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平賀譲は譲らない  作者: ソルト
3章 昭和編
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113話 ロケットとミサイル

 着陸して管制施設に向かう、ロケットの方は打ち上げ台にセットされており発射準備が整っているのが判るな。


「所長! よくいらっしゃいました、打ち上げは予定通りに行いますよ」


「やあ、糸川君N-1はいい感じだな、まあ弾道飛行は成功してるんだ、今回は地球軌道まで飛ばすんだがどうだい?」


「大丈夫ですよ、軌道計算はばっちり出来てます、最新の自動計算機を持ってきてもらった成果ですよ」


 糸川英夫は新進のロケット研究者だ、東大に在学中に総研内に作った航空宇宙研究所にスカウトして今まで固体燃料ロケットの研究をしてもらっている、彼の研究成果は各種噴進弾や航空機補助ロケットブースターに生かされている。


「メインエンジンの方はこれまでの奴をブラッシュアップしています、ブラウン博士のグループは仕事が速くて助かります」


 ブラウン博士たちのグループはメインエンジンの液体燃料ロケット部分を作ってもらっている、それに補助エンジンに固体燃料ロケットを使っているわけだ。


 管制施設の司令室に入ると研究員たちが計器に取り付いて発射前の調整を行っている。


「ブラウン博士! 調子はどうですかな?」


「ヒラガ所長、モンダイ無しデス、今度の打ち上げもセイコウさせて見せますよ」


「楽しみにしています」



 その様な会話をしながら発射までの時間を過ごすのであった。


>>>>>>>>>>>>>>


「発射まで10秒9・8・7・6・5・4・3・2・1発射!」


 秒読みが終わり1段目のエンジンに火が入る。


 やがてゆっくりとロケットは持ち上がっていき空へ向かって飛んでいく、白い尾を引きながらロケットはやがて空の一角に吸い込まれていった。


「各部問題なし、遠隔測定装置テレメータ異常認めず」


「生命維持装置正常作動、カプセル内温度摂氏20℃」


「順調なようですな、後は周回軌道に乗るかどうかですが、まあ大丈夫でしょう」


 打ち上げ成功に管制室の中に職員の歓声と祝福の声がこだまする。そしてロケットが切り離されて行き遂に地球軌道に乗せることに成功した。


「軌道に乗りました! 後は周回して大気圏に突入して降りるだけです」


 計器を観測していた職員が弾む声で報告する、ブラウン博士も嬉しそうだ、念願のロケットによる地球軌道周回を成し遂げたんだからな、あとは無事に着陸カプセルを切り離して着陸させるだけだ。


 「回収班は出ていますか?」


 「はい、既に太平洋に展開しております、海軍と海保がエリアを分担して回収準備を行っています」


 俺が便乗してきた{まなづる}も公試のついでに参加しているんだよな、間違っても大陸には落ちないようにしないとな。


「今回は公表するんですよね? 無事に着陸カプセルが帰ってきたら……」


 糸川君が伺うような視線で尋ねる、そうかあれを懸念しているのか……


「たしかに地球軌道までいけるロケットが作れるのなら作るのは難しくはないな、大陸間弾道ミサイル(ICBM)はね、そしてそれに気が付く国も居るだろうな」


「公表する事で抑止力を狙っておられるのですね、これだけの物を一から作るにはおそらく他国では数年どころでは無理ですよ」


 まあ自動計算機などの周辺施設からそろえていったらそのくらいにはなるな、あとスパイして取ってくると言う方法もあるけど東機関の防諜を掻い潜るのはなかなか骨が折れると思うしね。


「とはいえ通常弾頭では精度の問題で役には立たんけどね、こけおどしくらいだよ」


「それはそうですが……同盟国のイスラエルに居る原子物理学者たちの協力を得られれば{核}が使え……」


「それ以上は無しだ! それはやってはいけないことだよ」


「はい、申し訳ありません」


 そう、そんな物を使わないでも勝つつもりだからね、甘いかも知れないがそういうものに頼らなくても何とかしたいものだ。



ご意見・感想ありがとうございます。

ブックマーク・評価の方もしていただき感謝です。

あくまで娯楽的なものでありますので政治論とかはご返事できないかも…

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