138話 総括と本国の話
※今回は2話同時投稿です。
前話は幕間話で{軍艦撫子}話に繋がっております。
興味の無い方は戻らなくても本筋に影響はありません。
ドイツ軍はいい働きをしてくれた、前世だったらGJと言うべきだろう。グデーリアンとロンメルの組み合わせがポーランドとの国境に居たのはラッキーだったな。
ルーデルが大戦果を挙げてニュースでも取り上げられていたが今まで出てこなかったので居ないのかと思ってたよ。共産主義嫌いのルーデルがソ連と組んだナチス批判をして干されてしまい、最近まで教育隊で教官をしていたのを知ってダンケルクで出てこなくて良かったと胸を撫で下ろしたね。
あの戦いで同盟軍もそこそこの損害で済んでいたのが大損害を蒙るところだったのかも知れん。やはりヒトラーが居なかったのが影響しているのだろう。
ソ連はやはりT34を出して来たが整備十分なパンターやティーガーの敵ではなかったな。撃破したものや降伏して鹵獲した物を調査したところ粗製乱造と言っても良い出来の物が多くあり、酷いのになると装甲の継ぎ目に隙間が出来て中から外が見える物まであったという事だった。
とにかく数を揃えて物量で押してくる戦術は変わっていないようだったな。
ドイツ軍の活躍が目立っているがポーランド軍も地味ながらちゃんとソ連軍を撃退しているし、フィンランドは得意の待ち伏せ戦術でソ連軍に多大な損害を与え続けている。
微妙だったのはイタリアが派遣してきた第10軍でやる気は凄かったそうだがソ連軍の攻勢に総崩れになる脆さだったそうだ。本郷中将が危惧して用意した日本の第三軍から抽出した混成師団が付いて居なければ大敗していた所だ。師団のお陰でソ連軍が引いたため辛うじて全滅は免れた所で後方に下げられた。今後は側面での陽動などで使うという事になったという。
やはりイタリアはその辺は安定したキャラなんだなと思ったよ。
宣戦布告した国の中にロシア共和国が無いのはロシア共和国建国以来、ソ連とは交戦状態が続いていてずっと暫定国境線上で睨みあいをしているからである。その為にドイツ戦では軍を派遣できずエカテリーナの率いる義勇空軍部隊が派遣されたのである。彼女の活躍するニュースを見てロシア本国だけで無くイギリスや日本でもファンが出来、超有名人になった。
チャーチル首相が彼女の参戦を{ロシア軍の1個師団の参戦にも勝る}と言う発言もあってロシアは大いに面目を施し、ソ連はその参戦を激しく非難して彼女に賞金を掛ける騒動も起きるほどだった。
その活躍ぶりを話す本郷中将の惚気ぶりを見てこいつそんな親バカだったのかと引いたのは内緒だ。
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本国での話も入って来た。
衝突が起きた遼東半島での満州軍との戦いだが鎧袖一触で日本軍が蹴散らした。米国製の最新の武器を手にしていたが相変わらずの弱さである。ハルハ川から進化していないようだ。満州国の執政溥儀は怒りの余りその辺の物を投げまくって暴れたそうである。
その後は米国が出てくるかと思ったが直ぐには動きは無かった。それというのも満州で見つかった油田の採掘権を満州国が取り上げようとしていたのでその権利をイスラエル系の企業に売却させていたためにイスラエルがアメリカでロビー活動を行って米政府が満州に干渉しにくくしていたのが大きかったようだ。満州で石油を掘っていた出光たちは今度はイランに行って石油を採掘することになり日章丸は忙しく中東と日本の間を往復している。
最も国連の決議に反発する米国が暴発する危険は続くだろうからそろそろ俺も日本へ帰る必要があるだろう。本郷中将の話では第三軍の一部が交代の為に帰還するのでそれに便乗することになりそうだ。
それと紀元二千六百年特別観艦式で平出少将がやらかしたらしい、金剛を故障と偽って横須賀に新設した秘匿船渠に入れて舷側に{軍艦撫子}の痛い絵を描かせたと言う。
なんで止めなかったのかと思ったら、総研の関係者である平出少将の命令だからと関係者が{忖度}して秘密指令扱いで作業したと言う。もうね何というか呆れて物が言えないよ。前世でも官僚は何かと権力に対して{忖度}するところは見ていたがこの世界でも安定の仕様だったよ。
お目付け役の東機関の連中が欧州の大戦で出払っていたのが響いたな。陛下の御蔭で問題にならずに済んだので感謝だ。鈴木侍従長からは{寿命が10年は縮んだ}と恨み言で綴られた電報が届いたけどね。
いや、なんで俺が文句言われにゃならんのだ! とむくれたよ。
平出少将は表向きは処罰は無しだそうだ。陛下が褒めたので出来なくなったらしい。もし処罰することになったら海軍の上層部は全員辞任しなくてはならなくなるだろうからな。
仕方ないので欧州から帰ったら何か罰を与えなくてはなるまいな。密かに!
本郷中将が笑い転げていたのがひたすらに腹立たしい!
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あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…
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