの島の米軍はまだ気が付かないのであった。





ご意見・感想ありがとうございます。


ブックマーク・評価の方もしていただき感謝です。


あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…


読んでいただくと励みになります。



※感想返しが遅れております、申し訳ございません。


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