「DISCORD」
そろそろ敵も出てきますので熱い展開が期待できます!!!
楽しみにしていてください!!!
それでは最新話をお楽しみください!!!!
1
「んで。どうしたら帰れる?」
俺は、そう言って目の前にいるエレナを見た。
エレナは、俺との時間を楽しんでいる様でウットリした顔でさっきからニヤニヤして気持ち悪い。薄い青の瞳がこんな顔をするあまり、すさんで見える。
いつまでたっても答えないバカ姫を前に俺は、バカ姫と自分の間にある丸机を少々強めに叩いた。
上品な造りの丸机が揺れて、バカ姫がハッとして我に帰る。
「おい。・・・・どうしたら帰れる?」
俺は、怒りを込めた口調でもう一度言う。
バカ姫は、慌ててウンウンと頷いて口を開いた。
「境界の魔女さんなら、何か知ってると思う」
「境界の魔女?何もんか知らねーが、そいつはこっちに協力してくれんのか?」
俺の質問にエレナは、頬に指をあてて少し首を捻る。
「う〜ん。誰の味方にもならない人だしねぇ。多分なにか条件つきで協力してくれるはず」
条件か・・・・。
まぁ。向こうでもこっちでもギブアンドテイクってのは変わんないんだな。
俺は、よし!と言わん勢いで立ち上がる。
いきなり立ち上がったので、エレナがビクリと震えた。
チキンめ。
俺は、部屋を出るついでに言った。
「そいつんとこ行ってくる。なんか周りに聞かれたらそう言っとけ」
すると、不意に腕を掴まれる。
エレナだ。
「んだよ」
不機嫌丸出しで言うと、エレナはニコニコと笑う。
「私も行く!」
しかし、俺はそんなエレナに一言。
「邪魔」
しかし、エレナは腕を放さない。
「私も行くの!!」
「消えろ」
「いや!行くの!!」
本当マジで消えろよ。水性ペンのインクみたいに。
馬車の時からわかってはいたがこのゴミ姫は、俺をマジで運命の勇者とかなんかと思ってやがる。
確かに助けてやったし、生かしてやった。それに可愛いやつだと思う。でも、俺は恋愛はゴメンだ。ましてや、異界のお姫様とベタベタなんて死んでもやりたくない。
俺は、兵士。殺されず殺して、奪い奪われる。そうして来た。戦場で無駄なものを背負えば死ぬ。だから俺は無駄なものを持ちたくない。俺から奪えるのは、命だけにしておきたいのだ。 命なら、相手から奪い続ければ奪われることはない。
ましてや、愛すべき者なんて持てば思考は乱れるし殺しに集中できない。俺は、自分以外の命の重みを感じてはならない。親しい仲間を作れば、そいつに似た敵が来た時戸惑う。その先に待つのは死。
エレナの可憐さに負けないよう脳内で必死に持論を並べる。
そうでもしないと、なんだか本能に負けそうな気がする。
「大人しく、待ってろ!」
「やだーやだー!」
エレナが頭をブンブン横に振る。
そのたびにそのクリーム色のショートヘアーから、甘い香りがする。
こいつっ・・・・いったいどんなシャンプー使ってんだよ。めちゃいいにおいしやがる。つか、この世界シャンプーあんの?
エレナをなんとか振りほどこうとした時、
「何イチャイチャしてんの?」
良く通る澄んだ声がした。
「あ?」
振り返ると、そこには騎士団長のフィエラがいた。
青みがかった腰まである黒のロングヘアーを揺らしながら騎士団長は歩いてくる。
「なんだか騒がしいと思えば、スキンシップ中か」
フィエラは、冗談めかして言う。
「止めろよフィエラ。この姫さんが調子にのる」
俺は、そう言ってエレナを引き剥がそうとするがエレナは剥がれない。
「いったい何があったんだ?」
俺達を見て、フィエラは苦笑いしつつそう聞いてくる。
俺は、ひとまずことをフィエラに説明する。
説明の後。
「連れてけばいいじゃんか」
フィエラの言葉に俺は、ため息をつく。
「わざわざなんで連れて行きたくないかも言ったのに、その言葉が出るって・・・・」
すると、
フィエラはニヤリと笑う。
「まぁ。言わせてもらえば、それくらい奪われない位強くなりな。・・・・それにさ。あんた場数は踏んでるようだけど、本当に守りたい者を持った奴の強さを見たことないんじゃないの?」
俺はすかさず反論する。
「んなもんまやかしだ」
すると、フィエラは隣に来て俺の肩において言った。
「まぁ。あんたがただの殺し人形じゃないなら分かるさ。・・・・・・いつかね」
そして、フィエラは歩いて行く。その後ろに3人程の男性部下が続く。
と、その内の一人が俺とすれ違い様に止まる。緑がかった髪に鋭い目元、年は20代後半だろうか。
そして、前を見たままその男は言った。
「ゼネルア・マークスといいます。今後お見知り置きを」
そのまま男は行ってしまった。
なんだ?・・・・・・あいつ.
違和感を覚えつつ、俺は乱暴な口調でエレナに告げる。
「行くぞ」
すると、エレナは不思議そうな顔になる。
「どこに?」
「魔女のとこだよ。二人で行くんだろ?」
俺がそう言うと、エレナが目を輝かせる。
「うん!!!」
そんな様子の二人を遥か背後にゼネルアは薄く笑う。
そして、小さく呟いた。
「さぁて。・・・・そろそろですな」
その呟きには、深い闇が込められていた。