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「ENEMY」

今回遂に敵の影が見えてきます。

みなさんよろしければ感想下さい!

みなさんからの感想をもとにより良い作品にしたいと考えています。



それでは最新話をお楽しみ下さい!



「本当にこの辺か?なんもないぞ?」

「おかしいわねぇ。以前来た時は・・・・。」


俺とエレナは境界の魔女に会うため、国境付近にある森に来ていた。

「ねぇアスマ。本当だよ?確かにこの辺だったん・・・・だ・・・・・・ょ?」

俺は、エレナの口を塞いで捕まえる。急いでその近くの木の影に隠れた。エレナがもごもご言ってるが気にしない。


誰か来る。・・・・いや、誰かいる。五人以上はいるな。


隠れて見ていると、黒い甲冑の騎士が七人ほど歩いてくる。

何か話してるようだ。

「うちの王もやることがえげつねーよな。」

「まぁ。殺さなくてもな。」

「でもよ?あの魔女、殺さないと力奪えねぇんだろ?」

「え?そうだったんか?」

「おめぇ。んなことも知らなかったのか?任務の概要も知らないでよくもまぁ、セブンヘッツドランやってんな。」

「うるせぇよ。」


黙って騎士達の話を聞いていると、ようやく大人しくなったエレナがそっと耳元で呟いた。

「セブンヘッツドラン・・・・。」

俺は、声量をかなり絞って聞く。

「なんだそれ?」

するとエレナは、厳しい表情になる。

「隣国バルセギア上等騎士の精鋭の七人。セブンヘッツドラン。七つ頭の竜って言われていてかなりの実力者集団よ。・・・・ここはあくまでうちの領地なのに何やってるのかしら?」

「そう言えばよ。この間おまえを襲ってたやつらもバルセギアの連中だよな?何?この国、バルセギアと仲悪いの?」

するとエレナは、少し黙る。

「う~ん。そうでもないハズなんだけど、最近いろいろ影でちょっかいだして来ること多くなってる。」

「へぇ。・・・・・・・・まぁいいや。それより行くぞ。」

俺は、自分からふった話にもかかわらず適当に流して先ほど騎士達が歩いて来た方に向かう。


正直、国同士の事情に興味はない。仕えてこそいるが、国じたいには大して思うとこはない。所詮、俺のように少年兵は仕事があればそこに雇われるが仕事がなくなればそいつら殺してサイナラくらいの勢いの考えだ。別に殺しはしないが仕事があるからいるだけってことには変わりない。そんな考え故に国の事情にも大した興味はわかない。さっき聞いたのも、勢いで聞いただけで実際あまり知りたいとも思ってない。


しばらく歩くと、開けた所に出た。

そこには、いかにも物語に出てきそうなこじんまりとした水車付きの家があった。

「あ。ここ!ここよ。」

家を見たエレナが言った。


どうやらこれが境界の魔女の家らしい。


ドアをノックしようとするが手を止める。


エレナはバカだから気づいてないようだが、さっきあの騎士の連中、魔女を殺したとか言ってた。

まさかとは思うが・・・・


俺は、ノックを止めてエレナに放れないよう目配せする。エレナも流石に緊張感のある表情の俺を見て、ひとまず頷いた。本当に状況が掴めてるのかは謎だが・・・・。


ホルダーからM1911を取り出して、残弾を確認する。五発。ひとまず、外さなければ戦闘には十分な数だ。

そして、M1911を構えた俺は、思い切り扉を蹴破った。


そして俺達は見た。

部屋の中心で倒れている若い女性に何かしている長髪の人物を。


俺がM1911を構える。すると、長髪の人物は振り返った。恐らく男だ。黒いマントを羽織っていて全体的な体型はわからないが、その細くて長い腕からするにかなりの痩せ型。しかも病的なレベルだ。その顔は黒い覆面で鼻と目が隠れていて表情が読めない。しかし何よりその口元は真っ赤な液体に染められ、倒れている若い女性の首筋にはボッカリと穴が空いていた。


男の口元が歪む。

「こんなところにお客とは珍しい。でも残念。ご用の魔女は死んだ。今私が美味しくいただいてるところだよ。」


俺の背でエレナが微かに悲鳴を漏らす。

俺はM1911を構えて言った。

「てめぇ。誰だ?うちの領地で何してる?」


すると、男がゆっくりと立ち上がる。

「おや。これは失礼お若いようだが、アパルエナの方でしたか。・・・・私は、バルセギア王国魔術大臣フォレモス・ウェルトバームと申します。」

そう言って、男は深々とお辞儀をする。

「俺は、アスマ・リエン。少年兵だ。後ろにいんのは部下のエルネ。」

俺は、そう言って相手の様子をうかがう。


エレナの素性は立場上隠すべきだ。この変質者、エレナをアパルエナの姫と知ったら何するか分からん。


「アスマにエルネ。まだお若いのにお勤めご苦労です。」

あくまでこちらの労をねぎらうフォレモスに俺は苛立ちを見せる。

「んなこたぁどうでもいい!お前そこで何してるって聞いてんだよ!」

すると、男はすまして言った。

「死体を食べてます。」


っ!・・・・・・こいつ・・・・人間か?


俺は驚愕しつつ問う。

「魔女を殺したのは、アンタか?」

「いいえ。殺したのは私の部下。私はその後美味しくいただいてるだけですよ?なんたって魔女の死体ですよ?骨の髄までしゃぶり尽くしたい程ですよ!!!私の美学とは則ち、食!そう!全て食べることで理解するのです!!」


気違いめ!


内心毒づく俺をよそにフォレモスは続けた。

「あなた達も食べて見たいですねぇ?」

そう言うとフォレモスの口元が歪む。

俺は身構える。

しかし、それを見てフォレモスは、手を振る。

「冗談ですよ。私は死んだものしか食べませんから。・・・・・・おっと、そろそろ時間です。そこを避けて頂けますか?わたくしもう帰らなくてはなりませんので。」

そう言って、フォレモスがこちらに歩いてくる。

「はいそうですかって、言うかよ!この気違いめ!!!」

俺は言うなり、M1911のトリガーを引いた。


ヒット!


そう思った。

しかし、そこで有り得ないことが起こる。弾丸がフォレモスに触れる直前に曲がり、横の壁を撃ち抜いた。

弾丸が見えた訳ではないが、弾丸が横の壁を撃ち抜いたことが状況をそう理解させる。

「なっ!?」

驚愕する俺とエレナの横をフォレモスは一瞬ですり抜ける。

振り返るとフォレモスは、こちらにお辞儀する。

「わたくし我が君主の命以外での荒事は好まない性分でしてね。・・・・それでは、ご機嫌よう。」

そう言うと、フォレモスは煙のようになって消えて言った。



なんなんだあいつは?



俺はひとまずM1911をしまい、再びフォレモスの消えた場所を睨む。

俺の背でエレナは身震いするのが分かる。

俺は、エレナの頭に手を乗せて言った。

「とりあえず、帰ろう。」

エレナは無言でコクリと頷いた。その目には涙が浮かんでいる。

そうとう怖かったようだ。


やれやれ。


俺は、仕方なくそっとエレナを引き寄せて、抱きしめてやる。

エレナは、ヒシッと俺にしがみついた。


エレナが落ち着くまでは、もう少し時間がかかりそうだ。

俺は、そう思って空を見上げる。

そして、先ほどの現象について考える。魔法を使ったようにも見えなかった。俺が軌道を逸らしたわけでもない。




では、何故弾は曲がったんだ?







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