136話 戦闘再開と新たな戦力
遅れてすいません
ソビエト連邦 モスクワ
「同志書記長、軍の再編は終了しました。既にポーランド、フィンランド国境に集結しつつあります。
対してポーランド軍はドイツとの国境に兵力を集めておりますしフィンランドも日本軍がドイツ攻撃に出ているためフィンランド軍のみとなっております」
「そうか、今回は前回を上回る戦力を用意したのだから大丈夫だな」
「はい、今回は兵器も強力な物を投入しております」
「それに前線には党への忠誠心の低い者だけを集めた懲罰部隊を配置しております。奴らが敵の前線を磨り減らしてくれるでしょう、自らの命でね」
「素晴らしい、諸君の党への忠誠と努力によって我が国は勝利するであろう!」
久々に上機嫌なスターリン書記長の姿があった。
幕僚たちが引き上げた後、スターリンは傍に控えるベリヤに話しかけた。
「モロトフが良い仕事をしてくれたお陰で兵力の補充も出来た。後は軍の指揮官どものやる気だな」
「同志書記長、其の辺は抜かりなくしております、優秀な政治委員を配置済みです」
「よろしい、すぐに作戦を開始させよう、それとあちらの方は準備は進んでいるかね?」
「はい、現在輸送中であります、西部の準備が終わりましたのでこれからはもっと増やせるかと」
「我々に援助してくれた恩を返さねばならんからな、しっかり頼むぞ」
「はい、同志書記長! 急がせます」
こうして第二次対ソ戦が始まるのであった。準備の出来たソ連軍が侵攻を始めたのは、ドイツと同盟軍が講和の為に停戦してから2週間が経っていた。
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ソビエト、ポーランド暫定停戦ライン ポーランド側
「隊長、ソ連軍に動きが見られます、停戦非武装中立ライン内に侵入を確認、ソ連側の通信も傍受しました。突撃を意味する言葉が飛び交っています」
「ついに始まったか! 全部隊に事前の打ち合わせ通りに防御陣地まで引かせろ、其処までの戦闘は硬く禁じる!」
「了解! 連絡します」
ポーランド軍は防御陣地に引き上げ戦闘準備を進めた。地雷原をセットし砲撃準備を進め待ち構える。
「なあ・やっぱり」
「あん? 何だ?」
陣地で銃を構えていた兵士が隣の兵士に尋ねた。
「ソ連の奴らこっちだけでなくあっちのほうにも行ってるんだよな」
「まあ、あいつ等の事だからな、行かないほうがおかしいだろ、それにレニングラードって要地を獲られてるんだから」
その兵士の言うとおり同日にフィンランドの方にもソ連は侵攻を始めていた。
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フィンランド側非武装中立地帯傍 フィンランド軍パトロール小隊
「ソ連軍の侵攻を確認、直ちに防御陣地に引き上げます」
通信士が携帯無線機で本部に連絡した時、上空で爆音が聞こえた。
「チッ! もう戦闘機が飛んできてやがる」
「こっちを狙ってきているぞ、物陰に隠れろ」
「機関銃手は対空射撃用意!」
地上に向って降下して来るのは、ソ連空軍が投入した新型のYak7である。
液冷エンジンを搭載したスマートな機体に20ミリ機関砲を搭載したこの機体は本来練習機であったが操縦性能が優れていた為急遽戦闘機に改造された機体だったのだがその期待に応えるだけの性能を持っていた。
その機関砲が火を噴く前に火線がyakに降り注ぎ火を噴いて落ちていく。
「友軍機です!」
一連射でソ連軍機を叩き落したフィンランド軍の機体が飛び去っていく。
その機影が見えなくなるまで小隊の兵は手を振っていたのであった。
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侵攻を開始したソ連軍の機甲部隊が動き出した。その中核を担うのが新型のT-34中戦車である。
「地雷原は処理されました。戦車を前進させよとの司令部からの命令です」
通信士が隊長に報告する。懲罰部隊を地雷原に進ませる事で地雷を取り除いたので前進するのに不安は無い。
「良し! 戦車前進せよ!」
命令の元唸りを上げて戦車が動き出す。
「敵陣まで後約3千メートルです」
その報告を受けていると前方に発砲の光が煌めいた。
「BTと一緒にするなよ、T-34の装甲を!」
そう言った直後に砲弾が到着し戦車の前面に着弾する。
正面の装甲に命中した砲弾は弾かれることなくその装甲を突き破った。
「命中した味方戦車擱座!」
「馬鹿な!そんな馬鹿な! タイプ35の砲なら防げるはずだ!」
指揮官のその叫びを聞いたわけではないが掩体壕から敵の戦車が姿を現し、その姿に指揮官は言葉を失うのであった。
「な・なんだ、あの戦車は? 日本やイギリスの戦車にあんなものは無かったはず……」
彼が見た戦車は恐ろしく長い砲身を持つ斜めに誂えた装甲を持つ戦車。
6号重戦車であった。
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