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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
3章 昭和編
144/231

131話 ソウルクラッシャー作戦4

※ 時系列的には前話と同じ所です、同時に進んでいる事象が多いのでこうなりました。


電波の発振>発信 修正しました

ダンケルク沖 日英合同艦隊 工作母艦明石


 日英両軍の戦艦による艦砲射撃が終了した、終了した理由は弾切れである。まあ補給しつつ昼夜交代で撃ちまくったからなあ。砲の破損は日本側は摂津のみ、英国側はラリミーズとロイヤル・サブリンが破損させた。摂津とラリミーズは砲身のみだったので交換できたんだが正直交換までして撃つ必要有ったのだろうか?司令部からどうしてもというから準備はしたけどさ、波が強かったら二次災害になったろう、ロイヤル・サブリンは破損した砲の爆炎が砲塔内に入り砲塔内の他の弾薬に誘爆して危うく爆沈する所だった。注意を促していたため監視していたダメコン担当の運用長が弾庫に注水したので被害が少なくて済んだのだ、それでも残りの砲は弾を撃ち尽くすまで撃ちまくった。猪口大佐の指示が的確だということで途中から全部隊の砲撃指揮を執らせたのもよかったのかもな、彼には『砲撃の神様』と仇名がついたよ。


 弾切れもだが砲身命数が来たのも終了の理由だ。徹甲弾ではなかったので命数が来るのは遅かったが1門につき300発も撃てば来るよな、どんだけ撃ち込んだと言いたいよ。一緒に来ていた大阪金属ダイキンの技術者も顔を引き攣らせていた。まさかあれだけ必死に作った弾を只の一会戦で使い切るとは思わなかったのだろう。


「戦艦部隊は英本土に帰還し砲の内筒交換に入るそうです、明石以下工作艦もお手伝いを命じられました」


 鶴岡大佐が教えてくれる、これだけの戦艦が一度に帰ってきては工廠や造船所も満杯に成ってしまうからな。


「所長にはイギリス本土に着きましたらロンドンへ来るようにと別命が入っております」


 本郷中将の差し金だな、そういえばどこで何をしているのやら、きっと又裏で何かやっているんだろうなあ、非常に気になるが知る術は無いし久しぶりのロンドンを楽しむとしよう。


>>>>>>>>>


ダンケルク 


「これで任務も終了ね、次は……」


 エカテリーナは特設飛行場に立ち上空で翼を振って引き上げて行く司令部偵察機を見送りながら呟く、其処にタイミング良くイリーナ少尉がやって来る。


「隊長、司令部から次の任務がありました、橋の爆撃に向かう空軍の護衛任務です」


「了解……あれね」


 彼女の目に編隊を整えて飛来する爆撃機の姿が見えた。


 イリーナが補足する。


「日本空軍戦略爆撃隊、通称{迅雷部隊}ですわ」


「ずいぶん個性的な部隊のようね」


 着陸態勢に入っている機体を見ながらエカテリーナが呟く。


 その機体には{爆撃上等!}や{南無八幡大菩薩}などの文字がペイントされていたのであった。


>>>>>>>>


「野郎共聞け! おいらたちの攻撃目標は撤退するドイツ軍の退路を断つためにライン川に掛かる橋梁の破壊だ、だがその前にもうすぐイ号高地の上を通過する、高地を守るために玉砕した守備隊はおいら達の親分の兄上の部隊だ! 勇敢なる戦士たちに敬礼!」


 副隊長の訓示に一斉に敬礼をする隊員たち、指揮官席に座った野中五郎大尉も敬礼をする。


「すまねえな、みんな」


「いえ、隊長のお気持ちを思うと……」


「戦争で個人の恨みつらみをぶつけるのは間違ってる…だが今はドイツを叩く、それだけだ」


「分かっております、弔い合戦という事でいいじゃないですか」


 エンジン音の響く中上部見張り員から報告が入る。


「上空に機体見ゆ、友軍の機体…護衛機です」


 彼らの乗る爆撃機三十九式重爆撃機の上空に現れたのはエカテリーナが率いる義勇ロシア空軍部隊であった。


 三十九式重爆撃機 (設計中島飛行機)


全長 21.6m


全幅 32.6m


全高 5.9m


爆弾搭載量 5800キロ


エンジン ホンダRA183T (排気タービン搭載型2600馬力×4)


武装 武式20ミリ連装機関砲×2 同12.7mm連装×4


最高速度 568キロ(高度8200m)


「隊長! 護衛はあの{薔薇の女王様とその騎士団}ですぜ」


 見張りが報告すると歓声が上がり皆が見上げていた。彼女達はその目立つ振る舞いと確実に味方を援護する事が友軍に知れ渡っており彼女達の姿を見ると死なない、等一種の幸運の女神呼ばわりされていた。


「幸先がいいな、今回はお初の武器を使うんだからな、運も味方にすれば頼もしい」


「全くで、こんな物よく思いつきますよね、いったい誰が考えたんでしょうね?」


「さあなあ、俺たち爆撃隊は爆弾を運んで落とす、其れがお仕事だ」


「ダンケルクより40キロ地点通過中、下は……凄い有様です」


「艦砲射撃の跡か……凄まじいな」


 爆撃機から見える地表は丁度艦砲射撃の猛威が振るわれた場所であった。主に後方の物資や弾薬の集積地を狙った砲撃はそれらをすべて吹き飛ばしその残骸が未だ燻っている荒地に変わっていた。本来の16インチ砲の最大射程は40キロも飛ばないが新型砲弾は射程を延ばす工夫がしてあり、飛ばすだけなら100キロでも飛ばす事ができたのだ。日英軍は確実にドイツ軍を仕留めるために主力部隊とその後方部隊が艦砲射撃の射程内に入るまで防御に徹していたのだった。


「針路そのままで進め、電測士は電波の発信に注意しろ」


 爆撃隊とその護衛たちはライン川に向けて飛行を続けるのであった。


>>>>>>>>>>


「電波感あり、イ号波・ロ号波共に感度良好、誘導装置感知基準に達しています」


「良し! {桜}に火を入れる、僚機にも伝えろ」


 命令を受けて爆撃士は胴体の爆弾槽に入りきらずにお腹を晒している大型爆弾の電源スイッチを入れ、爆弾の機構が動きだす。


「誘導弾への電源回路接続、電圧正常誘導装置異常なし」


「誘導電波感度上昇、発射許可基準超えました」


「目標に向けて進路そのまま、射程距離内に入りました」


「良し! 零式誘導空対地噴進弾発射用意」


「発射体制に入ります!」


 零式誘導空対地噴進弾 (通称桜弾)


 電波誘導方式を採用した大型の誘導噴進弾である。目標地点に設置された複数・・の電波発信機の誘導を受けて目標へ到達する。誘導装置の開発が難航して『いっそ人間が操縦したほうが良いのではないか』と陰口を叩かれたりしたが、総研の手配したソニーや樫尾などの集積回路を使った誘導装置のお陰で実用化に漕ぎ着けたのであった。炸薬量は1.5トンだが誘導装置と噴進装置や燃料を含めると総重量は5トンを越え三十九式重爆ではギリギリの積載であった。


「発射始め」


「発射!」


 爆弾槽から切り離された噴進弾は僅かに滑空したその直後後部のロケットモーターに火が入り、白い尾を引きながら目標に向け驀進していった。



ご意見・感想ありがとうございます。

ブックマーク・評価の方もしていただき感謝です。

あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…

読んでいただくと励みになります。

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