「FOREBODING」
今回は少々残酷な描写がありますが、ストーリーとしては進展が見られて面白いと思います!!
それでは、最新話をお楽しみください!!!!
1
俺は、急いで城壁に向かった。
既に多数のワイバーンと黒い騎士達がこちらに到着していた。
俺は、M1911を取り出す。
残弾は4。予備のマガジンは一つ。グロックVの予備マガジンは8以上あるのだが・・・・まぁ。切り札は極力出したくない。
俺は、城壁に着いた。素早く辺りを見回して、近くにいた黒騎士の頭を撃ち抜く。
こっちの兵士と戦っている奴らには、サバイバルナイフで容赦なく一閃。狙うのは、首から上のみ。
バサバサと敵をさばいていく俺を見て、こちらの兵士達の志気が上がる。
俺は、ふと視界の端に面白いものを捉える。
「バリスタじゃん!」
城壁には、かなり大型のバリスタが取り付けられていた。
バリスタの矢もその横に積み上げてある。
こいつは使える!
俺は、すぐにその台について矢をセットする。
狙うのは、ワイバーン。
俺は、接近する一頭を狙い矢を放った。
巨大なバリスタ用の矢は、一発でワイバーンの首を貫通した。
ワイバーンとその上に乗っていた黒騎士達が落ちていく。
よし。
そう思うのも束の間、背後から既に到着していた黒騎士が襲いかかったきた。
俺は、身をかがめて黒騎士の剣をかわす。そして、大きく剣を振ることで隙のできた黒騎士の顔面にバリスタ用の矢を突き刺した。
鈍い音と共に兵士が崩れ落ちる。
俺は、その矢を屍から引き抜いてバリスタにセットする。
そして今着陸しようと城壁にとまったワイバーンの頭を射抜く。
ワイバーンがバランスを崩し、黒騎士達も落下。
俺は次々にワイバーンを撃ち落としていく。
しかし、その数はどんどん増えてきりがない。
「しゃぁねぇな!」
俺は、ポケットからスタングレネードを取り出し栓を抜いた。
そして、ワイバーンの編隊に向かって思い切り投げた。
俺が目をつむり、耳を塞いだ直後。
特殊な爆音と共にまばゆい閃光が辺り一面を包み込んだ。
目を開けると、次々にワイバーンが落下していくのが見える。
ワイバーンの雨と言ったところだ。
しかし、周りを見るとスタングレネードの餌食になったのは、敵兵だけではなかった。
城壁には、敵見方関係なく多くの者が倒れている。
俺は仕方なしに倒れている黒騎士達をザックザックと斬殺していく。あとあと復活された時が厄介だからだ。
一通り城壁にいる黒騎士を処理した頃。彼方の空に敵の援軍が見えた。先ほどよりも多いように見える。
バリスタの矢もあと少ししかない。スタングレネードは後何個かあるが、後々の戦闘に取っておきたい。
かと言ってあの数をサバイバルナイフだけでは処理しきれない。
「参ったな・・・・」
そう呟いた時。
「ここは任せて!」
突然の声に振り返ると、復活した兵達の間からエレナが現れた。
「お前・・・・」
俺は、勝手に出てきたことに文句を言おうとしたが、エレナの姿を見て口を噤む。
エレナが青白く発光していた。
フィエラの時と同じだ。
この光は、極を使用する際に放たれる光だ。
「お前も極を・・・・」
俺が呟くとエレナは、力強く頷いた。
そして、
エレナが先ほどよりいっそ輝きを増した時、城全体が光の層のようなものに包まれた。
「これは、私の極は[絶守の極]。あらゆる障害から私達を守る防御の力よ」
そう言って、得意げにエレナは胸をはる。
どうやら、この光の層は極によるシールドのようなものらしい。
「なんで最初から使わねーんだよ」
俺が文句を言うと、エレナは口元をとがらせる。
「そう言わないでよ。私の極は強力だから、いろいろ使用するのに条件があるから直ぐには使えないのよ」
へぇー。じゃ条件教えろよ。
そう言おうとするが、エレナはスタスタと歩いて行き怪我人の手当てを手伝い始めてしまい、言うタイミングを逃してしまう。
彼方から来た敵の援軍は、見事にシールドに阻まれて何も出来ずにいる。
しばらく見ていると、進撃を諦めた敵兵は付近で生存している仲間を回収して去って行った。
それを見て城内では、姫様万歳コールが響く。
俺は、やれやれと腰を下ろした。その時ふと城壁の下に目をやると、城から何者かが馬で走り去るのが見えた。
あいつは、ゼネルア?
しかし、特に俺は気にする事もなく、欠伸を漏らした。
でもなんだか、嫌な予感がするのは気のせいだろうか?
「お手柄だったな」
といきなり声をかけられる。
顔を上げると、そこにはフィエラがいた。
「アスマ。さっきの兵器にバリスタの使用。対人戦闘も見事だった」
「そりゃ、どうも」
あくまで興味ないという口調で返す俺にフィエラは続けた。
「まったく・・・・食えない奴だな。褒めてるんだ喜べ。・・・・・・まぁいい。それと今日はしっかり休んでおけよ?また、いつ敵の奇襲があるか分からんからな」
そう言って、フィエラは去って行った。
いつ来るかわかんないなら、休めねぇだろうが。
そう内心で呟きつつ、俺は思う。
やっぱりなんか、嫌な予感がする。
沈む太陽は、何かを示唆するが如く眩しく輝く。
ここからの時間は闇が支配する。
その夜の闇すらも脅威とならぬことを願い、俺は彼方の国境を睨んだ。
そして、城の宝物庫から魔の秘宝が盗まれたことが分かったのは、その後直ぐのことだった。