「DEAD・START」
どうも初めましての方がほとんどだと思います。黒霧岳羅と申します。
今回は、ひさびさの投稿と言うこともあり、自信作「DEAD・SOLDIER」を発表致します。この話は、スペルファンタジー(Spell・Fantasy)という感じで異世界・魔法・バトル・ファンタジーの作品です。話自体は楽しんでいただけるものになっていると思います。まだまだ未熟な文章ですが気に入っていただけたら幸いです。
それでは、第一話をお楽しみください。
1
「解せねぇな」
とあるプライベートジェットの中、少年は冷めた目でそっと呟いた。
少年は、窓の外を睨むようにして眺める。外には地平線の果てまで広がる海。今飛んでいるのは、バミューダ諸島付近の海上。そう噂のバミューダトライアングルと言われる海域だ。魔の三角地帯という異名すらある。その由縁は、フロリダ半島、バミューダ諸島、プエルトリコからなる三角海域には、古来より飛行機や船などが消える。もしくは、その乗務員のみが消えるという怪事件の起こる場所だ。
「何が解せないんだい?」
突然後方の席から、爽やかな男性の声が響く。
少年は、その声を聞いて苛立たしげに目線を外から機内に戻す。
「んだょ?」
すると、後方から若い男が顔を覗かせる。若作りで茶髪の男だった。
「そうカリカリしないでおくれよアスマくん」
この男の名は、キャストマン・リークジェンス。武器商会社の幹部だ。非常に優秀かつ残酷な男だ。
皮肉なことに俺ことアスマ・リエンは、このオッサンに雇われた。
そう。俺は少年兵だ。
「解せねぇんだよ。テメェの態度がよ」
俺の言葉にキャストマンは、首を傾げる。
「わからないなぁ。君は今僕に最高の持て成しを受けている。そのかわり君は私を守る。このどこが解せないのかな?」
しかし、俺は席から立ち上がり男に詰め寄る。
「黙れよ。俺は少年兵だ。雇い主は俺を道具として扱うんだ。その分俺は金を貰う。それでことは成り立つはずだ。こんな追加報酬求めちゃいねぇ。こんなことされれば、逆に気味が悪い。俺が解せないこと本当はわかってんだろうが?あ?」
すると、キャストマンはニヤリと笑った。
「いやぁ。予想以上に賢い少年兵だ。普通の少年兵ならこの状況を満喫する。・・・・道理で上から話があるわけだ」
その時、俺は只ならぬ殺気を感じて数歩後ずさる。
「話?・・・・なんの・・・・ことだ」
すると、キャストが俺を抱き寄せた。
ザシュ!
何かが自分の体に突き刺さる。
ナイフ・・・・?
キャストマンが笑う。
「悪いね。上からの命令でね。君は、世界一危険かつ最強にして優秀な少年兵だ。仲間にしても良かったけど、僕らの目的を知れば君は僕らに仇をなす。敵ならば必ず僕らの邪魔をする。・・・・ならば、殺すしかないよね?」
そう言って、キャストマンは俺から離れた。
が、そこであるキャストマン異変に気づく。
「血が出てない。・・・・・・まさか!」
パン!
乾いた音が機内に響く。
キャストマンがその場に崩れ落ちる。
「今時、防刃防弾ベストとか必須に決まってんだろうが」
俺は、頭を撃ち抜かれ倒れている屍を一瞥し、素早く振り返る。そこには、怯えて硬直したキャストマン専属の客室乗務員いる。
俺は、ためらいなくそいつを始末してポケットからスイッチを取り出して押した。
刹那
爆音と共に機内に激しい衝撃が起こる。
あらかじめ機体に仕掛けておいた爆弾を起爆したのだ。
俺は、改造愛銃グロックVをしまう。グロックVは、拳銃グロックシリーズを威力上げと射程範囲拡大を俺の使いやすいように自己カスタムし、改造したオリジナルガンだ。俺は、ザックから携帯パラシュートを取り出して背負った。
そのまま搭乗口を乱暴に蹴りあけて飛び降りた。降下姿勢を取りつつ、もう一度スイッチを押した。
先ほどよりも激しい爆音と共にプライベートジェットが空中で大爆発し粉々になる。
証拠隠滅。あとは、助けが来た時に被害者のフリをすればいいだけだ。
俺は、頃合いを見てパラシュートのレバーを引いた。
カチン。
開かない。
「バカな!?」
その時、レバーの横にスイッチがあることに押してみる。
すると、背負っている肩の辺りから電子ノイズ混じりのキャストマンの声が聞こえた。
《驚いたかい?君がこれを使ってるということは、僕は死んでいるんだろうね?ならばこそだけど、この仕掛けはサプライズさ!君のザックの中身はあらかじめ調べさせて貰ったよ。だから、パラシュートは壊させて貰ったよ。万一の為に中にあるパラシュート自体を砂とすり替えておいたよ。まだまだ話したいことはあるんだけどさ時間もない。続きは冥土ではなそうじゃないか!ははははは!!》
「・・・・ぅぅう!くそがあ!!!!」
海面迫る。これだけの高度からの落下なら、海面に叩き付けられて即死だろう。
俺は、諦めて目を閉じた。
海の匂いがする。
そう思った時、意識が飛んだ。
2
気が付いたら、森の中に立っていた。
「・・・・ここは?」
辺りを見回してみる。
周りには、見たことのない植物や果実が沢山ある。
「アマゾンにしては・・・・涼し過ぎる」
俺は、その場にある果実を手にとってみる。
日本のイチジクに似ている。だが、色が真っ黄色で香りも違う。
新種か?
