幕間話 8話 平賀家の引っ越し
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第三者視点
まだ譲が大佐から少将になったくらいの時である。
「閣下と呼ばれる身分になったんだしそれなりの家に住んだらどうだ?」
本郷に言われて譲はそういえばと思い出した、彼の前世での平賀譲は引っ越し魔で頻繁に引っ越しをしていたというのをW〇kiで見ていたことをである。
そのときは菊作りの趣味に加えて断捨離が趣味なのかと思っていたがこの世界で自分が引っ越したのは結婚して最初の子供が出来てから一度もしていないのであった。
「それにな、子供が5人もいて家も手狭だし奥さんも大変だろう」
「まあ……通いの家政婦さんに来てもらっているからな…」
「あーもうそんなのでは話にならん、せめて住み込みが置けるくらいの所に住め! こっちで探しておくからな!」
なぜかものすごく怒られてしまった彼はしぶしぶそれを了承するのであった。
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「まあ、こんなにお部屋があるんですね、これなら子供たちが大きくなっても大丈夫ね、家政婦さんも居てくれるのは心強いわ」
引っ越した新居に奥さんがとても喜んでいたので彼もめんどくさいと思っていたのをすっかり忘れて引っ越して良かったと思うようになっていた。
「先生、今日は負けませんぞ! 新しい定石を覚えたのですからな」
「それは楽しみですな、ご隠居の手並みを拝見させていただきましょうか」
引っ越した先のご近所さんはみんないい人ばかりで彼も奥さんも満足していた、今日も早く帰った譲をご隠居さんが将棋に誘ってきたので一局付き合うことにしたようだ。
(引っ越ししたのは正解だったな、住み込みの家政婦さんのお陰で奥さんも手が空いて趣味なんかも出来るだろうし)
その時は単純にそう思っていたのであった。
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「やれやれ、譲にも困ったものだ、自分がどれだけ重要人物なのかの自覚がまるでないのだから」
そういってぼやく本郷に伊藤博文が笑って答える。
「まあそう言うな、表向きは閑職と思われている研究所の所長だからな」
「いずれは気が付く者が出てきますからな、その時になっては手遅れです」
「だからあの家に引っ越させたんだろう?」
「まあ、あの家の町内はすべて東機関の人間で固めていますからな、少々の襲撃でも問題は無いですな」
「本人には内緒にしておけよ」
「気にするといけないからですか?」
「違う、知った時の奴が驚くところが面白そうだからだ」
そう言って伊藤は呵々と笑うのであった。
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「では、すまないが留守を頼むよ」
譲は又も大神に出張する事になり妻に留守を頼んでいた。
「ええ、大丈夫ですわ、子供たちも皆学校ですし、お手伝いさんもいますから、お陰でお稽古事にも通えますから」
「そうかい、そういえば何を習っていたんだっけ? 御花かお茶なのかな?」
「うふふ、今度機会があったらお見せしますよ」
「そりゃあ楽しみだ」
彼は知らない、彼女が習っているのが射撃術だと言う事を、それも恐ろしい勢いで上達し二丁拳銃を使いこなす達人になったことに、それを知ったのは後に起こったクーデターの時であった。
其の時彼の事はどこの公式記録も残っていないが非公式な筋からの記録には其の非常に驚いた様子とそれを聞いたある人物の感想があったそうだが確認する術はないのであった。
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