121話 バトル・オブ・ベルリン
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武装 翼内 ボフォース20mm機関砲 ×4 > 翼内 武式20mm機関砲
ベルリン 首相官邸
「良くやってくれたリッペントロップ君、フランスと講和したことで我々は持てる戦力をイギリスやポーランド・日本に向ける事が出来る」
満足そうに頷くルドルフ・ヘス首相にゲッベルス宣伝相が合いの手を入れた。
「そうですな、これを国内向けに宣伝すれば我が国民も意気上がり更なる国と党への忠誠を示しましょう」
「ですがその時間はあまり長くはありません、ソ連が敗れましたからな、ポーランド側がうるさくなって来ますな」
リッペントロップがそう指摘するとゲッペルス宣伝相が吐き捨てるように言う。
「ソ連も不甲斐ない、ポーランドとフィンランドで百万も兵を失ったのだろう」
「公式には20万と言ってますがね」
ゲッベルス宣伝相の言葉にハインリヒ・ヒムラーが訂正を掛ける。
「モロトフ外相からは恨み言を言われましたよ、どうしてポーランドに侵攻してくれなかったのかと」
「最初は自分たちだけでポーランドを獲れると燥いでいたのではないのか?」
「それはともかくダンケルクは早急に落とさねばなりません、軍部に頑張ってもらわなくては」
そうゲッベルスが言うとヘスが答える。
「ゲーリングが張り切っているからな、今頃ぶち上げていることだろう」
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ベルリン 国防軍最高司令部
「フランスと講和した事により同盟軍の足並みは乱れた、一気にダンケルクを落とし、イギリスを大陸から叩き出すのだ」
空軍総司令官のゲーリングが発言するとそれに賛同する声が上がった。
「それを言うのならば直ちに空軍は支援をしてもらいたいものだな」
ブラウヒッチュ 陸軍総司令官が皮肉っぽく言うがゲーリングは意に介さなかった。
「心配は無用だ、マジノ線攻略に回していた部隊を派遣することになっているからな、なんの問題もあるまいよ」
「だが、ここの所ベルリンに敵機が侵入して警報が鳴らない日は無かった気がするがね」
陸軍総参謀長を務めるハルダー上級大将が皮肉の追い討ちをかけるもゲーリングの口は言葉を止めない。
「偵察機がこそこそと飛んで来るだけだ、我が空軍の前に爆撃機など飛ばす勇気のある者がイギリス・日本に居るものか!」
そう言っていると市内に警報が響き渡った。
「また来たか、どうせ又すぐに引き返すさ」
彼の予想は裏切られた。勿論悪い方にである。
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「首都に侵入した敵は数は100機以上、爆撃機とその護衛戦闘機である、各機迎撃に当たれ」
基地司令の命令で発進した迎撃部隊はMe109とFw190で構成されており、基地では誰もが敵を撃墜して来る事を疑っていなかった。
「列機へ、お客さんは初顔だ、油断することなく対応せよ、一撃を与えたら必ず離脱しろ、いいな格闘戦に持ち込むなよ」
ゲルハルト・バルクホルン中尉は指揮下の中隊に注意を促す、彼らの乗るMe109は高度を上げ敵の侵入高度まで上昇した。
「敵の第一陣が見えた、機種は4発の爆撃機と空冷の戦闘機だ、ランカスターと37だな」
後続の味方に情報を送りながら彼は冷静に観察する。
(護衛はうろたえることなく整然としているな、強敵だな…だが面白い!)
そうして彼が攻撃命令を出そうとする時見張りをしていた列機から無線が飛び込んで来た。
「敵襲! 上からです!」
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イギリス空軍戦略爆撃隊を護衛するのは日本空軍の第64戦隊であった。対ソビエト戦で奮戦した彼らは休養と欠員補充の為イギリス本土に戻っていたが新たな任務がこの護衛任務であった。
「判っていると思うが、爆撃隊の護衛が本業だ、敵を落とすのに執心するな」
「「「「「了解!」」」」」
前方に見えた敵戦闘機の編隊を見ても加藤隊長の言葉に従い護衛戦闘機の編隊に乱れは無かった。その加藤機に上方の見張りをしていた檜准尉からの通信が入る。
「22戦隊が急降下してきます、敵に仕掛けました」
「了解、こちらに向かってくる奴らのみ相手をするぞ、最も来ればの話だがな」
爆撃隊を護るように編隊を展開させながら加藤中佐は上空から降下してくる友軍機に向かい呟いた。
「頼んだぞ岩橋少佐、新型機の力見せ付けてやれ」
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「各機編隊を崩さずに敵にかかれ、訓練の通りにやれば恐れる物など無い!」
欧州に送られる直前に編成された第22戦隊を率いる岩橋譲三少佐の命令に従い降下してくるのは新型の四式戦闘機(増加試作甲型)である。
中島四式戦闘機(増加試作甲型)
全幅 11.4m
全長 9.9m
全高 3.5m
自重 2890kg
発動機 本田技研RA183 2300hp
最大速度 670k 6000m
航続距離 1500km (増槽無し)
武装 翼内 武式20mm機関砲 ×4
機首 同上 ×2
爆装 両翼パイロンに250kg爆弾又はタモ弾(多目的弾・対地クラスター弾の事)×2
以前新型エンジンコンペで採用されたRA183を搭載する新型機は欧州大戦の勃発によって繰り上げ生産が決まり100機の増加試作機が生産されテストを行っていた岩橋少佐のチームがそのまま第22戦隊に編成されて派遣されたのであった。
「往くぞ! 全機突撃せよ!」
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