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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
3章 昭和編
168/231

151話 出師準備

お断り 昨今小説家になろうにて無断転載される事例が発生しております。


其の為此処にてお断りしておきます。


この作品は 私ソルトが書いたもので小説家になろうにのみ投稿しアルファポリス・ツギクルにリンクが張ってある以外は無断転載になります。










 連合艦隊旗艦 斐伊


 大神から回航されてきた新旗艦に連合艦隊司令部は直ちに移り将旗を掲げた。


 島根県を流れる斐伊川から名付けられた此の艦は夕張で蓄積されたデータを元に作られた戦闘指揮艦である。


 司令長官の木村は艦長の牟田口格郎大佐から説明を受けていた。


「斐伊型は阿賀野・大淀型と準同級艦になります。同型の船体に異なる兵装を与える事により費用節約・工期短縮に繋げているのです」


 前級である5500トン級から艦体を大型化した8800トン級と呼ばれるシリーズであり水雷戦隊旗艦として用意された阿賀野型、潜水艦隊旗艦としての大淀型、そして連合艦隊旗艦を勤める斐伊型である。


 斐伊型一番艦 斐伊


基準排水量  8800トン

満載排水量 10080トン

全長      195メートル

全幅      17.7メートル

機関     RR=川崎ガスタービン機関110000hp複合推進(COGAG)

最大速力   36.8ノット

航続距離   16ノットで7000海里


兵装  日本製鋼製 54口径12.7糎単装速射砲2基

    武式高性能機関砲4基

    艦対艦誘導噴進弾発射機4連装2基

    対潜誘導弾アスロック発射機8連装1基

    艦載機 VS527{翡翠Ⅱ}×2


同型艦 高梁

 

「此の艦の最大の特徴は艦隊指揮に特化している事です。司令部施設の充実と通信能力の強化を行っており複数の通信機能を備えています。そして衛星通信機も搭載しております」


「衛星通信! もう実用化されたのか?」


 情報参謀の実松少佐が驚く、N-1ロケットが人工衛星を打ち上げるのに成功したのはつい最近の話であった。其処からの展開の速さに驚いたのであった。


「成る程、これなら通信が拾えない、伝わらないは起こらないな」


「それは凄い、この艦こそ連合艦隊旗艦に相応しい」


 参謀たちも興奮している。


 そして木村もこの艦に手応えを感じていた。


(所長、貴方の心遣い受けさせていただきます)


 雲ひとつ無い晴天の下、集結した艦隊は輝いていた。


>>>>>>>>>>>>>


 同日ハワイ アメリカ合衆国太平洋艦隊司令部


 この地に着任したハズバンド・キンメル大将は先任のジェイムズ・リチャードソン大将がルーズベルトが命じた太平洋艦隊をハワイに常駐させる事に反対して解任された後に先任者を飛び越して太平洋艦隊司令長官に就任した。そして命令に従い太平洋艦隊と共にハワイに着いたのだ。


「日本の連合艦隊司令長官も交代したらしいな」


「そのようですな、何でも近衛首相の出兵論に反対し更迭されたとの情報もあります」


「後任のキムラという提督は? ヤマモトやコガ・コンドウなどは聞いた事があるが」


「水雷畑一筋の勤務ですね、欧州では難民輸送作戦の指揮官に抜擢されて民間人の犠牲を全く出さずに救出に貢献しました。其の後のダンケルク攻防戦終盤に同盟軍の反攻をカムフラージュする為に行ったヴィルヘルムスハーフェン軍港への強襲作戦でも指揮を執っています。典型的な指揮官先頭で突っ込むタイプですな」


「成る程そういう指揮官ならば中央のコントロールを受けやすいか」


「それに先ほど挙げたコガやコンドウ・オザワ等はヤマモトと親しいので外されたのだと思われます」


「そうか、かの提督がその様な人物であれば遣り易いのだがな」


 副官の報告にキンメルは安堵したように見えた、かれも本国を遠く離れ、防備も薄いハワイに艦隊が駐留するのは内心では反対していたのであった。


「そう悲観する事も無い、のこのこ来たら返り討ちにしてくれる」


 そう豪快に言い切るのはキンメルのアメリカ海軍兵学校アナポリス同期であるウイリアム・ハルゼーであった。彼は空母を中心とする第二空母戦隊の司令官である。


「貴官がそう言ってくれると頼もしいな。あてにしている」


「そうしてくれ」


 豪快に笑う僚友に頼もしさを感じるキンメルであった。


 >>>>>>>>>>>


 同日 ワシントンDC


「レイ、連合艦隊司令長官のキムラ提督についてどう思うね?」


「彼は士官学校の卒業席次は下から数えた方が早いと聞いています。ですが決して油断の出来ない人物だと思います」


「情報課勤務時代に君は日本大使館付きの海軍武官と親しくしていたと聞く。其の時に名前が出ていたのかね?」


「いえ、彼は恐らく日本海軍では無名の存在です。平時であれば大佐で予備役になるくらいのキャリアの筈です、ですが欧州での戦争が彼を軍に留めた。腕利きの船乗りですよ」


「そうだな、だが名艦長が名提督というわけでもあるまい。確かに欧州では戦果は挙げてはいるが、数ある艦隊を統率する連合艦隊司令長官の器とは思えんが」


「ですが、彼は選ばれた。であるならば我々の伺い知れぬ物を持っているのでしょう。人を束ねる人徳と統率、人間的な魅力。彼の為ならば身を粉にして働くという者が多いのでしょう。そしておそらくは幸運ラッキースターの持ち主なのかも知れませんな」


 「君が其処まで言わせるのだ、この人事は唯の辻褄合わせでも操り人形を置くものでは無い様だな」


 キンメルが太平洋艦隊司令官になる前にフランク・ノックス海軍長官に其の職を打診されたが若年を理由に辞退したチェスター・ニミッツは太平洋艦隊第5巡洋艦戦隊司令官に就任して任地に向かうレイモンド・スプルーアンスの人物評定を是とした。任地に向うスプルーアンスを見送ったニミッツはふと不吉な予感に囚われた。


「是非も無い、根拠も無い予感に惑わされるとはな」


 そう言って首を振り帰宅するのであった。



ご意見・感想ありがとうございます。

ブックマーク・評価の方もしていただき感謝です。

あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…

読んでいただくと励みになります。


※感想返しが遅れております、申し訳ございません。

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