果実を放り投げて辺りを観察しつつ、歩きまわってみる。
その時、
どこからか人の声がした。
「?」
俺は動きを止めて耳をすます。
すると、今度はハッキリと声が聞こえてきた。
「あばれんな。小娘が!」
「んんんー!!」
聞こえてきたのは中年の男と女の声だった。
これは・・・・よくないやつか。
一般的には助けてハッピーなんだが、もしここが戦場ならばよくあるトラップだ。
襲われてるフリして助けられたところで、食らえといわんばかりの奇襲攻撃。そんで殺した後、いろいろ奪ってサイナラってわけだ。
とは、思うんだが・・・・。
まぁ。なんかあっても勝てるか。
そう考えつつ、俺はそっと声のする方に向かった。
物影から覗くと、そこは少しだけ開けたところになっていた。そして、そこにいたのは三人の男と一人の少女。しかし、それぞれがなかなか奇妙な格好をしている。言うなれば、マンガでありそうなファンタジー的な格好だ。
男達は、黒い騎士の甲冑。女は、白っぽいドレスを改造したような動きやすげな格好だ。パッと見、両方コスプレにしか見えない。
見ていると、男達はよってたかって少女の衣服をはぎ取ろうとしている。
少女は、口を塞がれていて助けを呼ぶこともできない模様。更に手足も縄で拘束されている。
まぁ。ここまで隠蔽的に行われているなら、トラップである可能性も低いかな・・・・。
俺は、ホルダーからM1911を取り出す。M1911は、第一次大戦よりアメリカの一部の軍に供給されたハンドガンだ。その後はだんだんと使用部隊が増えたとかなんとか。口径45。使用弾丸は、45ACP弾。口径の大きい銃として評判は高く、現代でも使用されているものだ。
愛銃のグロックVは、それに比べ少し小さめの9×19mmパラベラム弾を使うが銃自体を改造しただけに威力が違う。故に切り札。
しかし、三人のクズ打ち抜く程度ならこいつで充分。愛銃を使うまでもない。
俺は、M1911を構えつつ四人の前に出て言った。
突然の闖入者に三人の男達が動きを止める。
「何者だ?」
リーダーらしき男が問ってくるが、俺は無言でトリガーを引いた。
乾いた音が響き、リーダーらしき男が眉間から血を吹き倒れた。
「「「!?」」」
男達と少女が驚愕する。
「なんだその武器は!?」
男の一人が言った。
「矢ではないのか?なんだ何も見えなかったぞ!?」
?・・・・銃を知らない?
「くそう!」
男達は、剣を抜き向かってきた。
バカかコイツら。
銃相手に剣で挑むって・・・・。
俺はため息を付き、M1911をしまった。そして代わりにズボンの太ももに隠し持っていたサバイバルナイフを取り出して構える。
そんなら、同じもんで勝負してやろう。格の違いっての見せてやる。
ギリギリまで男達を引きつけ、俺は地を蹴った。
男が横降りする剣をスライディングが交わして、すれ違い様に立ち上がって首に一斬り。すぐさま振り返って、隣にいる男を背後から首をかき斬った。
二人が首から血をふいて倒れる。
弱い。
サバイバルナイフをしまい、再びM1911を取り出す。
俺は、まだ微かに動いている二人の頭をそれぞれ打ち抜いた。
トドメは重要だ。
動かなくなった二人を一瞥し、俺は少女に向き直る。
ひとまず口をふさいでいる布を取ってやる。
まだ、手足の拘束は解かない。万一のためだ。
俺は、何か言おうとした少女を制して言った。
「ここは、どこだ?」