初めての友達
スラム街の奥、ただでさえ人気の無いスラム街の中でも別世界のような静けさに包まれた少し開けたゴミ溜めに二人は腰を下ろした。
「で、話というのはだな。俺と一緒に共和建設ってところで働いてくれないか?ってことなんだ。」
「建設会社?何で私がそんなところで働かなくちゃいけないの?」
「いや、名前は建設会社なんだが、ちょっといわくつきのところでな」
「どんな仕事をしろっていうの?」
「すまないが、俺にもまだわからないんだ
とりあえず人材集めってところでスラム街に来てみたんだが」
「じゃ、なおさらなんでスラム街に戻ってきたのよ」
「しょうがねぇだろ、社長に言われたんだから」
「それは、随分頭のネジが飛んだ社長ね」
「あぁ、髪の毛の先までいかれてやがる」
咲は納得したような表情をすると胸ポケットからタバコを取り出し、火をつけた。
「で、答えは?」
つられるようにタバコに火をつけた登は、煙を吹くなり咲の方に向き直った。
「あたしもギャングチルドレンの端くれ、正直こんな生活にも飽き飽きしてきたわ
いいわ、その話乗ったわ」
と言うなり、煙をはいた咲は吸殻をアスファルトに押し付けて火を消した。
「じゃ、とりあえず事務所に行こうか」
登は火を消さないままゴミ溜めに吸殻を投げ捨て立ち上がった。
そして美咲もほぼ同じタイミングで立ち上がり彼らはスラム街を後にした。