「TRAITOR」
ご連絡
現在を持ちましてこの作品を公式企画「第2回オーバーラップ文庫WEB小説大賞」に参加させることに致しました。
つきましては、現在参加中のユーザー企画「あなたのSFコンテスト」の作品リストより外そうと思っております。
これより、8月下旬に完結予定でしたこの作品を制作当初の長期連載型に切り替えたいと思います。いきなりの決定ですが読者の皆様どうかご了承下さい。
これからも良い作品になるよう日々努力致しますので、どうかよろしくお願い致します。
それでは、最新話をお楽しみ下さい!
1
本当にワイバーンでの移動は早くて便利だ。
俺達はあっという間に国境を越えた。
「あれか・・・・」
俺が呟くと、フィエラが頷いた。
「そう。あれがバルセギア王国の王城ゼンガルド・アルヴィネアだ」
明らかに悪者の城って感じだな。
まだ遠くにしか見えないゼンガルド・アルヴィネアは、規模はアパルエナの城と大して変わらない。しかし、その巨城は明るいイメージのアパルエナの城と違い、灰色を貴重とした暗い雰囲気の城だった。城のあちこちからは、鋭い槍のようなものが無数に突出している。
中心の塔の上には魔力で浮かべているのだろうか、巨大な剣が五本ほど放射状に並んでいる。
「まずは、下に降りて様子見にしよう」
フィエラがそう言うが俺は、その提案を蹴る。
「いいや。先手必勝だ」
言うなり、俺はダブルと全速力で飛び出した。
「おい!」
フィエラが叫ぶが、俺は止まらない。
「フィエラ!私達も!」
そう言って、エレナも飛び出して行く。
「姫!・・・・・・・・あぁ!もう!!」
苛立ちの籠もった声で唸り、フィエラもその後を追った。
俺は、どんどん加速しながら城に迫る。
もう城壁を越えた。早朝だけに警備が薄い。
甘いぜ!異世界!
俺は、手榴弾を三つ取り出して栓を抜く。そして、城のあちこちに適当に投げ撒いた。
激しい爆音。
何事かと城内が一気に騒がしくなる。
「おおおぉぉぉ!!!!!!」
俺は、叫びながらダブルと共に中心の塔のガラスを突き破り城内に侵入した。
ガシュアアン!
ガラス片が飛び散りキラキラとひかる。その光の中、俺はダブルから飛び降りた。M1911を取り出して、マガジンを取り替える。ラストのマガジンだ。俺は、右手にM1911。左手にサバイバルナイフを構えて駆け出した。 ダブルが飛びながら後をついてくる。
俺の作戦はこうだ。
適当に兵を捕まえる。→ゼネルアの居場所を聞く。→殺しに行く。→ゼネルアから秘宝の在処を聞く。→殺す。→秘宝を取り返す。→帰る。
階段を駆け下りていくと、俺を見つけた兵達が上がってくる。数は10。俺は、トリガーを引いた。
先頭の男が倒れる。
突然、仲間が倒れたことで他の兵達が怯む。俺はサバイバルナイフをしまい、近くの兵を殴る。顔面を殴ることでフラつく兵から剣をもぎ取り、背後に回って来た兵を突き刺す。そのままフラついてる兵を銃殺。
次に来た相手の斬撃を横にそれてかわし、回し蹴りをかます。そのまま流れる様な動作で次の相手の股下に滑り込む。そして滑り抜ける瞬間に剣を突き上げて串刺す。素早く起き上がり、次の兵を次々に片付ける。ラスト一人を生け捕りたいと考えたが増援が来たので諦める。
貴重だが、手榴弾もう一個使うか?
そう思った時、
風が吹いた。
いや。正しくは突風だ。
その突風は、辺り一面のガラスをことごとく破壊し、兵達を吹き飛ばした。
その突風を起こしたのは、ダブルの様だ。
「良くやった!」
俺はダブルにそう言って、先に進んだ。
しばらく進むと妙に軽装な兵達が現れる。しかし、その背から現れたものを見て、俺は引き返そうとする。
出てきたのは、弓だ。
「弓兵部隊か!!」
叫んだ瞬間、弓矢が無数に飛んで来た。
思わず、目を閉じて回避姿勢を取る。
しかし、その矢は俺に当たることはなかった。
気が付くと、俺とダブルを光の層が包み込んでいる。その層が矢を弾き返したのだ。
振り返ると、エレナとフィエラがいた。二人のワイバーンもいる。
この光の層は、エレナの極のようだ。
「アスマ!先に行き過ぎだぞ!」
そう言って、フィエラがワイバーンに指示を出す。
すると、ワイバーンが炎のブレスを放った。
弓兵達が焼かれ、逃げ惑う。
俺は、その間を一気に駆け抜ける。
再び剣を拾い、兵達を凪払っていく。
エレナが俺達の防御をしてくれるおかげで更に戦い安くなる。フィエラは、極を発動させ光の弓を発現させた。
フィエラの放つ光の矢は、着矢と同時に光を放ちながら爆発する。そのおかげで城の壁がどんどん崩れ、兵達がバタバタと倒れていく。
行ける!
そう確信しつつも、俺は気を抜かない。この城には、この間の気違い仮面もいる。それにそろそろ幹部がお出ましてもいい頃合いだ。
その時。
「やれやれ。騒がしいと思えば、君達か・・・・」
ふと顔を上げると、二階からこちらを見ている人物がいる。
それを見て、フィエラが叫ぶ。
「ゼネルア!貴様あああ!!!」
すると、ゼネルアは愉快そうに笑い、二回から飛び降りて来た。
ストンと、着々したゼネルアは俺達に言った。
「せっかくだから、私が相手するとしよう。だが、君達は私には勝てない」
「なんだと?」
俺は、そう言ってゼネルアを睨む。
すると、フィエラが唸る。
その顔からして、ゼネルアは相当強いのだろう。しかし、3人プラス三体のワイバーン相手に勝てるなんて有り得ない。
ゼネルアは続けた。
「私の力の前に己の無力を知れ!貴様ら私の極に手も足も出ないだろう!私の持つ[因果の極]にはな!!!!」
極使いか!!
思うより早く俺は、トリガーを引いた。
ゼネルアが呟く。
「その攻撃は当たらない。何故なら、落ちて来た瓦礫によって阻まれるからだ」
刹那。
ゼネルアの前に瓦礫が降って来て、弾丸はそれに防がれた。思わず叫んでしまう。
「嘘だろ!?」
すると、フィエラが悔しげに言った。
「ゼネルアの極みは、ことの因果を操る力を持っている。把握した事実を好きな様に確定し、その因果をコントロールすることで実現する極だ」
俺は、顔をひきつらせる。
「そんなん。倒せねぇだろ・・・・」
その呟きを聞いて、ゼネルアがニヤリと笑う。
そして、そっと呟いた。
「さぁ。どこからでも、かかって来たまえ」




