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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
3章 昭和編
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123話 決戦!ダンケルク 2

7/1 修正 分隊長 志賀少佐>中隊長 志賀大尉 


     

「無念だ……此処で離脱する事になろうとは」


 ハインツ・グデーリアンの指揮する軍団は再編成を受ける為にライン川を渡りドイツ本国へ帰還していた。彼らは前哨戦で日英同盟軍と激戦を繰り広げていたが保有していた戦車650両中可動戦車70両まで討ち減らされていた。勿論それに見合った損害を日英軍に与えてはいたが、無念には違いない。


「我が軍の重戦車の意外な弱点を突かれるとはな」


 それは日本陸軍が主に取った戦術で陣地の一部に泥濘地たんぼを人工的に作り出し其処に重戦車を誘い込み動きが鈍った所を狙い撃ちにされたのであった。


「しかも奴らはまだ切り札を持っているような気がする、何かは判らんが嫌な感じがするな」


 対戦車噴進弾たいせんしゃミサイルは日英軍が使用に注意を払っていたので未だドイツ軍には知られていなかった。


「司令部は再編成が終わる頃にはダンケルクを落とすと息巻いていたがどうなるか……」


 流れていく景色を見ながら言い知れぬ不安を感じるのであった。


>>>>>>>>>


ダンケルク 日本陸軍防衛陣地


敵軍どいつぐん接近、戦闘用意! 戦車が突っ込んでくるぞ! 打ち合わせ通りにやれ」


「はっ! 各部隊は予定通りの行動をされたし」


 

 指令を通信士が各陣地に伝達して行き戦闘準備が整っていく、その上を中心から白・青・赤に塗られた蛇の目模様の国籍マークを付けた戦闘機が綺麗なダイヤモンド編隊を組んでフライパスしていく。


「あんまり見ない機体だな」


「ありゃあ義勇兵として参加しているロシア共和国の奴だ、尾翼に薔薇のマークがあるだろ、薔薇騎士団( ローザ・ルィツァールストヴォ)と言うそうだが驚くのは乗ってるパイロットだな、何でもあのニコライ2世の孫娘が隊長を務めてるんだ」


「へえー王族自ら戦場にか」


 いやに物識りな男の話を聞きながら聞き手はさては最近良く耳にする御宅オタクとはこいつの事なのではないかと考えたが戦闘準備の掛け声に我に返り作業に没頭するのであった。


 別の場所では……


「田圃には偽装網を張って置いたな?」


「はい、今度の奴は薄緑色なんでより周囲に溶け込んで戦車からは見えにくいでしょうな」


「だが工兵の手伝いがあったとはいえ良くあそこまで作れたな」


「何言われてるんですか兵の半数近くは農村出身なんですからね、慣れたもんです、それにトラクターや耕運機なんて便利な機械がありましたからね、牛を使うよりずいぶん楽で捗るって言ってましたよ」


 耕運機やトラクターなどもヤンマーがポーランドに工場を作っていたので簡単に手に入ったが、注文を受けたヤンマーの方はトラクターはともかく耕運機の使い道がわからず困惑する一幕があったのは余談である。


「こちらは少し寒冷なんで米は作れんでしょうが田植えがしたくなりますな」


 士官の相手をしている古参の軍曹も実は東北の農村出身だったのである。こうして地上ではドイツ軍を迎え撃つ準備は出来ていた。


 その上空を今度は日の丸をつけた戦闘機が編隊を組んで飛んでいた。この部隊は最近日本より到着した部隊で22戦隊と同じ四式戦闘機を装備している。


「志賀より各小隊長機へ、ダンケルク上空に到達した、我々の任務は制空権の確保にある、地上部隊が安心して戦えるようにするのが我々の役目だ、急降下爆撃機シュトゥーカに気をつけろ」


 台湾南部に基地を持つ第225戦隊の中隊長を務める志賀淑雄大尉は部下たちに注意を与える。


「「「「「了解」」」」」


「同高度左前方 敵急降下シュトゥーカの編隊! 数二十機以上!」


 西澤准尉が注意を促すと坂井准尉が追加情報を上げる。


「同方向上方に敵戦闘機数三十機以上!」


「西澤、坂井、太田の隊は戦闘機部隊に当たれ、追い散らすだけでいい、無理はするな、後は爆撃機を叩くぞ!」


 志賀中隊長の命令の元ホンダエンジンが唸りを上げて回転数を上げる。


 上空から戦闘が始まった。先制して襲い掛かった志賀たちによって爆撃隊は壊滅し、護衛の戦闘機は多大な被害を受けた。特に西澤や坂井と戦った部隊はことごとくが落とされる事になり地上部隊は上空からの妨害を気にしなくなり作戦は成功したのであった。


>>>>>>>>>


 グデーリアンに代わって攻撃の先鋒を務めているのはヘルマン・ホトの第10軍とフリードリヒ・パウルスの第6軍であった。彼らは競うように前進し激しい攻撃を仕掛けていたが日英軍はしぶとく陣地を守り前進を阻んだ。だがドイツ軍はじりじりと進み一つ、又一つ陣地を落としていった。


「じわじわと迫ってきてますな」


「あと少しの辛抱です、それまでは耐え抜きましょう」


 ダンケルクの欧州派遣軍の司令部ではその様な会話がなされていた。勿論彼らも其処に行き着くまでに更なる損害を覚悟してたので方針に変更は行われなかったのであった。



ご意見・感想ありがとうございます。

ブックマーク・評価の方もしていただき感謝です。

あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…

読んでいただくと励みになります。

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