「PARTNER」
今回は、割といろんな内容盛り込んだので楽しんで頂けると思います!
それでは、最新話をお楽しみ下さい!
1
「私も行く!!!」
エレナが駄々をこねる。
「馬鹿かお前」
「ダメです姫」
同じ一言にも関わらず、俺とフィエラの言葉にはかなりの違いがある。
「大丈夫!私、極も使えるし!問題ないよ!」
エレナは、必死に懇願するが俺とフィエラは、かぶりを振る。
しかし、エレナは諦めない。
そんな様子を見ていると、ついため息が漏れる。
数十分前。
俺とフィエラは、明日の早朝にも秘宝奪還作戦に乗り出すことを王に伝えに行っていた。
一通り伝えた時、飛び込んできたエレナに捕まって今に至る。
「お父様もお願いしてください!」
エレナが王に頼む。
王は、非常に困った顔をしている。
俺は、冷めた口調で言った。
「お前、自分の立場分かってんの?姫様なんだぞ?」
すると、エレナはキョトンとした顔になる。
「そうよ?それがどうしたの?」
俺は、その言葉に呆れて思わず白目になる。
「あのですね姫」
フィエラがエレナを説得しようとするが、エレナは耳を塞ぐ。
「あー!あー!聞こえない!聞こえない!私連れて行ってくれないとダメー!」
このクズ姫め。
俺がもう一言言おうとした時、
「まぁ。よい。二人には本当にすまんが姫を連れて行ってはくれまいか?何分能天気な娘だ。ここで一つ世の恐ろしさ厳しさを見せてやってくれ」
まぁ。王の命令なら従うほかない。
俺とフィエラは、仕方なく頷いた。
×××
早朝、まだ日が出てない時間に俺達3人は城を出た。
馬で行くのかと思いきや、俺の前に出された生き物は、白いワイバーンだった。
しかし、先日見た敵ワイバーンよりもはるかに小さく、体長は俺の三倍程度。デカいのはデカいがワイバーンにしては小さい。
「フィエラ。こいつは?」
すると、フィエラはニヤニヤしながら答える。
「こいつはな。今まで誰も背に乗せた事のない、ちょープライドの高いワイバーンだ。なかなかくせ者で主を選ぶんだ。でも、未だ誰一人乗せたことがない。私すらも拒まれた。それと、この種のワイバーンは、飛行に特別優れたやつでね。乗りこなせれば、空の支配者になれるよ。・・・・さぁて。アンタには乗れるかい?」
「俺を試すつもりか?」
「さぁねぇ」
フィエラは、ニヤニヤとしたまま俺の様子を見ている。
俺は、それを無視して白いワイバーンを見た。
ワイバーンもこちらを見ている。
青い目だ。とても純粋な目をしている。
ワイバーンが顔を近づけてくる。
俺は、目を反らさずじっとワイバーンの瞳を見つめ続けた。
そして、直感で思う。
「お前、俺と一緒か・・・・」
すると、ワイバーンが急に小さな声で鳴く。
キュルル。
そして白いワイバーンは目を閉じて、地面に頭を付けた。
俺は、その頭をそっと撫でてやる。
撫でてやりながら、俺はその耳元でそっと囁いた。
「お前は、・・・・俺の翼となれ」
キュルル!!
ワイバーンは、答えるように鋭く鳴いた。
そして、そっと頭を上げて顔をこちらに向けたまま、俺に背を向ける。
俺は、その背に飛び乗った。
白いワイバーンは、俺を乗せるとふわりと飛び上がった。
「わぁ・・・・有り得ない」
フィエラがそれを見て、呟く。
「フィエラ!私達も!」
エレナの声でフィエラは我に返る。
その後、フィエラは赤黒いワイバーンに、エレナは栗色のワイバーンに乗って飛び上がった。
俺が二人を待っていると、上がってきたフィエラが俺にワイバーン用の手綱を投げてくる。
俺は、それを白いワイバーンに取り付ける。
「ところでよ。フィエラ!こいつ、なんて名前なんだ?」
すると、フィエラは少し考える。
「よく考えたら、その子名前なかった!あんたが付けてやんな!」
そう行って、フィエラは飛んでいく。エレナもそれに続いた。
俺は、少し考えてから白いワイバーンに言った。
「んなら、お前今日からダブルな?白いからホワイトの頭文字取ってダブルだ」
少し単純過ぎたか?
そう思ったが、予想に反してダブルは嬉しそうに鳴いた。
まぁ。気に入ったならいっか。
俺は、フッと微かに笑い、手綱を引いてフィエラ達の後を追った。
2
バルセギア王国。
「持ってきましたよ?」
そう言ったゼネルアは、得意げな笑みを浮かべて一つの皮袋を投げる。
すると、国王ドゥルガルドはそれを乱暴に掴み取る。
「昔から思うが、本当にお前は仕事が早い」
そう言って、ドゥルガルドは皮袋の中から一つの水晶を取り出した。
「これがかの秘宝の一つ、大地の秘宝ことヴェガラか・・・・」
ドゥルガルドは、言うなりヴェガラを天に掲げた。すると、ドゥルガルドから赤い魔力が吹き出してヴェガラを包み込んだ。
それを眺めながら、ゼネルアはフッと満足そうに笑う。その場にいた他の臣下達もそれぞれに笑みを浮かべた。
ドゥルガルドは、高らかに言った。
「これより、世界はこのバルセギア王国が全てとなるだろう!!!!!」
その言葉には、悪しき響きがあり、どこまでも不気味に聞こえた。